F1チームの予算制限は、新パーツの投入にどんな影響を及ぼすのか?

 

 昨シーズンからF1には、ファイナンシャルレギュレーションが導入され、各チームの予算上限額が設定されることになった。これにより多くのチームには、1戦しか使うことのない特殊なパーツを開発する余裕はなくなったようだ。
 このことは先日行われたモナコGPで明らかになった。いくつかのチームはブレーキダクトを変更したものの、新しい空力パーツを投入してきたチームはほとんどなかった。
 新しい空力パーツが投入されなかった理由は、もちろん今季から導入された新たなテクニカルレギュレーションの影響もある。しかしながらそれ以上に、予算制限の存在が大きかったようだ。チームは限られた予算を、1戦限りしか使わないパーツではなく、より多くのサーキットで使うことのできる開発に振り分けたようだ。
「統治機関(FIA)からはこう言うと感謝されないかもしれないけど、それは非常に厳しい規則だ」
 レッドブルのチーフエンジニアであるポール・モナハンはそう語った。
「我々にできることには、かなり制限があるんだ」
「簡単に交換できるようなモジュール性が削減されているため、ウイングレットやフロントウイングのガーニーなど、これまでやってきたような小さなことを行なう上でも、非常にコストがかかる。それは実用的でもないし、やりがいもない。そしてレギュレーションにより正確に形状が規定され、できることが縛られている。それによって、非常に高価になっているんだ」
 またモナコでは、通常のサーキットよりもステアリングの舵角を大きく取れるようにしなければならない。そのための調整も、今季のマシンでは簡単ではないという。
「ステアリングの舵角を大きく取れるようにすることも、軽視することはできない。そのための開発も、些細なことからは程遠い」
 そうモナハンは言う。
「規制により、ウイッシュボーンのピックアップ(取り付け点)は、レギュレーションによりホイールの内部に配置しなければいけない。だから、ステアリングアームをただ長くしただけで、舵角を大きくできるわけではないんだ」
「ウイッシュボーンがホイールの内側に入る部分は、周囲の穴を封じる必要がある。どうやら、想定されていない部分で対処することは許されていないようだ。だから、これまでずっと行なわれてきた通りに舵角を大きくする変更を実現するのは、かなり大変な仕事なんだ」
 レッドブルがモナコに持ち込んだブレーキダクトは、モナコだけで使われるモノではなく、シーズン後半の他のサーキットでも使われる可能性があるものだと、モナハンは認める。
「繰り返しになるが、それは非常に大変で、コストがかかる仕事だ」
 そうモナハンは語る。
「でもハンガリーやシンガポールに目を向けることになると思う。それらの特定のイベントでも使う知識だったり、パーツだったりするだろう」
「他にどこかブレーキの冷却が重要になる可能性のあるコースはあるだろうか? おそらく、少しアレンジを加えて、シュピールベルグ(レッドブルリンク/オーストリアGP)やバクー(アゼルバイジャンGP)でも使われるだろう」

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