レッドブル&HRC密着:給油トラブルがQ3の戦略に影響。ペレスは単独走行でスリップを使えず「コンマ数秒を失った」
F1第8戦アゼルバイジャンGPの予選後、シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、次のように語って、今季6度目、4戦連続となるポールポジション獲得を喜んだ。
「この結果は予想外だった。だって、Q1とQ2では、レッドブルの方が速かったからね」
ルクレールが言うように、アゼルバイジャンGPの予選Q1でトップタイムをマークしていたのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)で、2番手にもセルジオ・ペレス(レッドブル)が1000分の11秒差で続き、3番手と4番手のフェラーリ勢を完全に抑えていた。
Q2ではフェルスタッペンが4番手と2台のフェラーリの後塵を拝することになったが、それでもペレスはただひとり1分41秒台に入るタイムを刻んで、トップの座を維持していた。ペレスは予選前に行われたフリー走行3回目でもトップタイムを記録しており、予選に向けて調子を上げてきていた。
しかし、Q3に入るとレッドブルの速さにほころびが生じる。まず、Q3の1回目のタイムアタックでカルロス・サインツ(フェラーリ)がトップタイムを記録し、暫定ポールポジションの座に就く。ただし、3番手と4番手に甘んじたレッドブル勢2台も約コンマ1秒差につけており、最後のアタックで十分逆転可能な状況にいた。
ところが、最後のアタックに入る直前にペレスのガレージ側で小さな問題が生じたために、レッドブル陣営は予定していた戦略を崩さざるを得なくなってしまった。
「エンジンに問題があって、予定よりもエンジンをかけるのが遅くなってしまって、単独でアタックすることになった」とペレスは説明したが、問題はエンジンではなかった。クリスチャン・ホーナー代表はこう弁明した。
「チェコ(ペレスの愛称)が最後のアタックに出ようとエンジンに火を入れようとしていたとき、給油に問題が発生していて、エンジンを始動することができなくなり、しばらくガレージのなかに留まらざるを得なかった」
この問題はペレスだけにとどまらず、チームメイトのフェルスタッペンにも影響を及ぼすことになる。というのも、レッドブルはアゼルバイジャンGPの予選ではQ1から終始2台そろってコースインし、フェルスタッペンがペレスの後ろを走ってスリップストリームを利用する戦略を採っていたからだ。
しかし、ペレスのコースインが遅れることになったため、チームはフェルスタッペンを先にピットアウトさせた。その直後、無線で「なんで僕を先にコースインさせるの?」といぶかしがるフェルスタッペンに対して、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが「チェコのマシンに問題が発生したからだ」と説明したのはそのためだった。
それでもフェルスタッペンは前を走るメルセデス勢のスリップストリームを利用して、最後のストレートで時速342.8kmをマークして、サインツをかわして3番手に浮上。しかし、給油に手間取って一番最後にコースインするはめとなったペレスは、単独走行となったため、最後のストレートではQ1でマークした自己最高速の時速343.6kmに及ばず、時速336.6kmにとどまり、セクター3で自己ベストを更新することができず、ルクレールを逆転することはできなかった。
ペレスは言う。
「(スリップストリームを使えていたら)ポールポジションを獲れたかどうかはわからない。でも、コンマ数秒を失ったのは確かだ」
ルクレールとの差は0.282秒。その差を埋めるには、予選が終わったいまとなっては日曜日のレースでやり返すしかない。
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