【角田裕毅F1第17戦密着】ラップタイムが向上し、早めのタイヤ交換を行うもクラッシュ「言い訳はできない。僕のミス」
日曜日のF1シンガポールGPレース開始直前になって、マリーナ・ベイ・ストリート・サーキット上空に積乱雲が立ち込め、雷雨となった。午後7時2分、レースコントロールはスタート1時間前から開始されるスタート手順を一旦停止して、スタートを遅延することを発表した。
その後、雨が上がり、スタート手順を午後8時5分に再開すると発表。3年ぶりのシンガポールGPは予定より1時間5分遅れの午後9時5分にフォーメーションラップのスタートが切られることになった。
雨は上がったものの、湿度が高く、太陽がすでに沈んでいることから、路面は完全に乾かない状態でスタートが切られた。前日の予選でインターミディエイトタイヤでコンペティティブな走りを披露していたアルファタウリにとっては、まさに恵みの雨となった。
スタート直後から2台そろってトップ10圏内を走行。今シーズン初のダブル入賞も夢ではなかった。
勝負の分かれ目となったのは、インターミディエイトからドライへのタイヤ交換のタイミングだった。
「コンディション的にインターミディエイトからスリックへタイヤを変更するタイミングが難しかったんです。でも、徐々にラップタイムが上がり始めていたので、状況はスリックにポジティブに思えました。そこで僕たちは早めにタイヤを交換することにしたんです」(角田)
33周目、通常のピットストップとしてインターミディエイトからドライへのタイヤ交換のために一番最初にピットに入ったのがピエール・ガスリーだった。さらにチームは同じ周に角田も入れた。
ところが、ピットアウトした直後に角田はコースアウト。バリアにクラッシュした。
「ブレーキングポイントを少しミスしたんですが、それが結果として大きな代償につながりました。コーナーで止まりきれずにバリアに突っ込んでしまいました。難しいコンディションだったんですけど、言い訳はできません。完全に僕のミスです」
角田がリタイアした後、レースを続けたガスリーは10位でフィニッシュしたものの、ドライタイヤに交換後、コースオフし、順位を下げていた。
「今日はとても残念だよ。2台のアストンマーティンを従えて、序盤は7番手でいいレースをしていたのに、大きなリスクを冒してドライタイヤへ交換したことでポジションを下げてしまった。なぜこのような決断をしたのか、その理由がよくわからない。すべてを見直し、この失敗から学ぶ必要がある。チャンピオンシップ争いで、前進する大きなチャンスがあったのに、それをつかめなかったことは僕たちにとって大きな痛手となった」(ガスリー)
テクニカルディレクターのジョディ・エギントンは言う。
「2台ともポイントを獲得する機会があったのに、それを活かすことができなかった。これは、エンジニアリングチームがドライタイヤに交換するタイミングを早めたことが原因だ。しっかりとレースを検証したい」(エギントン)
次はいよいよ日本GPだ。
「この週末をしっかりと振り返って、来週のホームレースに向けて準備を整えたいと思います」
F1ドライバーとして初めて凱旋レースとなる角田。
「F1マシンで鈴鹿を走るのも初めてなので、本当に楽しみにしています」
その気持ちは鈴鹿に行く観客も同じだろう。シンガポールGPで味わった屈辱を、鈴鹿で晴らしてほしい。
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