FIA、ポーパシング問題介入の姿勢は変わらず「安全性の問題に介入するのはFIAの責任であり特権」

 

 FIAは、現行F1マシンの過剰な上下動が安全性に及ぼす影響についてドライバーからクレームがあったことを受け、この現象を根絶することを目的とした一連の措置を導入することを決めた。
 サマーブレイク明けのベルギーGPから、エアロダイナミック・オシレーション・メトリック(AOM)と呼ばれるマシンの振動に関する指標が設けられ、チームはこの指標をオーバーすることがないようマシンを走らせなければいけない。
 さらに、AOMが全てのチームに平等に適用されるようにするため、FIAはフレキシブルフロアの規制を強化する予定だ。一部のチームがパフォーマンス向上のためフロアやプランクをレギュレーションの隙間を掻い潜ってたわませていると考えられているのだ。
 FIAの介入を歓迎するチームがある一方で、FIAにチームのマシンセットアップに口を出す権利はないと考え、腹を立てているチームもある。
 さらに、直近の数レースではポーパシングの問題が発生していないことから、FIAが何らかの対策を講じる必要性に関しても疑問の声も上がっている。
 この問題は、14日(木)に行なわれたF1技術諮問委員会で議論されたが、FIAはチームからの批判にもかかわらず、この問題に対するスタンスに変化がないことを明らかにした。
 FIAは声明の中で、ポーパシングは「安全上の重要な問題」であり、計画の方向性を変えることはできないという絶対的な態度を示している。
「安全性の問題に介入するのはFIAの責任であり特権である。レギュレーションでこのような措置を取ることを認めてられているのは、まさに各チームの競争上の立場に左右されずに決定を下すためである」
 最近のレースではマシンのバウンドはあまり見られないが、FIAはその要因はむしろコース特性によるものだと考えており、ハンガリーGPやベルギーGP、シンガポールGPなど、問題が起こりうる開催地が控えている。
 また、FIAはチームが2023年型マシンの開発を重ねるにつれ、ダウンフォースの増大が来年にさらなる問題を引き起こす可能性も懸念している。
 そのためFIAは、スポーツから問題を取り除くべく、予定しているプランにこだわっており、ベルギーGPから取り締まりを実施する姿勢を変えていないことを再確認した。
 AOMはベルギーGPの週末から義務付けられるが、チームは次戦フランスGPからAOMを使用し、理解を深めることができる。
 さらに、チームが車高を下げつつもスキッドブロックの摩耗を避けるため、巧みにプランクをたわませていたことが明らかになったために、スキッドおよびプランクの剛性を強化した上、摩耗やたわみの測定方法についても変更される予定だ。
 またFIAは、チームからの意見に基づき、2023年のテクニカルレギュレーションの変更についても概要を発表した。
 フロアのエッジを25mm持ち上げる他、アンダーフロア・ディフューザーの寸法などにも手が加えられる予定だ。また、フロアの横方向たわみ検査の厳格化、振動を定量化するためのより正確なセンサーも使用されることになりそうだ。
 上記の対策はすべて、FIAの世界モータースポーツ評議会に緊急に提出され、承認されることになっている。
 
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