【F1テスト新車情報:アルピーヌ】カラーリング継続でも重量に問題なし。前年型マシンの長所を残して進化を遂げたA523
2月23日、バーレーン・インターナショナル・サーキットでF1の2023年シーズンのプレシーズンテストが始まった。2月上旬から行われた新車発表では、いくつかのチームがカラーリングを発表するのみにとどまっていたが、このテストでようやく全チームの実車が出揃った。今回はアルピーヌの新車『A523』を特集する。
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2月16日の発表会の3日前、2月13日にシェイクダウンを行っていたアルピーヌ。多くのチームが軽量化を図るために、塗装を簡略化し、カーボン剥き出しのカラーリングにしてきたなか、鮮やかなアルピーヌ・ブルーと、タイトルスポンサーのBWTのコーポレートカラーであるピンクのデザインを継続してきた。「バラストでバランスを最適化することもできる」とテクニカルディレクターのマット・ハーマンが語っていることを考えると、国際自動車連盟(FIA)が定める最低重量を十分に下回っているようだ。
昨年までのショートノーズから、今年はメインフラップまで伸びたロングノーズに変更してきた。同時にノーズのシェイプも丸みを帯びたラウンド形状から上面が平らなフラット形状に変更。
ハーマンによれば、「フロントウイングからの風の流れを最適化するために、前後のサスペンションを変更した」というA523。フロントはプッシュロッド方式のままだが、ブレーキング時のノーズダイブ(車体前方が沈み込むこと)を極力抑えて、姿勢を安定させるためにジオメトリーが変更されたという。ノーズダイブを抑える目的はフロントの回頭性ではなく、リヤへ流れる空気を遮断せずにコーナーリング中のダウンフォースを安定させるためだと考えられる。
リヤサスペンションが、プルロッド方式からプッシュロッド方式に変更された。
上面にくぼみを設けた、バスタブ型のサイドポンツーン。ただし、ほかのバスタブ型のサイドポンツーンとは異なり、バスタブ内にルーバーなどのクーリング用アウトレットは設けられていない。そのためか、エンジンカウルのエッジ部分に4つの細かな排出口が追加された。
サイドポンツーンのエントリー形状は、昨年の中盤から採用しているスクエア・タイプ。こうしてA523を見ると、昨年コンストラクターズ選手権4位を獲得したA522の長所を残しつつ、さまざまな進化が見られる。トップ3に近づくには、パワーユニットのパフォーマンス向上が待たれる。
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