レッドブル&HRC密着:前戦の敗北は「エンジニアリングの問題」と代表。事前シミュレーションで好感触の鈴鹿は初日首位
前戦シンガポールGPで、今シーズン初めて黒星がついたレッドブル・ホンダRBPT。優勝できなかっただけでなく、予選で2018年ロシアGP以来となる、2台そろってのQ2落ちとなったため、一部のメディアは、シンガポールGPから国際自動車連盟(FIA)が導入した技術指令(TD)が失速した原因ではないかと疑った。
ひとつはTD18で、ノーズを中心に回転しながら可動する巧妙なフレキシブルなウイングの規則を強化するもので、もうひとつは、ポーパシングを抑制させるために2022年のカナダGPで投入されたTD39の改訂版で、スキッドブロックの周辺のフロアの柔軟性を利用したトリックを禁止するものだ。
というのも、レッドブルの車高はライバルに比べて低く、常に摩耗が規制の範囲内だったにもかかわらず、TD39の改訂版が導入されたシンガポールGPで車高を上げてきたからだ。
しかし、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこう言って、技術指令に関する噂を否定した。
「TDのせいにしたいのはわかるが、残念ながら、そうではない。なぜなら、我々のマシンの主要コンポーネントはシンガポール以前と以後で何ひとつ変わっていないからだ。すべてエンジニアリングの問題だった」
ホーナーによれば、「事前のシミュレーションが正しい結論を導き出せなかったために、シンガポールGPの週末がすべて後手に回ってしまったこと」と、「フロアにアップデートを導入したことで、問題がより複雑になり、迷路に入り込んで、結果的には誤ったセットアップで予選を戦うことになったこと」が、主な要因だった。
したがって、事前のシミュレーションで感触がよかった鈴鹿に向けて、チームもドライバーも不安はなかった。鈴鹿はシンガポールのようにバンピー(路面がデコボコ)ではないため、車高を低く設定するレッドブルにとって車高の低さは障害にはならない。
鈴鹿のスムーズな路面は、中高速域でリヤの車高が低くなったときに、きれいにリヤのダウンフォースをストールさせ、ストレートスピードを上げることにも役立っている。そのため、ドラッグを気にすることなく、ウイングを立てることができ、低速から中速コーナーでも速い。
そのことは、マックス・フェルスタッペンがコーナーが連続するセクター1だけで2番手以下にコンマ2秒以上の差をつけてトップタイムをマークしていることでもわかる。
「コースインした1周目から鈴鹿を走るのは楽しかった。今日はショートランもロングランも、いずれも好調だった。このコースはデグラデーションが大きいので、レース中のタイヤのマネージメントが鍵となるだろう。僕たちはそこに集中して、パフォーマンスを最適化するよう努力しなければならない。それができれば、明日はポール争いができると確信している」
初日の走行を終えて、そう語るフェルスタッペン。チームはシンガポールGPの敗戦のショックからすでに立ち直っているようだ。
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