F1から次世代の自動車、そして飛行機へ……ホンダの”走る実験室”が目指す未来

 

 かの本田宗一郎は、F1のことを「走る実験室」と称した。そして彼が創業したホンダは、昭和39年(1964年)にF1への参戦をスタート。当時はまだ、市販の四輪車を発売したばかりのメーカーだった。
 しかしF1に参戦し、それだけではなく勝利も手にしたことで、世界にホンダの名が知られることとなった。ある意味F1は、ホンダの礎を築いた一因だと言って過言ではないだろう。
 F1では各メーカーが鎬を削り、覇権を争ってきた。そして勝つために様々な技術が導入され、その技術は市販車にも活かされていった。これはF1に限らず、多くのモータースポーツが”実験室”としての役割を担ってきた。
 そして時は平成、令和と移り変わった今、F1の実験室としての役割が、改めて高まりつつある。ホンダはそれをフルに活用し、未来のために活かそうとしている。
■F1で開発する次世代の燃料
 F1で何が実験されているか……いや正しくは”されようとしている”かといえば、それは次世代の燃料だ。
 現在地球上を走る自動車のほとんどは、ガソリンを燃料として使っている。環境にやさしいと言われるハイブリッド車もその例外ではない。
 このガソリンは、地中深くから掘り起こしてきた原油を材料に生成されたものだ。原油は、数億年前の植物や生物の死骸が、長い年月の間に高温・高圧の環境に晒されて醸成……その植物や生物が生きていた際に体内に取り込んだ炭素が水素と結合して、原油になっている。
 この原油を精製したガソリンを燃やすと、数億年もの間地中に”封印”されていた炭素が、温室効果ガスのひとつである二酸化炭素として大気に放出されてしまうことになる。これが地球温暖化の大きな要因となっているわけだ。
 地球温暖化を阻止するためには、大気中の二酸化炭素を増やすわけにはいかない。つまり、ガソリンを使い続けるわけにはいかないのだ。
 この対策として世界中で、電気自動車の導入が声高に叫ばれた。中には、近い将来エンジン車の販売を禁止すると謳った国もある。しかし現実に目を向ければ、電気自動車に電気を充電するインフラの整備には多大な費用と時間がかかるし、先進国では可能だったとしても、発展途上国に同じことを求めるのは無理……そもそも、電気を発電する際に、火力発電で化石燃料をエネルギー源としていれば、二酸化炭素排出量削減にはまったく繋がらない。
 そこで注目を集めているのが次世代燃料……カーボンニュートラル燃料である。
■水と空気で作られる究極のカーボンニュートラル燃料eフューエル
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