フェルスタッペンが6連勝で今季8勝目。マクラーレンのノリスが大健闘の2位【決勝レポート/F1第11戦】
7月9日、2023年F1第11戦イギリスGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季8勝目、自身通算43勝目を飾った。2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にルイス・ハミルトン(メルセデス)が続いた。角田裕毅(アルファタウリ)は16位となった。
イギリス・ノーサンプトンシャーに位置するシルバーストン・サーキットを舞台に開催された今季10レース目。今大会ではC1タイヤがハード(白)、C2タイヤがミディアム(黄)、C3タイヤがソフト(赤)と、前戦よりも固めのコンパウンドが割り当てられている。
スタートタイヤは、多くの車両がミディアム(黄)を選択。6番手スタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)、13番手スタートのエステバン・オコン(アルピーヌ)、16番手スタートの角田、18番手スタートのニック・デ・フリース(アルファタウリ)の4台がソフト(赤)をチョイス。11番手スタートのニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)、20番手スタートのバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)の2台がハード(白)を選択した。
レース前は雲の隙間から青空が顔をのぞかせたシルバーストン。ただ、レース中の降水確率が40%と予報されたこともあり、予選日に続き天候の変化に神経を使う決勝日となるなか、気温22度、路面温度29度、湿度52%というドライコンディションで、52周の決勝レースはスタートを迎えた。
ホールショットを奪ったのは2番手スタートのランド・ノリス(マクラーレン)。2番手フェルスタッペン、3番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)のオーダーでセクター2に飛び込む。
スタートでトップを失ったフェルスタッペンにピアストリが果敢に攻める。過去しばらく見られなかったマクラーレンに追い立てられるレッドブル&フェルスタッペンという姿にシルバーストンに駆けつけた観客は歓声を上げる。また、後方では角田が16番手から13番手にジャンプアップ。ハードタイヤを履くヒュルケンベルグを先行することに成功した。
マクラーレン勢の勢いはスタートだけではなかった。2周目にはピアストリがファステストを更新。3周目よりDRS使用可能となるも、ピアストリはフェルスタッペンの圏内を死守。ただ、DRSを使えるのはフェルスタッペンも同様。5周目のウェリントンストレートでDRSを使用したフェルスタッペンがターン6でノリスを先行する。
これでフェルスタッペンが首位に返り咲くが、ノリスは2番手でフェルスタッペンのDRS圏内に食いつく。またピアストリもノリスのDRS圏内で2台を追う。この時点で4番手はシャルル・ルクレール(フェラーリ)だったがピアストリとルクレールの間には6周時点で約3秒のギャップが開いていた。
7周目、ペレスがヒュルケンベルグをオーバーテイクする際に2台はわずかに接触。ヒュルケンベルグのフロントウイングが一部破損するが、ペレスにはダメージはなく、続いて角田をかわし13番手に浮上。角田は14番手に後退する。
そんななか、オコンのマシンをオイル漏れが襲い、オコンは10周目にピットに入りレースを終えた。11周目を迎えるとノリスとフェルスタッペンのギャップが1.5秒まで広がり、ノリスはフェルスタッペンに対するDRSを失う。トップ3台はギャップこそ広がるが、ともに1分32〜33秒台のペースで周回が続く。
15周目、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)にかわされた角田がピットイン。残り36周という状況でハードタイヤを選択し、1ストップ作戦を決行する。一方、こちらもソフトタイヤを履く5番手のラッセルは、4番手ルクレールをDRS圏内で追い続ける。しかし、ルクレールをかわすには至らず、2台は接近戦を長時間にわたって繰り広げる。
その2台を追う6番手のカルロス・サインツ(フェラーリ)に「プランBで行こう」と無線が飛ぶ。ただ、サインツは「プランBってなんだっけ?」と返事。そのラップの終わりにチームメイトのルクレールがピットインし、ミディアムからハードに交換。
フェルスタッペンは時折ファステストを更新するが、ノリス、ピアストリも自己ベストに近いペースを維持。レースも折り返しを迎えようかという26周目を迎えるも、フェルスタッペンとノリスのギャップは6.5秒、ノリスとピアストリのギャップが2.3秒、ピアストリと4番手ラッセルのギャップが5.4秒と、マクラーレン勢の速さは衰えない。
29周目、ラッセルがピットインし、ソフトからミディアムに交換。ただ、ピットでわずかにタイムロスがあったか、ルクレールとの位置関係は変わらず。ただ、ミディアムタイヤのラッセルはペースがよく、すでに12周走行したハードを履くルクレールを32周目に容易く攻略する。
その翌30周目には、3番手のピアストリがピットインし、ミディアムからハードに交換すると、この時点ではフェルスタッペンより速い1分31秒ペースで周回。しかし、32周目にケビン・マグヌッセン(ハース)がウェリントンストレートでエンジントラブルからコース上でマシンをとめ、バーチャルセーフティカー(VSC)導入となる。
VSCはセーフティカー(SC)に切り替わり、フェルスタッペンとノリスは34周目にピットイン。また、ハミルトンもこのラップにピットを終えたことでピアストリを先行することに成功、ポジションを3番手に上げた。なお、フェルスタッペンとハミルトンは4ラップユーズドのソフト、ノリスは新品のハードに変えた。
なお、この間にルクレールは2度目のタイヤ交換を実施し、ハードからミディアムへ。15番手の角田も2度目のピットストップを敢行し、ハードからソフトに交換している。フェルスタッペン(ユーズドソフト)、ノリス(新品ハード)、ハミルトン(ユーズドソフト)、ピアストリ(ハード)、ラッセル(ミディアム)というトップ5となる中、レースは39周目に残り14周で再開を迎えた。
ソフトタイヤ勢が優勢となる状況の中、フェルスタッペンが1.5秒のリードを築いて逃げに出る。そんな中、ハードタイヤを履くノリスを、ソフトを履いたハミルトンが一気に攻め立てる。
DRSが使えない状況でノリスは2番手を死守すると、DRSを使えるようになった41周目以降も、ハミルトンをDRS圏内に引きつけながらも、2番手を維持し続ける。その走りを後ろから見るラッセルは「マクラーレンはハードタイヤなのに速い」と無線を飛ばす。
46周目、ターン16でピエール・ガスリー(アルピーヌ)とランス・ストロール(アストンマーティン)が接触。ガスリーは右リヤサスペンション周辺にダメージを受けスローダウン、ピットに戻りレースを終えることに。一方46周目にはペレスがアロンソを攻略し6番手に浮上する。
レース終盤となった48周目、ノリスはハミルトンをDRS圏外まで引き離すも、フェルスタッペンとノリスのギャップは3.7秒まで広がってしまう。また4番手のピアストリはハードタイヤでミディアムを履くラッセルを3秒近く引き離す。それだけに、マクラーレンがもし第2スティントでユーズドでもソフトタイヤを履いていれば、戦局は変わったかもしれない。
52周目、フェルスタッペンがトップチェッカーを受け、今季8勝目を6連勝かつポール・トゥ・ウインで飾った。2位に大健闘のノリス、3位に抜群のピットストップタイミングを得たハミルトンが続き、イギリスGPの表彰台にふたりのイギリス人が登壇した。
以下、4位は大健闘もSCに翻弄されたピアストリ、5位ラッセル、6位ペレス、7位アロンソ、8位アルボン、9位ルクレール、10位サインツまでがポイント獲得。角田は16位となり、入賞には届かなかった。
次戦となる2023年F1第12戦ハンガリーGPは7月21〜23日に、ハンガロリンクで開催される。
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