FIA、F1参戦に必要な申請手続きを正式に開始。新チームを財務・技術分析、持続可能性などに基づいて評価へ

 

 FIAは、F1への参戦を希望するチームが申請を行えるよう、新たな手続きを正式に開始した。

 今年の初め、FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、F1世界選手権への参入を目指す新チーム候補を割り出すため、FIAが“関心表明プロセス”(F1参入プロセス)の立ち上げを検討していることを明らかにした。

 このたびプロセスは正式に開始され、FIAは申請者が提出しなければならない関連書類や資料を明らかにしている。F1界の質を守るため、FIAは「厳密な財務および技術分析」と「持続可能性と社会に与えるプラスの影響の基準」に基づき、それぞれの申請を評価すると表明している。

 興味深いことに、FIAは「すべての関係者」を選考プロセスに含めるとも述べている。つまりF1と各チームは、候補者のエントリーの妥当性を決定するうえで発言権を持つことになるが、F1関係者らはビン・スライエムの以前の発言はこの点が明確ではないと考えていた。

 新チームがF1に参戦できるのは、最短でも2025年になる。候補チームは申請手続きを開始するために、返金されることのない2万ドル(約260万円)の手数料を支払わなければならない。

 なお、F1の現在のコンコルド協定は参戦チーム数を12チームに制限している。そのため理論的には、FIAとF1は最短で2025年に向けて最大2チームの参戦資格を認めることが可能だ。だが言うまでもなく、それは非常に可能性の低いシナリオだ。

「FIA F1世界選手権の成長と魅力は、前例のないレベルに達している」とビン・スライエムは木曜日に語った。

「選考基準を満たす関係者が、チャンピオンシップへの参入について正式に関心を表明するための環境が整ったとFIAは考えている」

「今回初めて、選考条件の一部として、候補チームにFIAの持続可能性基準をどのように満たしているか、F1を通じてどのように社会にプラスの影響を与えようとしているか提示することを求めている」

「このプロセスは、エンジンメーカーが前向きに受け入れたFIAの2026年のF1パワーユニットレギュレーションを論理的に展開したものだ。同レギュレーションはアウディをF1に引き寄せたほか、他の参入候補の関心を引き起こしている」

2022年F1スペインGP F1 CEOステファノ・ドメニカリ(左)とFIA会長モハメド・ビン・スライエム
2022年F1スペインGP F1 CEOステファノ・ドメニカリ(左)とFIA会長モハメド・ビン・スライエム

 F1参戦の意向を公表しているチームのひとつは、アンドレッティ・グローバルだ。オーナーのマイケル・アンドレッティが率いるチームのプロジェクトは、最近になってゼネラルモーターズ・キャデラックと本格的な提携関係を結んだことでより万全なものになった。

 しかしながら、それでも各F1チームがアンドレッティの参入を快く受け入れるまでには至っていない。F1の既存チームは、グランプリレースの分配金の資金が希薄化するとして参入に反対していることから、争点は依然として残ったままだ。

 アンドレッティ・キャデラックが何をもたらし、その存在によっていかにF1の商業的価値を高めることになるのか、FIAの申請プロセスによって明確化と数値化が行われることが期待される。

アンドレッティ・キャデラックがF1参戦の意向を表明
アンドレッティ・キャデラックがF1参戦の意向を表明

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