WRCラリージャパン、岡崎SS13遅延→キャンセルの原因は急遽のダイバー手配。河川敷ステージでの安全確保のため
愛知県・岐阜県を舞台に開催された世界ラリー選手権(WRC)のラリージャパン。全4日間のラリーが終了したが、期間中はいくつかのスペシャルステージ(SS)がアクシデントやハプニングによりキャンセルになる一幕もあった。
その一例が、岡崎市の乙川の河川敷を舞台に、大会3日目に設定されていたSS13とSS14。河川敷に設けられた短い特設コースを連続して走るような構成となっていたが、15時36分に予定されていたSS13の開始が大幅に遅れた結果、SS13は結果的にキャンセルに。15時49分開始予定だったSS14のみが、約30分遅れで行なわれる格好となった。
SS13のキャンセルの原因については公式にはアナウンスされておらず、様々な噂が飛び交った。会場では自転車に乗った一般市民が立ち入り規制区域に進入してオフィシャルに制止される様子がSNSで拡散されたため、一説にはこれが原因だと推察する向きもあったが、実際には潜水士を急遽配備する必要が生じたために遅延が生じたというのが実情のようだ。
潜水士を配備するのは、もちろん安全対策のため。かつてはMスポーツ時代のオット・タナクの車両がコースオフして湖に水没するというアクシデントもあったが、潜水士を配備しておけば迅速な救助活動が可能となるわけだ。
ただ今回の場合、潜水士が事前に配備されていなかったため、急遽運営団体が岡崎市のスポーツ振興課を介して、岡崎市消防本部に要請。同市の中消防署から潜水士が会場に派遣される形となった。
なお、FIAが発行する『ラリー安全ガイドライン』の中では、今回のようなケースでダイバーを配備することが義務であるとは書かれていないが、講じる必要のあるリスク削減措置のひとつとして言及されている。
同ガイドラインの2022年版を確認すると、スペシャルステージ選択にまつわる箇所に『ウォーターハザード』の項がある。そこにはこう記されている。
「湖、海、プール、およびダムはすべて、スペシャルステージを計画する上で重大なリスクとなる」
「理想なのは、計画されたルートがイベントを通してウォーターハザードを回避していることだ。これは100%可能ではない場合があるため、あらゆるリスクを削減するための予防措置が講じられている必要がある」
そしてこれらの記述の下に、箇条書きで以下のような項目がチェックすべきものとして提示されている。(抜粋)
・スペシャルステージと水辺との近さは?
・競技車が水辺に到達する可能性を妨げる障害があるか?
・水辺近くにアプローチする際、競技車は高速なのか低速なのか?
・水の深さはどうか? 完全に水没するほどなのか?
・イベントではスペシャルステージの走行中に配備できるダイバーとボートを手配できるか?
・もし配備できる場合、ダイバーは強風などによって活動を制限されないか?
急遽のダイバーを配備したことによって、岡崎に訪れた3万人超のファンにとっては観戦できるステージが半減してしまったことになるが、岡崎消防局の迅速な出動の甲斐もあって、日が沈みゆく中でもなんとかステージを実施することができた。
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