フェルスタッペンが今季5勝目飾る。角田裕毅はペナルティで入賞失う【決勝レポート/F1第8戦】
6月4日、2023年F1第8戦スペインGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季5勝目、自身通算40勝目を飾った。2位にルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位にジョージ・ラッセル(メルセデス)が続いた。角田裕毅(アルファタウリ)は9番手でチェッカーも、5秒のタイムペナルティにより12位となった。
スペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットを舞台に開催された今季8戦目。今大会ではC1タイヤがハード(白)、C2タイヤがミディアム(黄)、C3タイヤがソフト(赤)と、固めのコンパウンドが割り当てられている。
スタートタイヤは、ポールのフェルスタッペン、11番グリッドのセルジオ・ペレス(レッドブル)、ピットレーンスタートのローガン・サージェント(ウイリアムズ)がミディアム(黄)をチョイス。ピットレーンスタートのシャルル・ルクレール(フェラーリ)がただひとりハード(白)を選択し、そのほかはソフト(赤)となった。
直前の計測で気温23度、路面温度35度、湿度64%、黒く分厚い雲がサーキット周辺を漂うコンディションのなか、66周の決勝レースはスタートを迎えた。
抜群の蹴り出しを見せたのは2番グリッドのカルロス・サインツ(フェラーリ)だった。フェルスタッペンのアウト側に並ぶと、ターン1のホールショットを奪いにかかる。スペインの観客の歓声が湧き上がるも、イン側のフェルスタッペンがポジションを守る。
一方、4番手スタートのハミルトンがターン1でランド・ノリス(マクラーレン)をかわすが、続くターン2でハミルトンの左リヤとノリスのフロントが接触。これでノリスはフロントウイングにダメージを負い1周目終わりに緊急ピットイン。3番手スタートという絶好のポジションを接触で失うこととなった。また、ハミルトンも接触直後の隙を突かれ、ターン5でランス・ストロール(アストンマーティン)にかわされる。
15番手スタートの角田も好スタートを決め11番手に浮上。10番手のペレスの背後に着き、ペレスへのDRSも使用しハイペースで周回を刻む。一方、トップのフェルスタッペンはソフト勢を上回る1分20秒前半のペースを刻み続け、早々にサインツをDRS圏外に追いやると9周目にはサインツに4.1秒のリードを築く。
10周目にはソフト勢の周冠宇(アルファロメオ)、ニック・デ・フリース(アルファタウリ)、11周目に角田、ケビン・マグヌッセン(ハース)がピットインし、ハードタイヤにチェンジ。14周目、オコンのピットアウトで前方が詰まった隙をついた角田が周冠宇をオーバーテイク。さらに、15周目のターン1でヒュルケンベルグを攻略する。
16周目、サインツがミディアムにチェンジ。本人も納得した様子ではなく、無線で「なぜ(ミディアムなんだ)?」とチームに問いかける場面も。また、17周目にはルクレールがピットインも、ここでハードからソフトに交換し、17番手でコースに復帰する。
19周目にアロンソがピットインし、ソフトタイヤに交換。そのアウトラップにセクター2全体ベストを更新し、2.8秒先行する角田の背中を追う。ただ、オコンの背中を追う角田は依然として好ペースを刻み続け、アロンソに間合いを詰めさせず、2台のギャップは25周目には約4.2秒まで広がる。
23周目、フェルスタッペンから11秒差で2番手を走っていたハミルトンがピットイン。ソフトからミディアムに交換し、サインツの後方で復帰。25周目にラッセルがピットアウト。オコンの眼前でコース復帰もポジション死守。そして26周目終わりにフェルスタッペンがミディアムからハードに交換する。
27周目にはペレスがピットイン。全車が最初のピットストップを終えた28周目のオーダーはフェルスタッペン、ハミルトン、サインツ、ラッセル、ストロール、オコン、角田、アロンソ、ペレス、周冠宇というトップ10に。
そんななか、3番手のサインツが「ターン5で雨」と無線を飛ばす。しかし、そのサインツを5秒後方から追うラッセルが1分18秒264のファステストを更新するなど、コンディションはドライで変わらず、その後も雨は降らなかった。
30週目を迎えると、フェルスタッペンは2番手ハミルトンに13秒のリードを築きクルージング。ハードタイヤのフェルスタッペンのペースを誰も再現できずに周回は続く。一方9番手アロンソの背後にはペレスが接近。ペレスは31周目のストレートでアロンソを攻略すると、続いては3秒先を走る角田を追う展開に。
アロンソをかわしたペレスは32周目に1分18秒台をマークして角田との間合いを一気に縮めると、33周目のターン1で角田をパス。ペレスが7番手、角田が8番手へと変わった。ペレスは34周目にオコンを攻略し6番手に浮上している。
一方、3番手サインツの背後にラッセルが急接近。35周目のターン1でインを刺し、ラッセルが3番手に浮上。メルセデス2台が表彰台圏内に浮上する。また35周目にはストロールと角田がピットイン。角田はミディアムに交換する。
それを見たオコンが36周目にピットに滑り込むが、ここで角田がアンダーカットを成功させ、オコンの前に出る。ただ39周目、ホームストレートでDRSを使用したオコンに先行を許してしまうなど、ポジション争いは続く。
一方、41周目を過ぎると首位フェルスタッペンと2番手ハミルトンは15秒差で推移。フェルスタッペンはフロントタイヤのオーバーヒートを気にし、タイヤマネジメントに徹し、ハミルトンが間合いを詰めればその分だけフェルスタッペンもペースを上げ、温存しつつも決してハミルトンを寄せ付けない。
46周目にラッセルがピットイン、ここでソフトタイヤに交換すると、48周目に1分17秒875のファステストをマーク。一方、49周目のターン1でアロンソが角田をパス。アロンソ続けて52周目にオコンをパスし7番手に浮上する。
51周目にハミルトン、そしてハミルトンから19秒差のペレスが同時にピットインし、ソフトタイヤに交換。またハードタイヤで26周を走ったフェルスタッペンが52周目終わりにピットインしソフトに交換。これで全車が2度目のピットストップを終えた。53周目のターン1ではペレスが1分16秒666をマークし、1分18秒台がやっとのサインツを悠々とオーバーテイクし、9秒先のラッセルを追う。
フェルスタッペン、ハミルトン、ラッセル、ペレス、サインツ、ストロール、アロンソというトップ7となるなか、54周目には8番手オコンの背後に角田、周冠宇が接近。そんななか、周冠宇は57周目のターン1で角田を攻略にかかるがコースオフし、ここは角田が9番手を守る。ただ、このコースオフに関して、レースコントロールより角田に対し、5秒のタイムペナルティとペナルティポイント1点が下される。
一方、59周目にはフェルスタッペンに対し3度目のトラックリミットが記録され黒白旗が提示される。チームは抑えるように無線を飛ばすが、フェルスタッペンは構わず61周目に1分16秒330をマーク、これがこのレースのファステストラップとなった。
66周の戦いを終え、フェルスタッペンが24秒の大量リードを保ったままトップチェッカー。今季5勝目、自身通算40勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。2位にハミルトン、3位にラッセルとメルセデス勢がダブル表彰台を獲得した。
4位ペレス、5位サインツ、6位ストロール、7位アロンソ、8位オコン、9位周冠宇、10位ガスリーまでがポイント獲得。ルクレールが11位、角田は9番手でチェッカーも、5秒のタイムペナルティにより12位に後退となった。
次戦となる2023年F1第9戦カナダGPは6月16日〜18日に、カナダ東部のケベック州モントリオールにあるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで開催される。
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