フェルスタッペンが雨に翻弄されたモナコを制する。アロンソが今季ベストの2位【決勝レポート/F1第7戦】
5月28日、2023年F1第7戦モナコGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季4勝目、自身通算39勝目を飾った。2位にフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、3位にエステバン・オコン(アルピーヌ)が続いた。角田裕毅(アルファタウリ)は15位でチェッカーを受けた。
F1とともに歴史を重ねてきたモンテカルロ市街地コースを舞台に開催される伝統のモナコGP。今大会ではC3タイヤがハード(白)、C4タイヤがミディアム(黄)、C5タイヤがソフト(赤)と、もっとも柔らかめのコンパウンドが割り当てられている。
スタートタイヤは、ポールのフェルスタッペン、3番グリッドのエステバン・オコン(アルピーヌ)、5番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)、9番グリッドの角田裕毅(アルファタウリ)、10番グリッドのランド・ノリス(マクラーレン)、12番グリッドのニック・デ・フリース(アルファタウリ)、13番グリッドのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、16番グリッドのローガン・サージェント(ウイリアムズ)、18番グリッドのニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)がミディアム(黄)。そして19番グリッドの周冠宇(アルファロメオ)のみソフト(赤)をチョイス。そのほかがハード(白)と大きく選択が分かれた。
直前の計測で気温25度、路面温度43度、湿度45%、少し上空に雲が漂うコンディションのなか、78周の決勝レースはスタートを迎えた。オープニングラップのターン1では大きく順位は変わることなく、フェルスタッペンがホールショットを守る。
ただターン6のヘアピンで後続のランス・ストロール(アストンマーティン)を含む複数台が接触。この接触の影響もあってかセルジオ・ペレス(レッドブル)と周冠宇、ヒュルケンベルグがピットに入り3台はここでハードタイヤに交換する作戦に。
8周目にフェルスタッペンとアロンソは2.3秒差となる一方、アロンソから3番手オコンまでが7秒差まで広がる。ミディアムタイヤのオコンは4番手カルロス・サインツ(フェラーリ)を蓋するかたちに。勢いはハードタイヤ勢にあるものの、サインツはオコンをなかなか攻略できず、フェルスタッペン、アロンソとのギャップがじわじわと広がる。
そんななか、11周目のターン10でサインツがオコンのリヤにわずかに追突するかたちとなり、フロントウイング左側にダメージを受ける。フェラーリ陣営はピットでのウイング交換を準備するもサインツはペースダウンもほぼなく、コース上にとどまることを選択。
一方、13周目にアロンソが無線で「左フロントがパンクかもしれない!」と訴えるが、チームは「4本とも問題ない」と返答。この周、アロンソのペースが1分18台まで落ちる。アロンソは16周目にはペースを取り戻すも、フェルスタッペンが毎周0.3秒づつリードを広げており、17周目には2台の差は6.7秒まで広がった。
29周目、3番手のオコンが1分16秒台までペースアップ。その動きに呼応したフェラーリ陣営はこの周に予定していたサインツのピットインをキャンセル。サインツもここでプッシュするが、オコンとのギャップは2秒まで広がる。
そして33周目にオコンがピットインし、ハードタイヤに交換。ただ、フェラーリはその翌周の34周目にサインツにピットインを指示。サインツはミディアムタイヤに交換しコース復帰を果たすが、当然ここでは2台の位置関係は変わらず、サインツは無線で怒りを露わにする。
そんななか、35周目のターン10でペレスがマグヌッセンに追突するかたちとなり、フロントウイングを損傷。その周にピットインを強いられ19番手に後退する。
