【角田裕毅F1第14戦密着】ピットストップ時のタイムロスで集団の後方に。結果には繋がらずも「やれることをすべてやった」
F1第14戦ベルギーGPの日曜日、国際自動車連盟(FIA)から1枚のリリースが出された。そこには、角田裕毅(アルファタウリ)が今季5基目となるICE(内燃エンジン)、ターボ、MGU-H、MGU-K、6基目のエキゾーストを投入したと記されていた。これにより、角田は最後尾からのスタートとなるはずだったが、FIAの説明にはパルクフェルメ規定違反に伴い、角田はピットレーンからスタートすることになるという旨の説明がされてあった。
その理由はFIAに許可なく交換作業を行ったためだと報告された。
なぜ、アルファタウリは許可なく交換作業を行ったのか。チーム関係者によれば、許可なく交換作業を行ったというより、ピットレーンスタートになることを覚悟したうえでパワーユニットの交換を行ったという。
「土曜日の予選を19番手で終えた段階で、グリッドペナルティを受けているドライバーがユウキの前に6人いたことから、ユウキのスタートポジションは13番手となった。しかし、その6人のなかにはマックス(・フェルスタッペン)やシャルル(・ルクレール)など明らかに我々よりペースが速いドライバーがいるため、実質的なスタートポジションはそれほど前ではないと考えた。さらにすでに1基目と2基目のパワーユニットが使用できない状況にあるため、ユウキは今後どこかで5基目入れなければならない。それらを天秤にかけたうえで、我々はパワーユニット交換をここで行うのがベターだと決断した。そうなると最後尾スタートとなるため、ピットレーンスタートでも変わりない。ならば、より抜くためのセットアップ変更を行うために、ピットレーンスタートを覚悟した上で、パルクフェルメルールを破ってセッティングを変更した」(アルファタウリ関係者)
その戦略は決して無謀ではなく、理に適っていたことは、その後の角田の走りが証明している。ハードタイヤでスタートした角田は「どういうグリップになるかわからなかったので、とりあえずハードタイヤで様子を見て、できるだけ最初のスティントを延ばすつもりでした」と、第1スティントをだれよりも長い18周目まで延ばして、1回目のピットストップを行う。10番手までポジションを上げてピットインした角田だったが、タイヤ交換作業で9.6秒もの静止時間を要してしまう。
「ピットストップで2回とも時間がかかってしまったのが残念です。それがなければ、集団の前に戻ることができたはずで、そうなっていれば入賞したガスリーの前でフィニッシュできたと思いうので、そこは悔しいです」
集団の後ろに下がったことで、角田はポジションを失っただけでなく、前を走る数台のマシンがいずれもDRSを使用するという『DRSトレイン』状態となったため、角田はDRSを使用してオーバーテイクを仕掛けることが難しい状況に陥った。
それでも、角田は「DRSトレインでなかなかオーバーテイクするチャンスがなかったんですけど、最後まであきらめずに、巡ってきたチャンスを逃さなかった」とファイナルラップで周冠宇(アルファロメオ)をオーバーテイク。最後まで熱い走りを披露した。
レース後、角田は悔しい結果に終わった前日の予選とは違った表情でこう語った。
「ピットストップでロスしていなければ、集団の前に戻ることができたはずで、そうなっていれば入賞したガスリーの前でフィニッシュできたと思いうので、そこは悔しいです。うまく結果に結びつけられなかったのですが、ドライバーとしては自分のやれることをすべてやったと思います」
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