ダンパー共通化の噂に揺れるSFパドック……車両セッティングを司る“超重要”アイテムの変革にエンジニアの意見も様々「面白くない」「腕の見せどころ」

 

 最近、スーパーフォーミュラのパドックを騒がせている話題がある。それが、近い将来(おそらく来シーズン)にダンパーが共通アイテム化されるのではないかという噂だ。 なぜダンパー共通化が関係者間で大きな話題となっているのか? それは、ダンパーが現在のスーパーフォーミュラの“クルマづくり”における極めて重要な開発領域となっているからだ。 ダンパーは簡単に言えば、サスペンションの動きを制御するための装置だ。 車両は、路面の凹凸などからくる入力を、タイヤ→ホイール→サスペンションという順番で吸収する。そのサスペンションにはスプリング(コイルスプリングであったりトーションバースプリングであったりする)が設けられていて、これによってその入力を吸収するわけだ。 このスプリングは平たく言えばバネ。通常のコイル状のバネを想像していただくとわかりやすいと思うが、バネは入力を受けると縮んでその力を吸収するが、それに反発して伸びる動きに転じる。ただその後は伸び縮みを繰り返すことになってしまい、放っておけばマシンは“跳ねっぱなし”になってしまう。そのバネの動きを収束させ、“跳ねっぱなし”の状態を抑えるために抵抗を与えるのがダンパーの役割だ。 レーシングカーのグリップを最大限に引き出し、適切な車高を維持して安定したダウンフォースを発生させるためには、車両が進行方向に対して前後に傾くピッチングや左右に傾くローリングなど、車体の姿勢を制御するのが必要不可欠。そのためにダンパーは極めて重要なパーツだと言え、そのセッティングはマシンのパフォーマンスを大きく左右する。 とあるチームのエンジニアは「そこが酷いセットアップなら本当に酷いマシンになってしまうし、逆に良いセットアップなら本当に速く走れる。その感度が非常に大きいんです」と話す。 そんな“超重要アイテム”であるダンパーは現状、チームによって様々なメーカーのものが使用されている。ダンパーの減衰力の設定が同じだったとしても、メーカーが違えばドライバーのフィーリングは異なるとのこと。その中でチームは「自分たちのやりたいことができるダンパー」を追い求め、メーカーにオーダーメイド品を特注したり、改造をしたり、中には内製もしているチームもあるという。実はインディカーシリーズやフォーミュラEも、スーパーフォーミュラ同様に車体はワンメイクだが、ダンパーはチーム独自に開発が行なわれている。 そんなダンパー開発を規制するという動きに関しては、コストの削減を理由に以前から様々な案が話し合われているという。一部のチームが使う先進的なダンパーを規制するという案、現在使用するダンパーの開発を凍結するという案……それらが二転三転した結果、現在は来季から共通ダンパーが導入される方向で話が進んでいると言われる。ワンメイク供給となるメーカーについては、まだ確定していないようだ。 この動きに関しては、関係者間でもその立場によってかなり意見が分かれている。匿名で取材に応えてくれたエンジニアのコメントのうち、一部を紹介する。 …読み続ける

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