4月でホンダを退社……F1用パワーユニット開発を率いた浅木泰昭の「最高傑作」

 

 2018年からホンダのF1パワーユニット開発を率いてきた浅木泰昭が、今月限りでホンダを定年退職することになる。
 すでにホンダ・レーシング(HRC)の四輪レース開発部部長の職を退いている浅木氏。しかし今も、連日後進に向けた講演を行なうなど、忙しい日々を過ごしているという。
 浅木氏は1981年にホンダに入社し、F1をはじめ様々な開発を担ってきた。今年のオーストラリアGPの際、浅木氏にキャリアでの最高傑作は何かと尋ねると、次のように語っていた。
「私が開発責任者としてやったのは、N-BOX、F1、そして気筒休止エンジンの3つです」
 そう浅木氏は語る。
 気筒休止エンジンについては、聞き馴染みのない方も多いかもしれない。これはV6エンジンで稼働する気筒数を、必要に応じて変化させるモノであり、それによって燃費を改善。特に北米で大活躍し、大きな利益を上げたという。
「このエンジンは6気筒を4気筒、3気筒と切り替えて燃費を良くするというモノです。ですが、6気筒を3気筒にしたりすると、振動が出てしまいます。その時、ホンダの内部にいた人間が”アクティブ・エンジンマウント”というモノをディーゼルエンジン用に開発していました。ただディーゼルエンジンは、そういうモノなどなくても商品化できていましたから、その人物に『俺と組まなきゃ、それは世に出ないぞ』とちょっと騙して、そのアクティブ・エンジンマウントを使うことで振動への対策を施して商品化できました」
「そのV6エンジン搭載モデルは北米で利益を上げて、今のホンダの基礎を作ることができました。技術者としては、非常に難易度の高い開発でした」
「N-BOXも、軽自動車は価格が勝負だと言われたのに、どう考えてもウチで安く作れる気がしませんでした。ただ売価で対抗するのは無理でも、他社さんが持っていない技術を入れると、我々の方がお客様に響くモデルが作れると分かりました」
「新しい魅力を作ることでなんとか戦えました。このN-BOXが売れたおかげで、日本での雇用を守ることができました。当時は円高で輸出ビジネスが厳しい環境だったので、日本で作るモノがなくなるところでした。また、国内でも販売店でも売れるモノがなくなるところだったんです。そういう状況を避けられたのもよかったですね」 
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