FIA、予算制限の”抜け穴”監視を強化。F1以外のプロジェクト関係者の調査もスタート

 

 motorsport.comが報じたように、FIAは別プロジェクトの活動を役立てるという形で、F1チームが予算制限の抜け穴を利用しようとするのを防ごうとしている。
 懸念されていたのは、一部のチームがロードカーやヨット、自転車の設計など、別の特別プロジェクトに携わるスタッフを予算制限外で雇用し、そこで得られた知識をF1に役立てることだった。
 そうした知識を活用できるチームは、すべての活動を会計処理しているチームと比べ、大きなアドバンテージを得ることができるのだ。
 F1以外のスタッフが悪用されているのではないかという懸念が複数のチームから寄せられる中、FIAは予算制限に計上されていないスタッフからF1チームへ知識の伝達を行なうことを禁止する技術指令を出した。
 技術指令45と呼ばれるこの技術指令は今年初めに考えられ、最近改訂を経て発効された。FIAは各F1チームに対し、F1の運営以外で実施されているプロジェクトから、いかなる知的財産も、予算制限に計上されない形でF1チームに戻すことは求められないと明言されている。
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 FIAはこの問題に真剣に取り組んでおり、チームの活動をより詳細に分析する一環として、チームの非F1スタッフが実際に何をしているかを積極的にチェックしているようだ。これにはF1の予算制限の範囲外であると申告されたスタッフへの聞き取り調査も含まれ、彼らがどのようなプロジェクトに携わっていたかを正確に把握しようとしている。
 さらに、そのようなスタッフが完成させたプロダクトのサンプルを分析し、彼らがF1チームとはまったく別個のものであり、知識が横流しされていないことを確認している。
 これ以外にも、FIAは2022年の予算制限に関する厳密な分析の一環として、トップチームに回答を義務づけた詳細な約100の質問リストを突きつけている。
 各チームは、こうしたFIAの動きを歓迎している。しかし、初期のフィードバックによると、いくつかのチームはオペレーションを変更しなければならなかったようだ。
 あるチーム関係者は次のように語った。
「昔の内部告発制度は信頼されていなかったが、今はFIAがそれに取り組んでいるようだ。うまくいっているようだ」
 この技術指令はF1チームが社内で完全に孤立するのではなく、併せて特別な技術部門を運営し続けることができるような表現になっている。しかし、F1チームから得た知財をF1以外の活動に流用することは許されても、その逆は許されないことが明確にされている。
 しかし、チームがレギュレーションを遵守し、予算制限を回避する別の方法を見つけることがないよう、チームの行動は引き続き監視されることになる。
 そのため、チームは自分たちが支出したものが予算制限に引っ掛からないよう、精力的にチェックしなければならなくなっている。
 カナダGPでメルセデスのトト・ウルフ代表は、チームがどのように運営されているかをチェックするために数十人のスタッフを雇っていることを明らかにした。
「我々は46人が所属する財務部門に巨大な組織を立ち上げ、予算制限をネジ一本まで監視している」
「そこでは年間を通じて支出の傾向を追跡し、我々が何をしているかを調べている。我々は基本的に様々なプロジェクトにリソースを割り当てているからね」
「我々は昨年を通して(予算制限の)ラインを下回っており、今年もそうだ。来年に向けた開発のスイッチを考えると、ほぼ予定通りだ」
 
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