F1第5戦木曜会見:事前の相談なしに決まったDRSゾーン短縮に反対の声「なぜ短くしたのか全員が理解していない」

 

 2週間後にF1が開催されるイタリア北部のエミリア・ロマーニャ州は、つい最近豪雨による洪水に見舞われた。アルファタウリのファクトリーのあるファエンツァの町も、死者の出る大きな被害を受けている。

 木曜会見に出席し、初体験のマイアミの雰囲気について訊かれたニック・デ・フリース(アルファタウリ)は、「その前に、言わせてほしいことがある」と、司会者の発言を遮った。

デ・フリース:マイアミの話をする前に、ファエンツァの人々に、思いを馳せたい。僕たちのチームはあの町に拠点を置いていて、友人や家族が大変な思いをしている。その一方で僕たちはここマイアミで、暑さを楽しんでいる。被災者の方々のことを思い、事態がすぐに好転することを願い、できることをしたいと思う

ニック・デ・フリース(アルファタウリ)
2023年F1第5戦マイアミGP FIA会見 ニック・デ・フリース(アルファタウリ)

 そのデ・フリースは前戦アゼルバイジャンでクラッシュを繰り返すなど、デビュー以来苦戦を強いられている。開幕から4戦を経ていまだノーポイントなのは、ウイリアムズのローガン・サージェントとデ・フリースのふたりだけだ。

Q:バクーでの苦難の週末を水に流し、新たな挑戦に向かうのはどれほど難しいことでしょうか?
デ・フリース:間を置かずにすぐにレースに戻れるのは、正直ありがたい。ペースはとてもよかったし、チームとしていい方向に進んでいた。それが僕のミスで、すべてが台無しになってしまっていたからね

Q:今年の開幕4戦のうち3戦は市街地レースでしたし、今週もそうです。経験の少ないルーキーにとっては、かなり過酷なレース状況なのでは。
デ・フリース:それは誰にとっても同じことだからね。言い訳はしたくない。市街地サーキットは、ミスを許さない。それがどんな小さな物でも、すぐに結果に跳ね返る。それは走る前から、十分わかっていたことだから

2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)がリタイア
2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)がリタイア

 アゼルバイジャンで今季初表彰台を獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、自身が作曲、演奏したピアノ曲をリリースしたことも、大きな話題となった。

Q:全世界でこれまで200万回再生され、特にアメリカで人気だとか。
ルクレール:僕はあくまでレーシングドライバーで、音楽はあくまで趣味だよ。でも楽しめている。マイアミのあとに、2枚目もリースする予定なんだ。

 ここでエステバン・オコン(アルピーヌ)が、横から口を挟んだ。

オコン:どこに行くにも、ピアノを持って行くの?
ルクレール:いやいやピアノは大きすぎて、一緒に旅行なんて無理だよ。小さいのもあるけど、それでも気軽に持って行けるほどじゃない。実はニックも、ピアノを弾いているんだ。なので時々、そんな話をしている
デ・フリース:同じ先生についていたんだけど、シャルルはもう通ってないんだ

ローガン・サージェント(ウイリアムズ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2023年F1第5戦マイアミGP FIA会見 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)

Q:F1ドライバーでバンドを組めそうですね。ローガンも、参加します?
サージェント:僕は楽器も歌もダメなんだ(笑)

 話題はレースに戻り、アゼルバイジャンでDRS区間が短縮されたことに、ほぼすべてのドライバーが反対意見を述べた。GPDA会長を務めるジョージ・ラッセル(メルセデス)が口火を切り、他のドライバーたちも続いた。

ラッセル:なぜ短縮されたのか、僕たち全員が理解していなかった。誰ひとりとして事前の相談も、意見を求められたこともかったしね。DRSはオーバーテイクを助けるためにあるもので、戦う機会を与えてくれる。うまく行ったときは、いつも興奮する。バクーでは明らかに短すぎた
ルクレール:同感だ。正しい方向とは思えない。今のF1マシンになっても、後ろにピッタリついていくことはまだかなり難しい。特に今年は高速コーナーに比べ、低速コーナーでの追従が少し難しいと感じている。今後のレースでは、DRSを短くしないようにしてほしい
ランス・ストロール(アストンマーティン):バクーでは先行車の1秒くらい後ろにいたんだけど、ターン1で十分に近づくことができなかった。もし去年のように100メートル長かったら、抜くチャンスがあったかもしれない
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):DRSなしでレースができるのが、理想だと思う。でもそれは不可能だからね。クルマが十分に速ければ、DRS区間が短くても抜くチャンスはある。でもコンマ1秒、あるいはコンマ2秒差しかない場合、バクーでそうだったように、DRSトレインにはまった時点でチャンスはない。DRS区間が短すぎるのが一番の問題なのか? 先行車にしっかり追従できないからなのか? いずれにしても現行マシンは重すぎるし、足回りが硬すぎる。だから縁石を自由に乗ったり、違うラインを探すのは無理なんだ

 今週末のマイアミでも、ふたつのDRSの距離を短くすることが決まっている。今後も尾を引く問題になりそうだ。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2023年F1第5戦マイアミGP FIA会見 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

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