FIA、サファリ・ラリーでのヌービル”失格”事件を受け、立場を明確化「ラリーのルートは、地元住民にとって微妙なバランス……重大問題に繋がりかねない」
先日行なわれたサファリ・ラリーを8位でフィニッシュしたヒョンデのティエリー・ヌービルは、ふたつのスペシャルステージをチームと関係ある人物に下見走行をさせたとして、レギュレーション違反によって失格の裁定を受けた。
これについてFIAは、立場を明確化。走行ルートは、地元住民が普段使っている道であり、不正にアクセスすることが重大な問題に発展する可能性があるため、ヌービルに失格という裁定を下したのは正しい判断だったと語った。
FIAのスチュワードは、ラリー後に以下のような声明を発表し、ヌービルがドライブする11号車を失格とすることを決めた。
「レッキ(ステージの試走)の後、許可を得ていない人物がラリー期間中にスペシャルステージとして使用されるルートを走行していることが確認された」
「その人物は無許可で私有地を走行し、2日間に2カ所でオフィシャルに止められた。スチュワードに提出された証拠により、この人物が11号車のクルーと関係があることが判明した」
ヌービルのコ・ドライバーであるマルティン・ウィダグはスチュワードへの報告の中で、「コーナーカットとは何かという曖昧さと、主催者が偵察の結果導入したと思われるカット防止策がどんなモノであるのか」を理解するために、当該ステージにスタッフを送り込んだと説明した。しかしながらヌービルは判断ミスであったことを認め、謝罪。全責任を負うことを受け入れ、今回のラリーで失格となることを受け入れた。
FIAは今回の件について、ロードスポーツ・ディレクターのアンドリュー・ウィートリーの声明を発表。その立場を明確にした。
「競技者がこのルールの変更を希望しているという状況があることは承知している」
ウィートリー氏はそう語った。
「しかしWRCの競技者の大多数は、公式レッキの前後にステージを視察するために、個人的に代表を派遣するリソースも、あるいは意志もない」
「この問題はWRC委員会で定期的に議論されているものだ。そしてマニュファクチャラー、オーガナイザー、プロモーターの代表者たちは、一環して現在のレギュレーションを維持することに投票してきた」
「FIAは、イベントの主催者と協力し、道路の使用に関する問題に真剣に取り組んできた。公道であっても、サファリ・ラリーの場合のように私有地であったとしても、そのことは地元住民や土地の所有者にとって非常に微妙なバランスなのだ」
「したがって、すべてのアクセスを監視および管理するのは不可欠なことだ。そして不正なアクセスは重大な問題を引き起こし、道路を使うという選択肢を排除しなければならない事態に繋がる可能性がある」
なお声明では、今回のような違反が慣例として繰り返されてきたとは考えていないと強調されている。
「今回のことに基づいて、違法なレッキが『慣習』になっていたとはみなしていない。そう特徴づけることは、WRC委員会やその立場を反映するモノではない」
ウィートリー氏はそう続ける。
「レッキとラリーの間に、道路の状況や行程を変更することは、可能な限り避けられる。変更が必要は場合は、その変更がすべての競技者に十分に通知されることになる」
「具体的な例としては、2020年のサファリ・ラリーでは、ヘルズゲート・ステージの上りセクションに甚大なダメージが生じたため、レッキとラリーの間に一部が再構築された。その結果、パワーステージの1本目が5km短縮され、整備された道をクルーが事前に走行できるようにした。それにより、高速パワーステージを走る前に、路面状況を確認できるようにしたんだ」
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