広告予算ゼロ……テスラCEOのイーロン・マスクが、広告出稿を検討する理由
テスラのCEOであるイーロン・マスクはこれまで、自社製品をPRするための広告を出稿しないのが常だった。しかし最近になってマスクCEOは、この方針について考え直す必要があるかもしれないと考えているようだ。
マスクCEOはこれまで、テスラには広告予算が一切ないと主張してきた。事実、このEVメーカーは、他の自動車メーカーのようにCMを打ったり、ソーシャルメディアに広告を掲載するようなことはほとんどない。そのかわりに、資金を投資に回し、会社を成長させるために使っている。
実際、テスラの供給能力は、現時点では需要に追いついていないため、そもそも広告を出す必要はないかもしれない。しかし、テスラのファンやオーナー、そして投資家たちは、マスクCEOに、広告に関する考えを再考するように促してきた。
最近のインタビューの中でマスクCEOは、広告を出稿することが役に立つかもしれないと考え始めていることを認めた。広告を出稿するということは、そのメディアの広告枠を買うということであるため、広告を出稿すればそのメディアから特別扱いを受ける可能性があると考えているようなのだ。
実際、自動車メーカーはメディアにとって最大の広告主のひとつであり、出稿を受けているメディアは、広告主を貶めるような記事を掲載することはないだろう。それが、マスクCEOの考えだ。
「広告を出すべきだという意見もある」
そうマスクCEOは語る。
「伝統的にメディアは、自動車に関する否定的な記事を掲載することはない。なぜなら自動車メーカーは、紙面における最大の広告主のひとつなのだ。最大ではないにしてもね」
広告を掲載するためにメディアにお金を支払っていないテスラは、容易に批判的な記事を掲載されてしまう立場にある。その批判的な意見に対抗するためのPR部門もテスラにはないため、一大キャンペーンを貼られてしまえば、不利な立場に立たされるかもしれない。
マスクCEOは次のように続ける。
「テスラは基本的に、従来のメディアにとっては自由に扱える存在なのだ。一方でゼネラルモーターズに関する批判的な記事を、ゼネラルモーターズの広告の隣のページに掲載したら、同社のマーケティング担当役員が電話をかけてきて『どうしてそういうことをしたんだ?』と問い合わせてくるだろう」
アメリカの自動車産業は、2020年だけで120億ドル(約1兆6540億円)以上をデジタル広告に費やしているという。そして2021年のデータによれば、伝統的な自動車メーカーよりもはるかに小規模な会社であるテスラは、広告予算こそ0ドルながらも、研究開発費に他メーカーよりもはるかに多くの金額を費やしたことが明らかになっている。
ただ興味深いことに、テスラは他の自動車メーカーが打つEV車両の広告の恩恵を受けているという。他メーカーがEVの広告を掲載することで、EV全体への注目が高まり、しかも他メーカーが広告にテスラの車両を比較として登場させることで、その広告主のメーカーだけではなく、テスラに対する注目も高まるようになったようだ。
実際テスラへの注文は、ライバルメーカーのEV車両の広告が多数出された、スーパーボウルの後に急増したという。
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