ペレス、ルクレールとの激闘制す。フェルスタッペン7位でタイトル決定は次戦日本GPにお預け|F1シンガポールGP

 

 F1第17戦シンガポールGPの決勝レースが行なわれ、レッドブルのセルジオ・ペレス(レッドブル)が優勝した。
 2019年以来3年ぶりの開催となった今回のシンガポールGP。赤道直下ということもあり、グランプリ2日目から舞台となるマリーナベイ市街地サーキットは雨に濡れた。
 ウェットからドライへと変化する難しい路面コンディションの中行なわれた予選では、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジション。フロントロウをペレスと分け、そのふたりの結果次第ではシンガポールGPで2連覇が決まる可能性があったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、燃料搭載量のミスにより最終盤にタイム計測ができず8番手となっていた。
 迎えた決勝レースでも降雨の可能性が指摘されていたが、その予想が的中……現地18時30分を過ぎた頃から大雨がサーキットを襲い、天候は次第に雷雨へと変わっていった。
 これにより決勝レースのスタート進行に向けたピットレーンオープンがディレイ。ドライバーやチーム、ファンは天候の回復を待った。
 現地時間20時に近づくと雨脚も弱まり、20時30分にピットレーンオープンとなった。1時間5分のディレイを経てフォーメーションラップが開始され、各車がインターミディエイトタイヤを履いた。
 少なくとも新品のインターミディエイトタイヤを持つドライバーは全て新品を選んだが、アルファタウリ勢は手持ちの新品インターミディエイトタイヤがないことから、中古タイヤを履いた。
 メルセデスのジョージ・ラッセルがピットレーンスタートを選択したことで、19台がグリッドへ。赤く灯ったシグナルが消え、全61周の決勝レースが幕を開けた。
 スタートで抜群の蹴り出しを見せたのはペレス。ターン1を先頭で周り、ルクレールは2番手に後退。ルイス・ハミルトン(メルセデス)を交わしたカルロス・サインツJr.(フェラーリ)が3番手に浮上した。
 一方フェルスタッペンは蹴り出しが悪く、オープニングラップで12番手にまで順位を下げたが、抜きにくいマリーナベイ市街地サーキットではあるものの、2周目以降はひとつひとつポジションを回復していった。
 序盤からトップ2のペレスとルクレールがファステストラップを叩き出し合いながら、3番手サインツJr.以下を引き離していった。
 しかしレース7周目、後方でクラッシュが発生。周冠宇(アルファロメオ)がニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)に押し出される形で、ウォールにヒットしたのだ。
 周はエスケープゾーンにマシンを止め、ラティフィはピットまで戻ってこれたもののリタイアを選択。これによりイエローフラッグが提示されたが、後にセーフティカー(SC)出動へと切り替わった。
 レースは11周目から再開。SCによってタイム差は縮まったものの、再びトップ2は抜け出していく。3番手サインツJr.や4番手ハミルトンよりも1周1秒近く速いタイムで飛ばした。
 上位勢に順位の変動は無かったが、フェルスタッペンは1周でセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)とピエール・ガスリー(アルファタウリ)を攻略し、シンガポールGPで歴代最多出走となった6番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)に襲いかかった。ただフェルスタッペンは、”ベテラン”アロンソに対して抜きどころがないのか、7番手のまま周回数が消化されていった。
 スリックを投入するのか、それともインターミディエイトタイヤで引っ張るのかチームが頭を悩ませる中、フェルスタッペンを抑え込んでいたアロンソにエンジントラブルが発生……これによりバーチャルセーフティカー(VSC)が出された。
