ルクレールがフェルスタッペンを3度オーバーテイク。終盤にトラブル発生も今季3勝目【決勝レポート/F1第11戦】
2022年F1第11戦オーストリアGPの決勝が行われ、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が優勝した。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位はルイス・ハミルトン(メルセデス)となっている。アルファタウリの角田裕毅は16位だった。
前日のスプリントは、ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンが圧勝した。背後のルクレール、カルロス・サインツ(フェラーリ)が序盤に2番手争いを繰り広げたことも、フェルスタッペンに大いに有利に働いた。
決勝当日のレッドブルリンクは、午前中に降雨に見舞われた。それでもFIA F2のフィーチャーレースまでに雨は止み、現地時間午後3時のF1決勝レース開始時点では路面は完全に乾いている。気温20.3度、路面温度30.6度、上空は薄い雲に覆われているものの、レース中の降水確率は10%だ。
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が初日、2日目とパワーユニット(PU)交換を重ね、さらに車体セッティングにも変更を加えたことでピットレーンスタートに。フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)もスプリント終了後に4基目のPUを投入し、最後尾スタートとなった。
スタートタイヤは、大部分がミディアムを装着。13番グリッドの周冠宇(アルファロメオ)、16番手の角田、18、19番手のセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)、アロンソがハードを選択した。
フェルスタッペンがホールショットを決め、ターン1で大きく膨らんだサインツをジョージ・ラッセル(メルセデス)がかわして行く。しかしすぐにサインツが抜き返し、ラッセルは背後から仕掛けてきたセルジオ・ペレス(レッドブル)とターン4で接触してしまう。アウト側のペレスはグラベルにはじき飛ばされ、緊急ピットイン。最後尾に転落した。
ラッセルは4番手をキープ。5番手エステバン・オコン(アルピーヌ)、6番手ケビン・マグヌッセン(ハース)、7番手ハミルトン。しかし4周目に8番手のミック・シューマッハー(ハース)がハミルトンを抜いて7番手に。その後ろではピエール・ガスリー(アルファタウリ)もふたつ順位を上げて12番手、角田も周をかわして14番手だ。
10周目、ずっとフェルスタッペンの1秒以内につけていたルクレールが、盛んにプレッシャーをかける。その間にサインツも、2台に迫って行く。一方で4番手ラッセルは、ペレスとの接触で5秒ペナルティを科された。
12周目、ルクレールがターン4でインを刺し、フェルスタッペンを抜き去って行った。2番手に後退したフェルスタッペンは14周目に早めのピットイン。ハードに履き替え、8番手でコースに復帰した。その前にはアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ダニエル・リカルド(マクラーレン)、ガスリーらミディアム勢も次々にハードに履き替えている。雨で路面のラバーが流れ、ミディアムの持ちが予想より悪いようだ。
それでも1-2を占めるフェラーリ2台、そして先行車の立て続けのピットインで3番手に浮上したハミルトンのミディアム勢は、そのまま周回を続けている。しかしハードでペースを取り戻したフェルスタッペンはハミルトンを抜き去り、3番手に。最速ラップを連発して、フェラーリ2台に迫る。5番手ランス・ストロール(アストンマーティン)、角田も6番手に躍進した。ガスリーは16番手。ペレスはトラブルを抱えているのか、最下位から上がって来れない。
フェルスタッペンとフェラーリ2台のペース差は1秒前後とかなり大きく、25周目にはサインツとフェルスタッペンの差は4秒、首位ルクレールも14秒まで迫られた。すると27周目にルクレール、28周目にサインツがピットイン。2、4番手でコースに復帰した。その間に2度目のピットに向かったペレスは、そのままリタイアとなった。
フレッシュタイヤのフェラーリ2台は、今度はフェルスタッペンより1秒近く速く、ルクレールが33周目のターン2でフェルスタッペンを抜き去り、首位を奪い返した。続いてサインツも、一気に差を縮めて行く。フェルスタッペンは「場所によって、全然グリップがない」と、1分11秒台までペースを落としている。
1分9秒台の速さを維持するサインツが、36周目には1秒以内に迫った。ここでフェルスタッペンが、2度目のピットイン。2セット目のハードに履き替えて、3番手でコースに復帰した。
40周目、13番手走行中のベッテルがターン4でアウトからガスリーに被せかけて接触、コースオフ。ベッテルが16番手まで後退する一方で、ガスリーには即座に5秒ペナルティの裁定が出た。
50周目、首位ルクレールが2度目のピットイン。ハードに履き替えて3番手に後退。51周目にはサインツもピットに向かい、フェルスタッペンが再び首位に立った。この時点でフェルスタッペンと2番手ルクレールは1秒3、3番手サインツはさらに5秒5落ちだ。ここからは、コース上での首位争いとなる。
52周目にはルクレールが早くも1秒以内につけ、トラクションの良さを活かしてターン2立ち上がりで抜き去って行った。56周目にはサインツも最速ラップをマークし、フェルスタッペンの後方1秒3まで迫った。そして57周目にはDRS圏内に。ところがサインツはマシン後部から黒煙と炎を噴き上げながら、ターン4でストップ。バーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。
このタイミングで首位ルクレール、2番手フェルスタッペンが次々にピットイン。ともに新品ミディアムに履き替え、順位をキープしてコースに復帰した。この時点で3番手ハミルトン、4番手オコン、5番手ラッセル、6番手シューマッハー、7番手マグヌッセン、8番手ランド・ノリス(マクラーレン)、9番手リカルド、10番手アルボン。アルファタウリ勢はガスリー12番手、角田16番手だ。
60周目、レース再開。フェルスタッペンが最速タイムを叩き出し、ルクレールに3秒8まで迫る。ルクレールも負けじと最速タイムを出すが、すぐにフェルスタッペンに塗り替えられる展開だ。後方ではラッセルがオコンをかわし4番手。ハミルトンと3、4番手を形成した。
ルクレールはさかんに、スロットルペダルの違和感を訴える。「問題ない」と最初は答えていたピット側だが、「確かに0%まで戻っていない」と訂正。レッドブル陣営はフェルスタッペンに、「ルクレールはスロットルに問題だ。プッシュしろ」と発破をかけるが、フェルスタッペンのペースも伸びない。残り5周の時点で、両者の差は2秒7まで縮まった。
「ダウンシフトができない」「ターン3がむずかしい」と訴えるルクレール。残り1周で、両者の差は2秒3。しかしフェルスタッペンは追いきれず、1秒532差でルクレールが逃げ切った。ルクレールは第3戦オーストラリアGP以来、7戦未勝利の長いトンネルをようやく抜けることができた。
フェルスタッペンは今季初の2位表彰台。ハミルトンはカナダ、イギリスに続く3戦連続の3位表彰台に立った。そして4位ラッセルは、11戦中10回目の5位以内入賞だ。5位オコン、6位シューマッハーはイギリスに続く連続入賞。7位ノリス、8位マグヌッセン、9位リカルド、10位アロンソというトップ10になっている。
アルファタウリの2台はガスリーは15位、角田も16位。週末を通じて速さに欠け、スプリントフォーマットを0ポイントで終えた。
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