フェルスタッペンが今季6度目の美酒。通算41勝でアイルトン・セナに並ぶ【決勝レポート/F1第9戦】
現地時間6月18日、2023年F1第9戦カナダGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季6勝目、自身通算41勝目を飾った。2位にフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、3位にルイス・ハミルトン(メルセデス)が続いた。角田裕毅(アルファタウリ)は14位でチェッカーを受けた。
カナダ・モントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットを舞台に開催された今季8レース目。今大会ではC3タイヤがハード(白)、C4タイヤがミディアム(黄)、C5タイヤがソフト(赤)と、もっとも柔らかめのコンパウンドが割り当てられている。
スタートタイヤは、上位勢を中心に多くの車両がミディアム(黄)を選択する一方、12番グリッドのセルジオ・ペレス(レッドブル)、13番グリッドのケビン・マグヌッセン(ハース)、14番グリッドのバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)の3台はハード(白)をチョイス。そして15番グリッドのピエール・ガスリー(アルピーヌ)がただひとりソフト(赤)を選択した。
直前の計測で気温18度、路面温度33度、湿度64%、予選日から一転快晴に恵まれたドライコンディションのなか、70周の決勝レースはスタートを迎えた。
ポールスタートのフェルスタッペンがターン1のホールショットを守る一方、3番グリッドスタートのハミルトンが抜群の蹴り出しでアロンソをパスし2番手に浮上。さらにターン2では4番グリッドスタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)もアロンソに襲いかかるも、アロンソはターン3〜4での攻防戦を制し、3番手を死守する。
また、オープニングラップが終わったところで角田がピットイン。ミディアムからハードに交換して最後尾でコースに復帰する作戦に出た。
フェルスタッペンは2番手ハミルトンとのギャップを毎周0.3秒ほど広げ、早々に逃げ切り体制に。一方、3番手に後退したアロンソは4周目のターン4でウォールにわずかにヒットするほどプッシュを続け、ハミルトンのDRS圏内をキープする。
そんななか、7周目のターン6でローガン・サージェント(ウイリアムズ)がマシンを止めた影響で、翌8周目にバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入される。ただ、VSCは即座に解除され、各車のギャップや作戦には影響せず。
10周目、フェルスタッペンが3.3秒のリードを築いて独走。一方、ハミルトン、アロンソ、ラッセルの2番手争いは2秒以内に3台が続く接近戦となる。そんななか11周目にはソフトスタートのガスリーがピットイン。ハードタイヤに交換すると、ガスリーは角田の8秒後方で復帰する。
12周目、4番手走行のラッセルがターン8の縁石に引っ掛けて、ターン9アウト側のウォールにクラッシュ。これでセーフティカー(SC)導入となり、フェルスタッペン、ハミルトン、アロンソらミディアムスタート勢は続々とピットイン。トップ3はポジション変わらずも、ピットレーン走行中のアロンソの眼前でハミルトンがピットレーンに戻り、アロンソは怒りを露わにする。
なお、ミディアムスタートのうち、フェラーリ勢だけはSC中にピットに入らず、コースにステイ。これでシャルル・ルクレールが4番手、カルロス・サインツが5番手となる。そしてハードスタート勢もステイを選択し、ペレスが6番手、マグヌッセンが7番手、ボッタスが8番手となる。そんななか、角田はこのSCで13番手までポジションを上げることに成功する。
レースは17周目より再開。ハードタイヤ勢の暖まりが悪いと予想したフェラーリ勢だったが、リスタート後の2台のペースに大きなアドバンテージは見られなかった。そんななか19周目にはアロンソがハードタイヤで1分16秒575をマークし、この時点でのファステストを更新する。
22周目、アロンソがターン12〜13のDRS区間でハミルトンとの間合いを一気に縮めると、最終シケインでハミルトンを攻略。2番手の座を取り戻し、約3秒先行するフェルスタッペンを追う展開へと変わった。ただ、フェルスタッペンとアロンソのペースはほぼ互角。2台のギャップはなかなか縮まらないまま周回は続く。
29周目、フェルスタッペンがハードタイヤの限界を無線で訴える。この時点でペースは1分17秒台まで落ちるが、アロンソとのギャップは4.4秒まで広げていた。さらに31周目にもフェルスタッペンはグリップがなくなったと訴えるが、チームからは落ち着くように諭される。
しかし、その31周回のフェルスタッペンは1分16秒849をマークしており、アロンソとのギャップを5.1秒まで広げてた。フェルスタッペンは33周目に「グリップが上がってきた」と無線を入れるなど、アロンソ、ハミルトンらへの揺さぶりとも思える無線をしきりに発信する。
34周目、ハードスタートからこれまでピットに入らず12番手につけていたマグヌッセンの背後に角田が接近。ただ、角田は35周目にピットイン、ハードからハードへ交換。これでマグヌッセンの背後にニック・デ・フリース(アルファタウリ)が接近するが、2台はターン1で接触。さらにターン3では2台揃って止まりきれずともにエスケープゾーンに一時マシンを止めることとなり、大きくタイムを失った。
38周目にサインツが、39周目にルクレールがピットインし、それぞれハードタイヤに交換。そしてトップ3のなかではハミルトンが41周目に真っ先に2度目のピットインを敢行しミディアムに交換。それを見たアロンソが42周目にハードからハードに交換。そして43周目にフェルスタッペンがミディアムに交換と、トップ3内でもタイヤ戦略が分かれることとなった。
上位勢は43周時点でピットによる順位変動はなく、フェルスタッペン、アロンソ、ハミルトン、ルクレール、サインツのトップ5となる。そんななか、ハードタイヤを履くアロンソのペースはミディアムのフェルスタッペン、ハミルトンとあまり変わらず。
47周目にはアロンソ、ハミルトンが1分15秒台をマーク。ただ、アロンソが48周目にターン8をオーバーラン、ハミルトンとの間合いが3.3秒まで縮まる。そんななか、勝利を狙うアロンソは「いつまでリフト・アンド・コーストさせるんだ」と無線を飛ばす。なお、55周目には入賞圏内まで復帰していたラッセルがブレーキトラブルによりガレージイン。ここでレースを終えることとなった。
残り10周となった61周目、フェルスタッペンはアロンソとのギャップを8.2秒まで広げる。一方、終盤67周目にはアルボン、エステバン・オコン(アルピーヌ)、ランド・ノリス(マクラーレン)の3台による7番手争いが白熱。そんななか、オコンのマシンのリヤウイングがグラグラと揺れる状況となるも、3台のバトルは続いた。そんななか、69周目にはアルボンに27秒差をつけていた6番手ペレスがピットイン。ファステストラップポイントを手にするべく、ソフトタイヤを装着する。
70周の戦いを終え、フェルスタッペンが9.570秒のリードを守ったままトップチェッカー。今季6勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。なお、今回の勝利で通算勝利数を41に伸ばし、歴代5位のアイルトン・セナと並ぶこととなった。また、2005年よりF1に参戦するレッドブル・レーシングにとって通算100勝目の勝利ともなった。
2位にアロンソ、3位にハミルトンが続いた。4位ルクレール、5位サインツ、6位ペレス、7位アルボン、8位オコン、9位ストロール、10位ボッタスまでがポイント獲得。角田は14位でチェッカーとなった。なお、ペレスはファイナルラップに1分14秒481のファステストラップをマークした。
次戦となる2023年F1第10戦オーストリアGPは6月30日〜7月2日に、オーストリアのレッドブルリンクで開催され、今季2度目のスプリント・フォーマットでのグランプリとなる。
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