フェルスタッペンが今季9勝目。レッドブルが12連勝で35年ぶりに連勝記録を更新【決勝レポート/F1第12戦】
7月23日、2023年F1第12戦ハンガリーGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季9勝目、自身通算44勝目を飾った。
また、この勝利でレッドブルは、2022年最終戦アブダビGPから数え、F1史上初の12連勝を記録。そして開幕連勝記録は11となり、1988年にマクラーレン・ホンダが記録した開幕連勝記録に並んだ。前戦に続いて2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にセルジオ・ペレス(レッドブル)が続いた。角田裕毅(アルファタウリ)は15位となった。
ハンガリーの首都ブダペスト中心部からクルマで30分少々の郊外にあるハンガロリンクを舞台に開催された今季11レース目。今大会ではC3タイヤがハード(白)、C4タイヤがミディアム(黄)、C5タイヤがソフト(赤)と、もっとも柔らかいコンパウンドが割り当てられている。
スタートタイヤは、多くの車両がミディアム(黄)をチョイス。11番手スタートのカルロス・サインツ(フェラーリ)、14番手スタートのランス・ストロール(アストンマーティン)、17番手スタートの角田がソフト(赤)を選択。
そして、9番手スタートのペレス、18番手スタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)がハードをチョイスした。
青空広がるも、日差しも強めという夏らしい気候の中、気温29度、路面温度49度、湿度33%というドライコンディションで、70周の決勝レースはスタートを迎えた。
抜群の蹴り出しは2番グリッドスタートのフェルスタッペンだった。ターン1でポールスタートのルイス・ハミルトン(メルセデス)のインを差し込みトップに浮上。さらに4番手スタートのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)もフェルスタッペンに続き、2番手に浮上する。
続くターン3でランド・ノリス(マクラーレン)がハミルトンを攻略。これでフェルスタッペン、ピアストリ、ノリス、ハミルトン、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、カルロス・サインツ(フェラーリ)というトップ6でオープニングラップを終えた。
なお、ソフトタイヤを履く角田はスタートの混乱の間隙をついて11番手に浮上。一方、5番手スタートの周冠宇(アルファロメオ)はスタート失敗で16番手に後退。さらに、アルピーヌのエステバン・オコンとピエール・ガスリーはターン1での接触により早々に2台揃ってレースを終えている。また、復帰戦を迎えたダニエル・リカルド(アルファタウリ)もアルピーヌの接触に絡み18番手に後退することに。
トップに浮上したフェルスタッペンがこのまま逃げ切りかと思われたが、5周経過時点で2番手ピアストリ、3番手ノリスのマクラーレン勢のペースはフェルスタッペンと同じ1分24秒台で推移。そんななか、8周目にターン1でハードタイヤを履いたペレスがミディアムタイヤを履くフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)をかわし7番手に浮上する。
9周目にアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)が、続く10周目にストロール、角田、ボッタスがピットインし、それぞれハードタイヤに交換。ただ、このピットストップでアルファタウリは左フロントの作業で4秒ほどタイムロス。これで角田はボッタスに先行されてしまう。
トップのフェルスタッペンのペースは終始安定。14周目にはピアストリに対し5.6秒のギャップを築いた。またF1ルーキーのピアストリもこの時点でノリスを2.4秒引き離す走りを見せる。一方、ソフトタイヤスタートのサインツの後方にハードタイヤで飛ばすペレスが急接近。オーバーテイクも近いかと思われた中、サインツは15周目にピットイン。前が開けたペレスはここから自己ベストを更新する好走を続ける。
翌16周目に4番手ハミルトンがハードタイヤに交換。17周目には3番手ノリス、4番手ルクレールが同時にピットイン。ただここでフェラーリ勢は左リヤタイヤの交換に手間取り停車時間は9.4秒に及んだ。これでルクレールはボッタスの後方まで後退する。
翌18周目、ノリスのアンダーカットを防ぐべく、2番手ピアストリがピットイン。ただノリスはアウトラップのセクター2、セクター3で全体ベストを更新する驚きの走りを見せ、ターン1でピアストリを先行。さらにノリスは20周目、21周目にこの時点でのファステストを更新し、フェルスタッペンとの間合いを縮めにかかる。
