今季のフェラーリは、リスクを避け”安定性”を求めた? アップデートから想像する、SF-23開発の方向性

 

 フェラーリは今シーズン開幕5戦を終えた時点で、1度も勝つことができなかったばかりか、表彰台わずか1回という厳しいスタートを切った。
 しかし決勝レースでのペースでは、レッドブルやアストンマーチンに遅れをとっているものの、予選では高いパフォーマンスを発揮している。このことが、今シーズンに向けた開発の方向性を定める上で、足枷になった可能性がある。
 昨シーズンからレッドブルは、あらゆるコンディションで速かった。一方フェラーリは、予選ではレッドブルと互角に近いパフォーマンスを発揮したものの、レースでは大きく引き離されるという傾向にあった。チームとしては、その理由を解明しなければならないのは明らかだった。
 2021年までは常に優勝争いに加わっていたメルセデスは、2022年に採用したコンセプトが全く機能せず、別の方向に進む必要があるのは明らかだった。ある意味それは単純なことかもしれない。一方でフェラーリのケースは単純とは言えず、予選速いものの決勝で遅い理由を解明するのは、実に難解である。
 今シーズンもその方向性は変わっておらず、今季これまでにフェラーリが投入したアップデートは、軽微な部分が僅か数件のみ。ただこれらを検証すると、彼らがやるべきこととして捉えているモノのヒントを得るには十分だ。
 フェラーリはスペインGPに、新しいリヤサスペンションを投入すべく開発に取り組んでいる。一方マイアミGPでは、改良版のフロアとディフューザーを投入し、上面の下面に多くの変更を加えた。

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