【角田裕毅F1第1戦分析】低速コーナーでバランスに苦戦。気温の下がったFP2でもグリップ不足は解消せず
「ちょっとビックリしています。ここまで遅いとは思っていませんでした」
F1開幕戦バーレーンGPの初日のフリー走行を終えて、ガレージ裏に出てきた角田裕毅(アルファタウリ)は、そう言って初日18番手という結果に下を向いた。
予兆は走り始めから感じていた。午後2時半から始まったフリー走行1回目で、マシンのフィーリングがよくなかった。
「低速コーナーで結構バランスに苦しみました。暑いコンディションだとグリップ不足がより極端に出るので、そういうところが低速コーナーの立ち上がりで出て、バランスに苦しんだという感じでした」
バーレーン・インターナショナル・サーキットの低速コーナーは3つある。ひとつは1〜2コーナー、ふたつ目は8コーナー、そして3つ目が10コーナーだ。筆者は1コーナーのブレーキングポイントと、10コーナーの立ち上がり付近で見ていたが、角田だけでなく、チームメイトのニック・デ・フリースも低速コーナーで苦しんでいた。
ただし、日中に行われるフリー走行1回目は路面温度が高いため、グリップ不足が起きやすい。日没後に行われるフリー走行2回目は路面温度が下がるため、その点は改善されるはずだった。
ところが、午後6時に始まったフリー走行2回目でも、コースインした角田はグリップ不足に悩まされ続けた。
「バランスはフリー走行1回目ほどひどくなかったのですが、ただただグリップ不足に苦しんだという感じです」
それは予選を想定した1周だけのタイムアタックを行うパフォーマンスランだけでなく、レースを想定したロングランでもグリップ不足は続いた。
「パフォーマンスランのときよりは、ロングランのほうがよかったと思います。バーレーンではロングランのペースがレースで非常に重要になるので、それはポジティブ。ただ、ロングランで一緒に走ったのは周冠宇(アルファロメオ)だけなので、ほかのペースはこれからデータを見ないとわからないです」
その周の後ろを走っているときでさえ、角田は「周冠宇の後ろを走っていて、1コーナーとか、10コーナーでのトラクションのかかりが悪いので、そこを改善しないといけない。これからエンジニアとデータを見て、クルマを改善します」という。
なぜなら、このままでは予選で戦えないからだ。
「あとコンマ数秒、見つけないと予選でQ2に行けないし、そうなるとレースでポイント獲得も難しいかもしれない」
2023年開幕戦初日。角田は険しい表情でエンジニアリングルームへ消えていった。
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