F1第3戦木曜会見:1年前とは状況が逆転「どこを改善すればいいかわかっている」と繰り返すルクレールに見えた焦り
F1第3戦オーストラリアGPの木曜会見パート1にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が登場したが、ここまでの2戦がリタイア、7位という結果のせいか、見るからに表情が冴えない。そんなルクレールを励ますかのように、司会者は1年前のオーストラリアGPでの圧勝ぶりから質問を始めた。しかしルクレールは、明らかにノリが悪かった。
Q:1年前のあなたはポールポジションからレースを支配し、20秒の大差をつけて勝利を収めました。あなたにとってもチームにとっても、素晴らしい瞬間でしたね。
ルクレール:確かにいい思い出だ。でも僕らが考えているのは、すでに今年のことだよ。状況は1年前とは、ずいぶん違うからね。昨年ほどよくないパフォーマンスを、これからどうやって向上させていくか。上位に返り咲くために、大規模な作業を行っているんだ。どこを改善すればいいのかもわかっている。ただ今週末に、奇跡が起こるとは思っていない。このあとバクーまで3週間空くので、できるだけ早くマシンをアップグレードしたいね。
Q:そもそも今季のマシンは、1年前のような素性のよさがあるのでしょうか?
ルクレール:どうだろう。結局のところ、相対的なスポーツだからね。昨年との比較でいえば進化しているのは確かだけど、レッドブルの特にレースペースを見れば明らかに不十分だ。やるべきことはたくさんあるということだ。
Q:確かに予選に限れば、前戦サウジアラビアではポールポジションから0.15秒しか離れていませんでした。
ルクレール:そうなんだ。予選一発は、決して悪くない。それが燃料を積んだ重い状態だと、一気に手こずってしまう。とにかくクルマの挙動が、ピーキーなんだ。
1年前と今とでは、ルクレールとマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の状況は完全に逆転している。オーストラリアまでの2戦で、去年はルクレールが1位、2位。それが今季は、フェルスタッペンが1、2位の成績で選手権首位に立っている。
Q: マックス、あなたの場合、今季ここまで何がうまくいったのでしょう。一方チャールズは、何がうまくいかなかったのですか?
フェルスタッペン:昨年はこの時期、マシンの重量が非常に重いのに手こずっていた。予選と決勝で、マシンバランスが大きく変わってしまっていたんだ。しかも信頼性もなかった。ただ昨年のクルマには、多くのポテンシャルがあることもわかっていたよ。アップデートを繰り返して、特に重量を軽くできれば、なんとかなるはずだと。
そんな感じで迎えた1年前のオーストラリアでは、レースで遅れ、さらにリタイアしてしまった。すごく悔しかったよ。でもあの週末を終えて何がいけなかったのか。セットアップもそうだったけど、信頼性にも取り組まなければいけないということも、すぐに理解できた。その後のマシン性能の向上は、1年前の悔しさがきっかけだったね。
ルクレール:マックスのコメントは裏を返せば、僕たちに対する説明のようなものだと思う。(1年前の)最初の数レースはとてもうまくいった。レッドブルは信頼性の面で少し後手に回っていたけど、パフォーマンス面でも僕らの方がよかった。でもその後、ミスが多発する時期があった。その結果、獲れるはずだったポイントをかなり失ってしまった。そしてシーズン後半には、競争力も足りなくなった。昨年のことはもう十分だから、あとは彼らのレベルに追いつくために、やるべきことに集中するだけだ。さっきも言ったように、取り組むべきことはわかっているしね。
Q:取り組むべきことは、具体的にどこですか?
ルクレール:ざっくりいえば、どんなコンディションでもしっかり性能を発揮できるクルマを作ることだね。というのも予選でタイヤグリップが最高のときは、かなりいい感じなんだ。でもレースでグリップが少し落ちると、運転が本当に難しくなって、パフォーマンスも落ちて行く。改善点は、まさにそこだね。
1年前と状況が逆転したふたり。両者の比較を聴くと、「やるべきことはわかっている」と繰り返すルクレールが戦闘力改善に焦りを感じているように思えた。今季のフェラーリが昨年の開幕直後のレッドブルに比べて、より深刻な事態にもがいているのは確かだろう。
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