“抜かれたくなさそうな雰囲気”だったローソン。僚友には勝利も、ライバル勢に逆転されレース後は笑顔なし/F1日本GP密着
F1第17戦日本GPの決勝レースで、無難なスタートを切った直後の1コーナー。1列前からスタートしていたアルファタウリのチームメイトの角田裕毅が、その前方で起きた接触事故によって出た土煙と破片を被った瞬間、イン側に走行ラインを変えたリアム・ローソンは、角田とサイド・バイ・サイドのまま1コーナーへ進入していった。
2コーナーで一旦角田の前に出たものの、S字で再び並びかけられる。ダンロップで並ばれ、デグナーのひとつ目のブレーキングで前に出るが、バトルはまだ続いた。スプーンの入口でアウトから並ばれたものの、ローソンは一歩も引かず、アウト側を走っていた角田を押し出す形でスプーンを脱出しようとしていたとき、セーフティカーが導入され、1周目のバトルはローソンが制する形で決着がついた。
「1周目はすごいバトルだった。彼は1コーナーで前に詰まったので、うまくかわすことができた。その後、かなり接近した戦いとなったけれど、とてもフェアなバトルだったと思う」
ローソンはそう振り返った。
ホンダ・レーシングの折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)は「鍔迫り合いしていても、ミスを犯さないところはさすが」と評価しながらも、今週末のローソンにこれまでの3戦とは違った側面も感じたと語った。
「今回は抜かれたくなさそうな雰囲気は出ていたと思います。チームメイトといえど、いやチームメイトだからこそかもしれませんが、すごく(角田を)意識していたように見えました」
なぜ、ローソンがチームメイトの母国で角田とそんなに熱いバトルを演じたのか。それはふたりが争っていたポジションがポイント圏内の最後の1席である10番手だったからだろう。
その後、5番手からスタートしていたセルジオ・ペレス(レッドブル)が1コーナーでの接触事故でマシンにダメージを負ってピットインしたため、ローソンのポジションは9番手に上がり、角田も10番手となった。しかし、セーフティカーが解除されて、再スタートが切られてからも、ピットストップごとにアルファタウリの2台のポジションは入れ替わり、最後のスティントでは1秒を切るチームメイト同士の戦いが再び繰り広げられた。
果たして、レースはローソンが0.885秒差で先にチェッカーフラッグを受けた。
しかし、レース後のローソンに笑顔はなかった。チームメイトに勝ったものの、アルピーヌ勢2台にピットストップ戦略で逆転され、スタートで先行されたアストンマーティンのフェルナンド・アロンソのペースについて行くことができなかったからだ。
「フリー走行の時点ではロングランペースがよかったから、自信はあったんだけど、アルピーヌとアストンマーティンには逆転されたんだから、これからデータをチェックしたい」
そして、こう続けた。
「僕はどのグランプリでもチームのためにポイントを獲得しようと全力で戦う。今日はそれができた」
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