先週末にスパ・フランコルシャンで起きた悲劇を受け、レッドブルのマックス・フェルスタッペンはオー・ルージュ／ラディオンの複合コーナーが危険であることを認めたものの、ジェッダの第1セクターはドライバーにとって“さらに危険”だと考えている。

　先週末、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパに参戦していた18歳のドライバーのディラーノ・ファン・ト・ホフの死亡事故を受け、スパ・フランコルシャンの安全性が注目された。ファン・ト・ホフはケメルストレートでマシンのコントロールを失い、他のドライバーに側面から衝突された。

　衝突はレース終盤に起きたが、2019年に同じ場所で命を落としたF2ドライバーのアントワーヌ・ユベールの事故とよく似ていた。しかしウエットなコースと大雨によってフィールドで大幅に視野が効かなくなっていたことが、ファン・ト・ホフの悲劇的な運命の主な要因だったと思われる。

　この悲劇を受けて、アストンマーティンのランス・ストロールはスパ・フランコルシャンのレイアウトを変更するよう呼びかけ、その場所の安全性が改善しない限り「F1は危険なゲームをしていることになる」と主張した。

　フェルスタッペンはスパ・フランコルシャンのランドマークであるオー・ルージュ／ラディオンの複合コーナーに伴う危険を認識していたが、2021年にF1カレンダーに追加されたジェッダには、さらに危険な問題があると指摘した。

「危険なコーナーであることは確かだが、ジェッダのセクター1もそうだ。僕にとってはそちらの方がいっそう危険かもしれない」とフェルスタッペンは先週末にオーストリアで語った。

「あのセクターでまだ何も起きていないのはいいことだ。なぜなら（ターン）6、7、8を通過した後に衝突事故が起きたら、同じことになるからだ。視界はまったく利かず、何が来るのかわからない」

「今年の初めにあそこでエンジニアに腹を立てていたのを覚えている。なぜなら僕がランド（・ノリス）の進路妨害をしたからだ。あの感じはわかる。こういうことが起きるのはとても危険だ」

　フェルスタッペンは先週末のスパ・フランコルシャンでの悲劇について、雨のコンディションのなかで大量の水しぶきが上がっていたことが、事故の危険性を大きく高めたと考えている。また、不安定なコンディションのなかでフォーミュラ・リージョナルのレースのリスタートが許可されたことにも疑問を持った。レースはあと1周で終わりだったのだ。

「確かにオー・ルージュは視界が利かないまま上がっていくところだが、この事故はそこよりも先で起きた」

「危険なコーナーがあるコースはたくさんあるけれど、おそらく事故が起きるまでは何も言われることはないだろう。そして今はもちろん話題になっているわけだけれど、コースのせいにするのは少々不公平だと感じている。まずは、なぜ（レースの）リスタートが行われたのか検証しなければならない」

　フェルスタッペンのレッドブルのチームメイトであるセルジオ・ペレスは、スパ・フランコルシャンのコンディションが多重事故の要因であり、それがファン・ト・ホフの事故につながったということに同意した。

「僕が最も重要だと考えていることは、間違いなくコースコンディションだ。レースディレクターたちはおそらくファンやソーシャルメディア、家で観戦している人たちに押されていると思う。彼らには、コースはレースをするのに問題のない状態に見えるだろう。でも一番重要なのは視界なんだ」

「事故は起こり得るが、ドライバーの視界がほとんど利かない状態で全開で進む状況はよくない。どのシリーズでも、大きな事故はそうした状況で起きるものだ」

「そのためにスタートが遅れ、コースが濡れていたらレースができないというのなら、それでいい。すべてのドライバーにとって安全なことをしなければならない」