現世代F1マシンも、次第にオーバーテイクしづらい傾向に「今もDRSに頼らざるを得ない」とドライバーたち

 

 2022年F1に大規模な技術レギュレーション変更が行われ、F1マシンのデザインコンセプトが大きく変えられた。狙いは、マシン同士のバトルを容易にすることであり、当初は効果が確認されたものの、2年目の今年、再び同じ問題に直面していると、ドライバーたちは述べている。

 新世代F1マシンにおいては、ダウンフォースの大半を、ウイングとボディワークではなく、マシン底面から得ることに焦点が置かれた。グラウンドエフェクトマシンの狙いは、先行するマシンによる乱気流の影響を後続車が受けにくくすることにあった。この“ダーティエア”は、後ろを走るマシンのダウンフォースを最大50%減らす。ライバルに対してダウンフォースが半減するとなると、オーバーテイクは困難というより不可能だ。

 マシン底面からダウンフォースを発生させることで、後続車が失うダウンフォースは15%から20%となる。昨シーズン序盤にドライバーたちは、他のマシンを追うこと、追い抜くことが、かなり楽になったと報告していた。

 しかしそれから1年半経った今、問題が再発しているようだ。設計者たちは空力をある程度まで再調整し、それによりグラウンドエフェクトマシンでも、ライバルのすぐ後ろに続くマシンのダウンフォースが大きな影響を被ることになった。

2023年F1第15戦イタリアGP マックス・フェルスタッペン(フェラーリ)

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、「マシンの効率がどんどん良くなり、ダウンフォースも増えていると思う。だから前のマシンについていくのが前より難しくなっているんだ。ストレートでのマシンの効率が向上している」と述べている。

 昨年、グラウンドエフェクトマシンが導入された際、それがDRS(ドラッグ・リダクション・システム/ドラッグ削減システム)の終わりの始まりだと期待する向きもあった。DRSは、リヤウイングのフラップを開くことで、ドラッグが減って、最高速が伸び、前車をオーバーテイクしやすくするためのシステムだ。しかし現状、DRSをなくすことを考えられるほど、現世代のマシンはオーバーテイクがしやすいとはいえないようだ。

「DRSを減らすことが最善の方法ではないのは間違いない」とレッドブルのセルジオ・ペレスは言う。

「今のマシンは、前車についていくのが、より難しくなりつつある。むしろ、レースを向上させるためには、DRSがさらに必要な場所さえあるんだ」

 フェラーリのカルロス・サインツは、「99%のコースでDRSが必要になると思うし、強力なDRSが必要だ」と述べた。

「マックスも言ったように、今年の初めから、F1マシンは、2021年や2020年の頃のように、前のマシンについていくのが難しくなっているからだ」

 FIAはこの問題を認識しているが、すべてのチームが2024年のデザインコンセプトを確定させているため、2025年より前に空力レギュレーションが大きく変更されることはないだろう。

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