チーム創設時の”存在意義”を失いつつあるアルファタウリ……将来このチームはどこに向かっていくのか?
現在スクーデリア・アルファタウリとしてF1に参戦しているチームは、2019年まではスクーデリア・トロロッソとしてF1に参戦してきた。 そのトロロッソも、F1に新規参入したチームではない。レッドブルが2005年末に古参チームのミナルディを買収し、2006年から装いも新たにF1に登場したのが、このトロロッソであった。 2006年からF1は、全チームともV8エンジンを使うことが義務付けられた。しかし参戦初年度のトロロッソはV8エンジンを用意することができず、前年までミナルディが使っていたコスワースのV10エンジンに吸気リストリクターを着け、さらに最高回転数を落とし、特例的に参戦をスタートさせた。 そのトロロッソには、当初から明確な役割があった。レッドブルの人材育成の場だ。レッドブルはレッドブル・レーシングとスクーデリア・トロロッソの2チームを抱えることで、まずは自社で育成した若手ドライバーをトロロッソからF1デビューさせ、その中で将来性が高いと判断されたドライバーだけがレッドブルに昇格する……そういうベルトコンベアのようなシステムを構築したのだ。 2006年にはビタントニオ・リウッツィとスコット・スピードが、このトロロッソからF1に参戦。いずれもレッドブルに昇格することは叶わなかったが、このシステムは次第に成功するようになった。 その最初の成功例はセバスチャン・ベッテルだ。ベッテルはデビューこそBMWザウバーにレンタルされる形となったが、2007年のシーズン後半にトロロッソのドライバーに定着すると、2008年にはフル参戦。難コンディションとなったイタリアGPでの優勝、およびその前後での上位フィニッシュが認められ、翌年からはレッドブルに昇格。2010年にチャンピオンに輝くと、2013年まで4年連続で王座に就いた。 このベッテルを皮切りに、ダニエル・リカルド、ダニール・クビアト、マックス・フェルスタッペン、ピエール・ガスリー、そしてアレクサンダー・アルボンが、トロロッソからレッドブルに昇格。そのうちベッテルとフェルスタッペンはチャンピオンに輝き、トロロッソの存在価値を証明することになった。 そのトロロッソは、2020年からレッドブル傘下のファッションブランドの名称である”アルファタウリ”へとチーム名を変更した。そして、その機能はトロロッソ時代とは変わりつつある。 トロロッソ時代には、成績を特に重視せず、若手ドライバーふたりを組ませるということも厭わなかった。しかしアルファタウリになってからは、ベテランと若手を組ませるようになった。その若手とは角田裕毅のことで、ベテラン枠としてはピエール・ガスリーやニック・デ・フリーズ、そしてダニエル・リカルドが当てはまる。デ・フリーズは2023年がF1フル参戦デビューであったが、フォーミュラEで世界チャンピオンを獲得済みであるなど、将来性を見越しての起用ではなかった。そして来季に向けては、何らかの変更が加えられるのは間違いないだろう。 もし来季もリカルドと角田のコンビを続けるなら、多数存在するレッドブル育成の若いドライバーたちにとっては、困ったことになってしまう。 特にリアム・ローソンと岩佐歩夢は、F1昇格に相応しい活躍をここまで見せている。ローソンは慣れない日本の環境で、いきなりスーパーフォーミュラのチャンピオン争いを繰り広げている。また岩佐も、FIA …読み続ける
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