ミディアムスタート勢の中では最後まで引っ張ったフェルスタッペンが23周目にハードタイヤへ交換。この時点でノリスとのギャップは約27秒だったため、フェルスタッペンはトップのままコースに復帰。この時点でノリスとは5.2秒差となる。
また、翌24周目にペレスがミディアムタイヤに交換。サインツの後方、ルクレールの前という7番手でコース復帰を果たす。27周目にはサインツを攻略すると、続く28周目にはスタートからハードタイヤのまま引っ張るラッセルをターン2でかわし5番手に浮上する。
フェルスタッペンが1分23秒台をキープする一方、29周目にはノリスとピアストリがともに1分24秒台までペースダウン。フェルスタッペンとギャップがここから広がりを見せる。そんななか、ミディアムタイヤに交換したペレスが毎周ファステストを更新する走りで4番手ハミルトンとのギャップを一気に縮めにかかる。
レースも折り返しを迎えた35周目、フェルスタッペンは1分23秒台をキープし、1分24秒台で周回を重ねるノリスに10秒差、ピアストリに17秒差を広げる。また、4番手ハミルトンも1分23秒台でピアストリとのギャップを縮めるも、そのハミルトンの背後には徐々に、ミディアムタイヤを履いたペレスが接近する。
39周目、ペレスがハミルトンのDRS圏内に入るとそこからさらに間合いを縮めるが、なかなかオーバーテイクには至らない。そんな中、43周目にピアストリとペレスがミディアムタイヤに交換。レッドブル陣営の素早いピット作業の甲斐もあり、ペレスはピアストリの1.6秒後方でコース復帰を果たす。
44周目にはルクレール、アロンソがハードタイヤに交換。45周目にフェルスタッペンから約20秒差の2番手ノリスがミディアムタイヤに交換する。またサインツもこの周にハードタイヤに交換も、チームメイトのルクレールにアンダーカットされる。ただ、ルクレールはピットレーン進入時の速度違反で5秒ペナルティが課せられることに。
ミディアムタイヤに履き替えたペレスはファステストを連発し、ピアストリのDRS圏内に滑り込むと、47周目のターン1でアウトからピアストリを攻略。ピアストリはターン2でサイド・バイ・サイドとなるも、続くターン3でわずかにコースオフするかたちとなる。ペレスはさらに8.7秒先行するノリスを追う。
ポールスタートのハミルトンは50周目に、フェルスタッペンが51周目にミディアムタイヤに交換。これで52周目時点でフェルスタッペン、12秒差でノリス、フェルスタッペンから20秒差でペレス、25秒差でピアストリ、32秒差でハミルトン、というオーダーに変わった。
フェルスタッペンは53周目に1分20秒504をマーク。それまでのファステストを1.6秒上回る驚異的なタイムで周回し、後続に隙を与えない。一方、2番手ノリス、4番手ピアストリのペースが落ち始めると、57周目のターン1でハミルトンがピアストリを攻略し、ハミルトンが4番手に浮上する。
その後もフェルスタッペンは独走を続ける。一方、追う2番手ノリスは60周目に周回遅れとなった16番手角田に引っかかり「ブルーフラッグが振られているだろ!何もレースしていないくせに!」と無線を飛ばすなど興奮状態をあらわにする。しかし、その時点でフェルスタッペンはノリスの20秒先を、ノリスから約2秒速い別次元のペースで周回していた。
65周目、ラッセルがサインツを攻略し7番手に浮上。さらに5秒ペナルティが決まっているルクレールとの間合いを5秒以内に抑えれば、コース上でのオーバーテイクが叶わずとも6番手に浮上できるという状況となると、ラッセルの勢いは止まらず、67周目時点でルクレールとのギャップを4秒にまで縮めることに成功する。
70周目、フェルスタッペンがノリスとのギャップを33.7秒差まで広げてトップチェッカーを受け、今季9勝目を7連勝で飾った。これにより、レッドブルは2022年の最終戦アブダビGPから数え、F1史上初の12連勝を記録。また、開幕から数え11連勝となり、35年前の1988年にアイルトン・セナとアラン・プロストがステアリングを握ったマクラーレン・ホンダがマークした開幕連勝記録に並んだ。2位に前戦に続きノリス、3位にペレスが続いた。
4位にハミルトン、5位にピアストリ、6位ラッセル、ルクレールは5秒加算で7位に後退。8位サインツ、9位アロンソ、10位ストロールまでがポイント獲得となった。復帰戦となったリカルドは13番手、角田は15番手でチェッカーを受けた。なお、ファステストラップは53周目にフェルスタッペンが記録した1分20秒504となる。
次戦となる2023年F1第13戦ベルギーGPは7月28〜30日に、スパ・フランコルシャン・サーキットで開催される。
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