DRSトラブル発生もフェルスタッペンが3連勝で選手権首位に。角田10位、ルクレールはまさかのリタイア【決勝レポート/F1第6戦】
2022年F1第6戦スペインGPの決勝が行われ、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝した。2位はセルジオ・ペレス(レッドブル)、3位はジョージ・ラッセル(メルセデス)となっている。アルファタウリの角田裕毅は10位だった。
スペインGP決勝当日は、この週末一番の暑さとなった。レース開始30分前の午後2時30分の時点で、気温36.4度、路面温度48.9度、快晴。湿度はわずか7%と、まるで砂漠のようなコンディションとなった。2年ぶりに入場制限の解除されたバルセロナ-カタロニア・サーキットは、27万8000人のファンで埋まった。しかし彼らのお目当てのフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は、予選後のパワーユニット全交換で最後尾スタートだ。
スタートタイヤは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)のミディアム以外は全車ソフトを選択した。ただしソフトのニュータイヤを履いたのはポールシッターのシャルル・ルクレール(シャルル・ルクレール)、11番手のランド・ノリス(マクラーレン)以下8台と、新旧が混在している。
ニュータイヤのルクレールが1コーナーを制し、フェルスタッペンが続く。3番手にはラッセルがつけ、ペレスもスタートダッシュを決めて4番手に上がった。5番手に後退したカルロス・サインツ(フェラーリ)を追うハミルトンに、ケビン・マグヌッセン(ハース)が接触。マシンにダメージを負った2台はともに緊急ピットインで、最後尾に転落した。
代わってバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が6番手、ミック・シューマッハー(ハース)も7番手だ。ダニエル・リカルド(マクラーレン)8番手、エステバン・オコン(アルピーヌ)9番手、ノリス10番手。そして13番手スタートの角田は、ふたつ順位を上げて11番手だ。最後尾スタートのアロンソも、一気に14番手まで上げてきた。
7周目、サインツがターン4で単独スピン。グラベルに飛び出して、11番手まで後退した。そして9周目には、フェルスタッペンも同じコーナーでコースオフ。ペレスの背後、4番手でコースに復帰した。中古ソフトタイヤが苦しくなっているところに、ブレーキング時の追い風で挙動を乱したようだ。
これでルクレールは独走状態となり、2番手ラッセルに10秒近い差をつけた。フェルスタッペンはペレスを抜いてラッセルを追うが、担当エンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼから「DRSが動いてない」と、警告を受けている。
13周目以降、各マシンが次々に1回目のタイヤ交換へと向かう。4番手でコース復帰したフェルスタッペンは、DRSが一瞬しか開かず、すぐ前のラッセルをなかなか抜けない。18周目に2番手のペレスもピットイン。ノンストップで走り続ける首位ルクレールと2番手ラッセルの差は、30秒まで広がった。
22周目、ルクレールがピットイン。わずか2秒2の滞留時間で、悠々とコース復帰。2番手ラッセルとの差は5秒5だ。ようやくDRSの開いたフェルスタッペンはターン1のブレーキングでついにラッセルを先行しかけたが、2、3コーナーでのラッセルの絶妙なライン取りにより抜くことができない。その間にルクレールは最速ラップを刻み、ラッセルに11秒以上の差を築いた。
27周目、楽勝の展開だったルクレールがスローダウン。「パワーがない」と叫ぶルクレール。ゆっくりピットに向かい、そのままコクピットを降りた。これでラッセルがトップに。メルセデスが首位を走るのは、実に今季初めてのことだ。
ラッセルを抜きあぐね続けたフェルスタッペンは、アンダーカットを狙って29周目に2度目のピットイン。中古ソフトを履き、ボッタスの後ろ4番手でコース復帰にした。
31周目、DRSがしっかり作動しているペレスが、1コーナーでラッセルを抜いて首位に立った。フェルスタッペンも最速タイムを連発しながらボッタスをかわし、3番手に上がった。レース中盤の33周目の時点で、首位ペレス、2番手ラッセル、3番手フェルスタッペン、4番手ボッタス、5番手オコン、6番手ノリス、7番手サインツ、8番手ハミルトン、9番手セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)、そして10番手には2回目のピットインを終えたばかりの角田がつけている。
1周2秒以上速いフェルスタッペンが、みるみるラッセルに迫って行く。36周目にはDRS圏内に入った。するとラッセルは37周目にピットイン。フェルスタッペンは労せず2番手に上がったが、今のソフトタイヤでチェッカーまでは走り切れない。するとペレスが38周目に2度目のピットイン。ラッセルの前でコースに戻り、フェルスタッペンを援護する目的だ。
44周目、フェルスタッペンが3回目のピットイン。3番手ラッセルの1秒前でコースに復帰した。これでペレス、フェルスタッペンのレッドブル1-2体制が構築された。フェルスタッペンがペレスとの差を詰めて行き、49周目のターン1で順位が入れ替わった。「ありがとう!」と、フェルスタッペン。
51周目、ソフトに履き替えたハミルトンが最速タイムをマーク。それを見たレッドブル陣営は、ペレスをピットに入れ、1分24秒108のタイムで最速ラップを奪い返した。
終盤60周目、サインツを追い回していたハミルトンがターン1で抜き去り、4番手まで上がった。大波乱のレースもこれ以上大きな動きはないかと思われたが、チェッカーまで数周のところでメルセデス2台にスロットルを緩めるよう指示が飛んだ。これでサインツが労せずハミルトンを抜き返し、4番手に復帰。
そしてフェルスタッペンがトップでチェッカーを受け、エミリア・ロマーニャGP、マイアミGPからの3連勝を遂げた。これでドライバーズ選手権では、0ポイントに終わったルクレールに6ポイント差をつけて、ついに暫定首位に立った。
さらにペレスが2位に入ったことで、イモラ以来の1-2フィニッシュ。コンストラクターズ選手権でもフェラーリを逆転した。しかしペレス自身は、「チームのためにうれしいけど、あとで話そう」と、勝利をフェルスタッペンに譲ったことには必ずしも納得していないようだった。
3位ラッセル、4位サインツ、5位ハミルトン、6位ボッタス、7位オコン、8位ノリス、9位アロンソ。そして角田がしぶとく10位に入り、今季3度目の入賞を果たした。
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