レッドブル&HRC密着:通算27回目のPP獲得も、フェルスタッペンでさえ一筋縄ではいかなかった難コンディションの予選
2023年F1第11戦イギリスGPの予選は、終わってみれば、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2番手以下に0.241秒以上の差をつけて、ポールポジションを獲得した。フェルスタッペンのポールポジションは第7戦モナコGPから5戦連続で、11戦目にして今シーズン7回目。通算では27回目となり、歴代10位のミカ・ハッキネンを抜いて、史上単独10位となった。
しかし、この日のシルバーストンは雨が降ったり止んだりする難しいコンディションとなり、最速マシンを持つレッドブルでも簡単な状況ではなかった。そのことは、チームメイトのセルジオ・ペレスがQ1で敗退していることからもわかる。
「特にQ1とQ2は、何度か雨が降り、路面もまだ湿っているところがいくつかあって、少し注意しなければならなかった」
この日の予選では、ポールポジションを獲得したフェルスタッペンでさえ、ヒヤッとする場面が何度かあった。まず、Q1の赤旗再開後のときだ。ピットアウトしようとガレージを出たフェルスタッペンが、ファストレーンに出たところで、曲がりきれずにピットレーンのピットウォール側の壁に接触してしまった。この接触でフェルスタッペンはフロントウイングを壊し、メカニックによってガレージに戻された。
「ピットレーンで壁にぶつかるなんて……。エンジニアに何が起きたかの聞かれたので、『アンダーステアを起こしてぶつかった』と説明したよ。ピットアウトしようとアクセルを踏んだら、思っていたよりリヤのグリップがすごくて全然曲がらなかった。よくあることだよ。2、3年前のここでもやっているしね」
フェルスタッペンのマシンをガレージに戻すと、メカニックたちはすぐにさまフロントウイングを交換。赤旗再開後、フェルスタッペンもタイムアタックに出て、事なきを得た。
しかし、フェルスタッペンが赤旗前に記録した暫定トップのタイムは1分30秒719で、それは赤旗再開後の15番手のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)の1分29秒949よりも遅かったことを考えると、もしフロントウイングを壊したフェルスタッペンのピットアウトが遅れて、タイムアタックができなかったら、フェルスタッペンはQ1で敗退していたことになる。
さらにフロントウイングを交換してコースに出ていったフェルスタッペンに、もうひとつの困難な状況が待っていた。それはルイス・ハミルトン(メルセデス)が目の前で、ややゆっくりとアウトラップしていたことだ。フロントウイングを交換したために赤旗再開後のコースインが遅れたフェルスタッペンのタイムアタック順は最後方となったため、Q1のチェッカーフラッグまであまり余裕はなかった。
「僕の前を走っていたほとんどのドライバーはニュータイヤを履いていて、タイヤを痛めないようゆっくりと走行していた。でも僕は中古のタイヤを履いていたから、もっと早いペースで走ってタイヤを温めなければならなかった」
そういうフェルスタッペンは、ピットアウト直後からハミルトンの後方にピタリつけ、ウェリントン・ストレートで抜いていった。もし、あそこで抜けずに、アウトラップでハミルトンの後塵を拝し続けていたら、どうなっていたかわからない。
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