F1メカ解説|アストンマーチン、グレーゾーン攻めた”奇抜リヤウイング”導入! 消えたはずのエンドプレート復活
アストンマーチンは、F1ハンガリーGPに新たなリヤウイングを持ち込んだ。このウイングはレギュレーションに適合するように奇抜な形状をしているが、これはレギュレーション本来の意図を無視し、グレーゾーンを攻めたデザインをしているようだ。
2022年に導入されたレギュレーションは、マシンが生む後方乱気流を減らし、後続のマシンが受ける悪影響を低減することで接近戦を演じやすくするためのモノだ。
その一環として、リヤウイングも大きく形状が変化。ウイングのメインプレーンとフラップが、エンドプレートと曲線的に接続されている。これにより伝統的なエンドプレートの先端で生まれる渦流が無くなり、後方への乱気流が抑えられるのだ。
しかしアストンマーチンは、ハンガリーGPでこの新しいレギュレーションの意図を逆手にとったデザインのウイングを導入した。走行写真を見る限り、セバスチャン・ベッテルとランス・ストロールは共に、FP1とFP2両セッションでこのウイングを使用したようだ。
このリヤウイングは、独特な形状のエンドプレートを持っている。現行レギュレーションにおいて、エンドプレートがメインプレーンより上に突き出ているのは異例なことだ。
F1の技術規則3.10.4には、リヤウイングのエンドプレートについて遵守すべき事項や、許されないデザイン、曲率半径などが詳しく定められているが、アポストロフィまたはカンマ『,』のような形状をした部分で、それらのレギュレーションをクリアしているようだ。
このデザインにより、リヤウイングは昨年以前のリヤウイングに近い、伝統的な手法でより多くのダウンフォースを生むことができるようになるはずだ。
エンドプレートは、メインプレーンの後縁と交わる最後部で途切れている。これはアッパーフラップと交わる部分には設計上の制約があり、エンドプレートを形成することができないためだ。
これは、レギュレーションをうまく解釈したエレガントなソリューションだと言えなくもないが、FIAはこの手法について議論し、レギュレーションの文言を言い換えることで、将来的にこの方向でのさらなる開発を抑制することを選択する可能性がある。
今季は、多くのチームにコピーされたビブウイングや、レッドブルに近い形状のサイドポンツーンを導入するなど、積極的に開発を推し進めているアストンマーチン。このウイングが効果を発揮し、新たな功績となるのか、そのパフォーマンスに注目だ。
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