レースも折り返しを迎えた39周目にはフェルスタッペンも1分16秒966とペースアップ。一方、アロンソが周回遅れのデ・フリースに引っかかったこともあり、一旦は縮まった2台のギャップはふたたび9秒まで広がる。
モンテカルロ上空に曇り空が広がり、42周時点で路面温度は37度まで低下。その影響かタイヤが比較的長持ちし、レース後半に差し掛かった43周目にもアロンソが自己ベストを更新する。一方、ハードタイヤスタートのシャルル・ルクレール(フェラーリ)が44周目にピットイン。ルクレールは角田の前8番手でコースに復帰する。
雨の到来を予想し、フェルスタッペン、アロンソはピットを先のばす一方、タイヤ交換済みのトップにつけているオコンは0.2秒づつ上位2台との間合いを縮める。ただ、フェルスタッペンとオコンは40秒近いギャップが開いており、オコンはふたりを脅かすまでには至らない。
51周を迎え、ここでラッセルが「雨だよ」と無線を入れる。その直後、ターン3〜8方向から急激に雨が降り注ぐ。ただ、フェルスタッペン、アロンソの2台は1分24秒までペースを急激に落とすも、まだドライ路面のセクションもあることからコース上にステイ。
角田は53周目、そしてアロンソが54周目にピットイン。角田がインターミディエイトを履く一方、アロンソはミディアムを選択する賭けに出る。54周目にはオコン、ハミルトン、ラッセル、ガスリーらがインターミディエイトに交換。その直後、55周目のターン5でミディアムタイヤのサインツがスピンを喫しウォールにヒット、マシンにダメージはなかったが、サインツは「インターが必要だ!」と叫ぶ。
ここでフェルスタッペンがピットイン。同時にアロンソも2度目のピットイン、コース上マグヌッセンを除く全車がインターミディエイトの交換。その直後、56周目にはヘアピンでストロールが足元をすくわれウォールにヒット。ここでレースを終えることに。
そんななか、マグヌッセンは雨が強まると予想し、フルウエットタイヤへの交換も視野にハードタイヤで周回。ただ、ピットイン直前のターン18でウォールにヒットし、ウイング交換とウエットタイヤへの交換を済ませる。その翌周にはペレスもウエットに交換するが、マグヌッセンは59周目のターン1を曲がりきれずコースオフ。61周時点でペレスはフェルスタッペンから5秒落ちという状況となる。
62周目を迎えトップ10はフェルスタッペン、アロンソ、オコン、ハミルトン、ラッセル、ルクレール、ガスリー、サインツ、角田、ノリスというオーダーに。雨雲は徐々に離れ、63周目にはフェルスタッペンが1分39秒272までタイムを上げ、アロンソとのギャップは20秒まで広がる。
終盤66周目を迎えると、9番手角田の0.7秒背後にノリスが接近。チームは角田にペースアップを求めるが、角田は無線でブレーキのフィーリングの悪さを訴える。
粘りの走りが続くが、68周目のホームストレートノリスにかわされて角田は10番手に後退。さらに翌69周目のターン1でピアストリにかわされる。そして続くターン5の進入で角田はオーバーラン。これでデ・フリースにもかわされ15番手に後退。ブレーキトラブルにより、入賞圏内から一気に遠ざかることに。
フェルスタッペンは70周目にターン17でウォールにわずかに接触する場面も見せるも、2番手アロンソを24秒引き離す。一方フルウエットを履いていたペレスは72周目にインターミディエイトに戻しチェッカーを受けることとなった。
降雨により大荒れとなった78周の戦いを終え、フェルスタッペンが27秒のリードを築いてトップチェッカー。今季4勝目、自身通算39勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。アロンソは今季ベストの2位に続き、3位に2年ぶり自身3度目の表彰台登壇となるオコンが続いた。
4位ハミルトン、5位ラッセル、6位ルクレール、7位ガスリー、8位サインツ、9位ノリス、10位ピアストリまでがポイント獲得。角田は15位でチェッカーを受けた。
次戦となる2023年F1第8戦スペインGPは6月2日〜4日に、スペイン・カタルーニャ州バルセロナのカタロニア・サーキットで開催される。
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