「ドゥカティはズルしてる!」と言うのはもうやめよう……日本メーカーに足りないのは“良い意味での”狡猾さ?|MotoGPコラム
それにしてもドゥカティは強い。容赦ない、とはきっとこういう状況を指すのだろう。
2023年シーズン前半戦は、彼らの圧倒的な強さが際立っていた。今年は土曜日にスプリント、日曜日に決勝レースという形式になっているため、ここまでの8戦では16レースを戦ったことになる。その内訳を見てみると、彼らのうんざりするほどの強さが数字にはっきりとあらわれている。
16戦中の優勝回数は13回。全48表彰台のうち34個を獲得。表彰台独占は5回。ポールポジションは8大会中6回。
4チーム8台体制という数量的な優越性もさることながら、その速さや強さに真っ正面から渡り合って勝負できる陣営がいないこともまた、ドゥカティの天下無敵ぶりをさらに強く印象づける。実際に他陣営を見渡してみると、KTMはトップ争いに加わることが珍しくなくなったとはいえ、ドゥカティの安定感には及ばず、勝負の決め手にも欠ける。アプリリアはパフォーマンスに波があり、互角といえるほどのポテンシャルには至っていない。
そして、日本メーカーのホンダとヤマハはというと、これら欧州勢の背中が見えなくなるくらい遠いところまで引き離され、コンセッション(優遇措置)適用の是非が話題になるほどの状態になってしまった。
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ちなみに、現行ルール上でのコンセッションは、2013年以降に参入したメーカーを対象に想定されている。新規参入企業に対する競争力向上を企図したこのルールを改変し、現状で劣勢な陣営の実力底上げに適用するのが妥当かどうかについては、また別種の議論が必要だろう。
いずれにせよ、今のドゥカティはそんな話題が飛び出すくらいの強さを発揮しているというわけで、2022年にライダー・メーカー・チームの三冠を達成した彼らが、今年はさらにその容赦ない強さに磨きをかけているのは誰に目にも明らかだ。
そして、ドゥカティがこのように圧倒的な強さを発揮すると、それを面白く思わない一部の人々からは冷笑のような批判が起こる。曰く「自分たちが有利になるようなルールに仕向けていったからだ」、あるいは曰く「ルールの抜け穴を探して、正々堂々と戦う他陣営を出し抜いたからだ」云々。
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