F1技術解説:第8戦(2)レッドブルのフロア周りのアップデートとフェルスタッペンが今年苦労している理由
2022年F1第8戦アゼルバイジャンGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回「フェラーリの速さに貢献した新リヤウイング。馬力優先の結果、トラブル続出のパワーユニット」に続く今回は、レッドブルのアップデートを紹介するとともに、今年マックス・フェルスタッペンがマシンに苦労している理由を探る。
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バクーサーキットは、セクター1、2、3各区間の性格が極端に分かれている。セクター1、3は超高速区間で、低速のセクター2では強大なダウンフォースを必要とする。フェラーリはこのコースで、レッドブル以上の絶妙な妥協点を見出すことに成功したようだ。
ちなみに、昨年のレッドブルは、メルセデスやフェラーリよりもダウンフォースを大きくして走ることを決断した。予選ではシャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトンの後ろにつけていたマックス・フェルスタッペンは、決勝では左リヤタイヤがブローするまでは速いペースで首位を独走していた。
それが今年、レッドブルは逆の選択をした。RB18とF1-75はここでも最速のマシンだったが、その性能は全く異なる方法で生み出された。これはシーズン開幕以来、ずっと知られてきた傾向だ。フェルスタッペンとセルジオ・ペレスのマシンは、フェラーリよりも全体的に負荷の少ないリヤウイングを装着しており、ストレートを速く走ることができた。
アゼルバイジャンでもペレスが、チームメイトを上回って予選を通過した。これはRB18のニュートラルなハンドリングが、ペレスに合っているからだろう。昨年のフェルスタッペンは、RB16Bのリヤが突然失速する傾向にも悩まされることはなかった。その結果、ペレス、アレクサンダー・アルボン、ピエール・ガスリーといったチームメイトには通用しないようなマシンでも、自分のドライビングスタイルを確立することができた。
今季のよりニュートラル、いやわずかにアンダーステア気味と言っていいレッドブルマシンを駆るフェルスタッペンは、アゼルバイジャンの週末に導入されたフロア(下の写真参照)にもかかわらず、特に予選では苦戦していた。
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