【F1第13戦無線レビュー】8戦ぶりの入賞を果たした角田「今日のクルマは最高だった。このままプッシュし続けよう」

 

 2023年F1第13戦ベルギーGP。ドライコンディションで迎えた決勝レースでは、マックス・フェルスタッペンが今季10勝目を飾り、レッドブルは開幕12連勝という新記録を打ち立てた。またここまで苦しいレースが続いていた角田裕毅も3カ月ぶりにポイントを獲得し、入賞でシーズン前半戦を締めくくった。ベルギーGPを無線とともに振り返る

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 今年のベルギーGPは、3日間を通じて変わりやすい天候に終始した。日曜日の決勝レースも、降水確率40%。降雨がいつやって来るのか。最適なピットインタイミングは? ライバルたちとの、いつも以上の腹の探り合いとなった。

 スタート直後のターン1で、4番手スタートのカルロス・サインツ(フェラーリ)と5番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が接触した。サインツに寄せられ、イン側のピアストリは逃げ場所を完全に失った格好だ。

1周目
ピアストリ:いったい、何をしてるんだ? まるで僕がいなかったみたいに被せてきやがった

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)&カルロス・サインツ(フェラーリ)
2023年F1第13戦ベルギーGP ターン1で接触したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)&カルロス・サインツ(フェラーリ)

 2台の事故の影響で、8番手スタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)が大きく出遅れた。

ラッセル:申し訳ない。マクラーレンに完全に前を塞がれた
マーカス・ダドリー:ピアストリだ。了解した

2周目
リカルド・アダミ(→サインツ):ダメージがあると思うが、このまま行くぞ

 サインツは右フロアにダメージを受けたのだろう。

アダミ(→サインツ):空力効率を5%失ってる

 一方ピアストリは、ターン14手前でマシンを止めた。

3周目
ホセ・ガルシア:ペースはどうだ? ペースは?
ランド・ノリス:いやあ……すべてうまく行ってるけど、ペースはゼロだよ

 今回もノリスの担当エンジニアはガルシアが務めたが、なかなか噛み合わない。

10周目
ガルシア:提案なんだが、イエローG2はどうだろう
ノリス:そんなの全然助けにならないから
ガルシア:わかった。こちらで何とかする
ノリス:君の言ってることが、よくわからないんだけど
ガルシア:OK

ランド・ノリス(マクラーレン)
2023年F1第13戦ベルギーGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 一方、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)も、ジャンピエロ・ランビアーゼの無線にいちいち突っかかっていた。こちらは長年コンビを組み、固い信頼関係で結ばれているゆえの言いたい放題なのかもしれない。

14周目
ランビアーゼ:あと9、10分で雨が来る。どう思う?
フェルスタッペン:雨雲レーダー見てないから、わからないよ
ランビアーゼ:じゃあ、この周回でボックスだ。ルクレールをカバーするためだ

レース中盤、サーキット南西から、雨が降り始めた。

18周目
サインツ:雨だ! ターン15
アダミ:了解

 そう伝えたサインツは23周目にピットに向かい、そのままリタイアとなった。

カルロス・サインツ(フェラーリ)
2023年F1第13戦ベルギーGP カルロス・サインツ(フェラーリ)

21周目
フェルスタッペン:けっこう降ってる!

 その直後、フェルスタッペンはラディオンを駆け上がっている最中、左側の縁石に乗った瞬間、大きく挙動を乱した

21周目
フェルスタッペン:ほとんどコントロールを失った

27周目
ノリス:もうリヤが苦しいんだけど。なんてこった

 17周目にソフトに交換したノリスだが、早くもリヤのグリップがないことを訴える。25周目にはあっさりラッセルに抜かれ、7番手に落ちた。

29周目
フェルナンド・アロンソ:素晴らしい仕事だった。みんなありがとう!

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2023年F1第13戦ベルギーGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

 メルセデスの2台に挟まれた形で5番手を走っていたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が、29周目に2度目のピットイン。背後のラッセルは1ストップ作戦で、ピット作業が万一遅れれば順位を落とす恐れもあった。とはいえピットイン直前には両者の差は22秒開いており、ほぼ安全圏内だった。それでもアロンソは、メカニックたちへの感謝の気持ちをきっちり無線で伝えていた。

34周目
ランビアーゼ:このソフトタイヤは第1スティントで、けっこうデグ(デグラデーション)が出てる。もうちょっと頭を使ってくれ
フェルスタッペン:だったらもっとプッシュして、もう1回ピットしようか。ピット作業の練習になるし
ランビアーゼ:それは今じゃない

 フェルスタッペンとランビアーゼの言い合いは、レース終盤になっても続いていた。それでも2位セルジオ・ペレス(レッドブル)以下に20秒以上の大差をつけて、今季10勝目を挙げた。

チェッカー後
ランビアーゼ:シーズン前半の締めくくりとして、何て素晴らしいレースだったんだ
フェルスタッペン:またも信じられないレースだったね
クリスチャン・ホーナー代表:魔法のようなレースだったよ
フェルスタッペン:1-2だ。最高だ

 2位表彰台を獲得したペレスも、ホッとした声だ。

ヒュー・バード:手堅いレースだった
ペレス:みんな素晴らしい仕事をしてくれた
ホーナー代表:チェコ、よくやった。2位表彰台。最高の仕事だったぞ

 そして角田裕毅は、実に第4戦アゼルバイジャンGP以来の、3カ月ぶりのポイント獲得を果たした。

マッティア・スピニ:チェッカーフラッグ。P10だ。ユウキ、よくやった!
角田:みんなのおかげだ。ありがとう。この数戦は本当にキツかった。僕も決して上出来じゃなかった。今日のクルマは、最高だったよ。前半を入賞で締めくくれて、最高だ。みんな、このままプッシュし続けよう

角田裕毅(アルファタウリ)
2023年F1第13戦ベルギーGP 角田裕毅(アルファタウリ)

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