【角田裕毅F1第3戦分析】予選では旧型フロアを使用。Q2終盤に戦略を変更、1アタックにかけて自己ベストを更新
F1第3戦オーストラリアGPの予選開始直前に国際自動車連盟(FIA)から発表された予選中の降水確率は90%。いつ雨が降ってきてもおかしくない状況のなか、ウイリアムズ勢に続いてピットレーン出口にマシンを並べたのがアルファタウリ勢だった。前が角田裕毅で、後ろがニック・デ・フリースだ。しかし、この2台は異なるスペックのフロアを使用していた。角田が第2戦サウジアラビアGPまで2台が使用していた旧型で、デ・フリースがオーストラリアGPから投入した新型だ。
このふたつのスペックで最も大きな違いは、フロアの先端部分とその側面部分の形状だ。写真は金曜日のフリー走行1回目のもので、このとき新しいフロアを使用していたのは角田で、デ・フリースは旧型のフロアを使用していた。
その違いは大きく3つある。まずひとつは『ORLEN』と描かれたサイドフェンスの左上がへこんでいることだ(矢印1)。その結果、直後に盛り上がった部分ができている(矢印2)。そして、その盛り上がった部分の側面に『HFD』のロゴが移動した。なぜなら、前方からの傾斜が矢印の2と3の間で収束したためだ。その結果、フロア上面が矢印3の部分で最も低くなっている。さらに写真ではわかりづらいが、上面の奥行きも広がっている。
この新しいフロアを使えなかった角田は、Q1でチームメイトに遅れをとる苦しい戦いを強いられた。それでも、デ・フリースに対して0.021秒差に迫るタイムを叩き出して、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がコースアウトして脱落したことにも助けられて、15番手でQ1を通過した。
Q2でもトップ10内を目指してライバル勢と接戦を繰り広げていたが、Q2の1セット目のタイヤでのアタックを終えてピットインしたとき、国際自動車連盟(FIA)の車重計量に呼ばれてしまう。これはFIAが抜き打ちで予選中に行う車検のひとつ。普段なら問題はないのだが、今年のオーストラリアGPは気温が低く、タイヤのウォームアップに時間を要するため、角田とチームは1セットのタイヤで2アタックする計画を立てていた。もちろん、2回目のアタックが最も速いラップタイムとなることを想定している。
1セットのタイヤで2アタックするということは、通常のアウトラップ→アタックラップ→インラップの3周ではなく、アウトラップ→アタックラップ→クールダウンラップ→アタックラップ→インラップの5周を要するため、時間がかかる。しかし、車重軽量に呼ばれ、さらに計測自体にも時間をいつも以上に要してしまったため、チームは残り時間を考えて、最後のアタックは2アタックではなく、1アタックに変更。タイヤが十分に温まらないままアタックした角田は、自己ベストは更新したものの12番手に終わり、Q2で敗退した。
「結果的には、そんなに悪くなかったと思うんですけど、最後に2プッシュ(1セットのタイヤで2回のタイムアタック)したかったのですが、ウェイトブリッジ(車重計)に呼ばれて時間がなかったので、(2回目のアタックを)キャンセルせざるを得なかったです」
予選後、角田はそう語った。
もし、2回アタックできていたら、トップ10までのコンマ3は縮められたのだろうか?
「コンマ3はわからなかったですけど、タイムアップはできていたと思います」
12番手に終わったが、今シーズンの予選ベストリザルトとなる走りを披露。今回もクルマが持っているポテンシャルを100%引き出していた。
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