マクラーレンF1『MCL60』の実車はレッドブルの空力哲学を踏襲か。60周年記念イヤーは命名規則と体制を変更
マクラーレンF1が現地時間2月13日にイギリス・ウォーキングにあるマクラーレン・テクノロジー・センターで新車発表会を開催した。
マクラーレンの新車はロン・デニス時代にマクラーレン・プロジェクト4(マールボロ・プロジェクト4という説もある)の頭文字をとった『MP4』が使用され、MP4/1(1981年)からMP4-31(2016年/1997年のMP4-12よりスラッシュからハイフンに変更)が冠された。
デニスがマクラーレンを去った後の2017年からはモデルネームが、MP4からマクラーレンの頭文字となる『MCL』に変更。2017年のマシンにはMCL32が使用され、2022年のマシンにはMCL36Aが命名されていた。
通常であれば、2023年のマシンには『MCL37』が付けられる予定だったが、マクラーレンはチーム創設60周年を記念し、『MCL60』を採用した。
すでにここまでハース、レッドブル、ウイリアムズ、アルファロメオ、アルファタウリの5チームが新車発表のセレモニーを行い、このマクラーレンから後半戦に突入。前半戦はアルファロメオの除く4チームがカラーリングのみの発表だった。マクラーレンにとって37作目となった新車の発表会に登場するのは、どんなデザインになっているのか。だが、壇上に現れたマシンのフォルムは昨年の最終戦アブダビGPを走ったMCL36Aとほとんど同じだった。
ただし、MCL36Aは昨シーズン中、グリッド上で大きく進化を遂げたマシンのひとつで、最終戦アブダビGPを走ったMCL36Aは開幕戦バーレーンGPのものとは似て非なるものだった。最も大きく変更が加えられたエリアがサイドポンツーンで、最終的にはレッドブルのRB18とかなり似た外見となっていた。
サイドポンツーンの形状はそのマシンの空力哲学が垣間見えるエリア。マクラーレンはサスペンションもフロントがプルロッドでリヤがプッシュロッド方式というレッドブルとまったく同じシステムを採用している。現在のF1のサスペンションは空力的な要素が占める割合が大きいことを考えると、マクラーレンがレッドブル型の空力哲学を追従するのは、ごく自然な流れでもある。
したがって、この後、バーレーンのプレシーズンテストまでに行われるであろうシェイクダウンに登場してくるMCL60の実車は、MCL36Aを進化させたものであり、それはレッドブルの空力コンセプトを踏襲した外見になっているものと考えられる。
この新車発表イベントでは、マシンのカラーリング以外にもふたつの新しい顔が登場した。ひとりは、アンドレアス・ザイドルからチーム代表の座を引き継いだアンドレア・ステラ。もうひとりは、ダニエル・リカルドに代わって加入したルーキーのオスカー・ピアストリだ。
マクラーレンにとって60年目のシーズンとなる2023年は、伝統と改革が融合した2022年までとは異なる新しいシーズンとなることだろう。
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