 メルセデスはこれを機に、後方を走っていたラッセルにミディアムタイヤを履かせたが、VSCが解除された直後はチームメイトのハミルトンから8秒落ちというタイム。スリックタイヤを投入するにはまだ早かったようだ。
 レース26周目に再びクラッシュが発生。アルボンがターン8で止まりきれずにウォールにヒットしてしまったのだ。アルボンはピットへ戻りリタイアを選択した。
 アルボンの脱落したフロントウイング回収のために提示されたVSCはすぐさま解除されたものの、28周目にエステバン・オコン(アルピーヌ)のマシンがエンジンブロー。これによりレース3度目のVSCが提示された。レース折返しを前にウイリアムズ勢とアルピーヌ勢が全滅、周を含めて5台がレースを終えた。
 レースは30周目から再開。スリックタイヤを履くラッセルはインターミディエイトタイヤ勢のタイムを上回り始め、これを見た中団勢からピットへ飛び込んだ。上位勢では2番手ルクレールが先にピットイン。アンダーカットを阻止すべく、翌周にペレスもピットへ入り新品のミディアムタイヤへ切り替えた。
 続々と各車がタイヤを変えていったが、ターン10でピットアウト後の角田裕毅(アルファタウリ)がクラッシュ。再びSC出動となった。
 SC中にマクラーレン勢がピットインを済ませたことで、全車がタイヤ交換義務を消化。この時点では、首位ペレスをルクレールとサインツJr.のフェラーリ勢が追いかけ、5番手フェルスタッペンを挟むようにマクラーレン勢が走った。7〜8番手にはアストンマーチン勢、角田同様にターン10で止まりきれずにフロントウイングを壊していたハミルトンが9番手、ガスリーが10番手というトップ10だった。
 レースの最大時間2時間以内に全61周を走り切る可能性が低くなったことで、国際映像のカウント表示も周回数から残り時間へと切り替わり、残り35分からレース再開。ペレスを先頭に上位陣は順当にレーシングスピードへ戻っていったが、ランド・ノリス(マクラーレン)のオーバーテイクを狙ったフェルスタッペンはタイヤをフルロック……大きなフラットスポットを作ってしまったことで、ピットインでのタイヤ交換を強いられた。
 先頭集団に目を戻すと、後方から2秒近く速いタイムで周回する首位ペレスと2番手ルクレールの差は1秒圏内に。ペレスがパワーユニットのドライバビリティに問題があると訴える中、残り時間が30分を切ると、このレースで初めてDRSが使用可能になった。
 追い立てるルクレールに対してペレスも何とかペースを上げる。ペレスは1分49秒台のファステストラップを刻み続け、ルクレールとのギャップを逆に押し広げていった。
 ルクレールはペレスについていくことができず、残り時間がゼロになった時点でそのギャップは7秒以上にまで拡大。ペレスはSC中の手順違反の疑いによりレース後の審議対象となっているが、5秒のタイム加算ペナルティが科されても問題のないセーフティマージンを築いた。
 ペレスは手を緩めることなく飛ばし続け、そのままトップチェッカー。モナコに続いて今季2勝目を14台完走のサバイバルレースとなったシンガポールGPで挙げた。
 2〜3位にはフェラーリのふたり。ペレスとの真っ向勝負に敗れることとなった。
 その後ろ4〜5位にはマクラーレンのノリスとダニエル・リカルド。コンストラクターズランキング4位争いを展開するアルピーヌが全滅する中、大きな大きなポイントを手にした。
 6位には今週末終始速さを見せてきたランス・ストロール(アストンマーチン)。フェルスタッペンは最終ラップでベッテルを交わし7位。オープニングラップから小さなミスが重なり、結果的に予選順位からひとつポジションを上げるに留まった。
 そのためフェルスタッペンのタイトル決定のチャンスは、鈴鹿サーキットで行なわれる次戦日本GPへ持ち越し。フェルスタッペンが日本の地で優勝+ファステストラップを獲得した場合、ドライバーズチャンピオンシップ連覇が決定する。
 日本GPはシンガポールGPと同様に2019年以来3年ぶり、フェルスタッペンがタイトルを決めるのか、大きな注目が集まる。
 
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