ポルシェのF1参入は今週末も発表されず……障壁となっているのは一体何なのか?

 

 昨年まではホンダのパワーユニット(PU)を使っていたレッドブル。しかしホンダが昨年限りでF1活動を終了したことから、今季はこのホンダのPUを引き継ぎ、自社のPU部門”レッドブル・パワートレインズ”でPUを運用している。
 そのレッドブルは、新しいPU規則が導入される2026年から、ポルシェのPUを使うことになると言われている。ただ、なかなか発表がなされずに月日が経過していっている。
 今週末のオーストリアGPは、レッドブルのお膝元とも言えるレッドブルリンクが舞台である。そしてマックス・フェルスタッペンを応援するために、母国オランダからも5万人以上の観客が訪れており、ポルシェとのパートナーシップを発表するには絶好の機会であるはずだ。しかしそれでも、現時点までには発表されていない。
 本来ならば、2026年からのPUの規格は、イギリスGP前の世界モータースポーツ評議会(WMSC)で承認されるはずだった。しかしこのWMSCでは承認がなされることはなく、正式承認は次回以降に持ち越された。ただ次のWMSCは、10月まで開催されない予定である。
 ポルシェの親会社であるフォルクスワーゲンは、F1が持続可能燃料を採用することを重要視。さらに開発コストと複雑さにより熱エネルギー回生システム(MGU-H)が排除される方向性であることから、傘下のブランドであるポルシェとアウディのF1参入にゴーサインを出していると言われている。ただこのふたつのブランドが次のステップに進むためには、次期レギュレーションが承認される必要がある。
 新しいPU規則のチームによる承認は、次回のWMSCよりも早く今後数週間以内に行なわれるものとみられる。また今週金曜日にはオーストリアでF1委員会が開催される予定だが、ここで最終承認が行なわれるとは考えられていない。
 新しいPU規則の決定が遅れることで、ポルシェなどの新規参入が延期される可能性があるのではないかと尋ねられたレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、「単なるプロセス」の問題であり、レギュレーションの技術的側面は「大部分が決まっている」と語った。
「これらのモノは、常にパッケージとして決められなければいけない」
 そうホーナー代表は語った。
「テクニカルレギュレーション、スポーティングレギュレーション、そしてフィナンシャルレギュレーションがある。これら全てを明確にする必要があるんだ。そして2026年以降のガバナンスがどうなるかも明らかにしなければいけないんだ」
「必要なのは、パッケージとしてまとめることだけだと思う。主な部分は揃っているから、あとはFIAの手に委ねられている。F1委員会で少しでもアップデートがあることを願っている」
 新規参入メーカーが慎重になっている理由のひとつは、2026年シーズンに向けた開発サイクルと、新規参入メーカーがどんな譲歩を受けられるかということだ。新しいレギュレーションでは、PU開発の予算上限が設けられるだけでなく、既存のメーカーと新メーカーの開発経験の差を埋めるために、テストベンチなどの稼働時間を優遇する可能性が話し合われている。
 ただ、レッドブルとポルシェの場合は非常にややこしい状態となっている。レッドブルは前述の通り、現在は自社のPU部門で元ホンダのPUを運用している。ポルシェが参入することになれば、このレッドブル・パワートレインズの技術を引き継ぐことができるわけだが、それでも新規参入とみなされ優遇処置を受けられるということとなれば、既存のメーカーには不利になってしまう……それが危惧されているのだ。
 アルピーヌのチーム代表であるオットマー・サフナウアーは、現在参戦しているメーカーと新規メーカーにとって、平等な競争になるようにすることが課題となっていることを認めている。そしてそれをまとめるには、少し時間がかかるだろうとも語った。
 金曜日に行なわれるF1委員会では、チームとF1、そしてFIAによって、この問題が話し合われる予定だ。ただ、完全なる承認がなされるのはまだ先。ポルシェのF1参入が公に発表されるまでにも、まだ時間がかかりそうだ。
 
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