10番手スタートのフェルスタッペンが逆転で今季8勝目。メルセデスが2戦連続W表彰台【決勝レポート/F1第13戦】
2022年F1第13戦ハンガリーGPの決勝が行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝した。2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位はジョージ・ラッセル(メルセデス)となっている。アルファタウリの角田裕毅は19位だった。
今年のハンガリーGPの週末は初日こそ快晴に恵まれたが、2日目は雨。そして日曜日も、決勝レース中の降水確率は60%と高い。レース開始時の現地時間午後3時の時点で、天候は曇り、気温19度、路面温度27.6度、メインストレートでは向かい風となるやや強い風が吹いている。
前日の予選は、ラッセルがキャリア初ポールポジションを獲得する、大番狂わせの展開だった。スタートタイヤは、ソフトとミディアムに二分された。ラッセルは中古ソフト、背後のフェラーリ2台はミディアム、そして4番グリッドのランド・ノリス(マクラーレン)も中古ソフトだ。10、11番グリッドのレッドブル2台、角田はソフト、パワーユニット交換でピットスタートのピエール・ガスリー(アルファタウリ)もソフトを選択した。
スタートではカルロス・サインツ(フェラーリ)がターン1のブレーキングから果敢に攻めるが、ラッセルが首位を死守。シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ノリス、そして5番手にハミルトンが上がった。後方でアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)と接触。ターン2付近にパーツが散乱し、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。
10番手スタートのフェルスタッペンは、7周目までにフェルナンド・アロンソ、エステバン・オコン(ともにアルピーヌ)をかわし6番手。セルジオ・ペレス(レッドブル)も7番手につけた。アルファタウリ勢も角田14番手、ガスリー17番手まで順位を上げている。しかし角田は10周目にベッテルにかわされ、15番手に後退した。
10周目以降、上位3台に離されたノリスとハミルトン、フェルスタッペンの4番手争いが繰り広げられた。12周目、ノリスはハミルトン、フェルスタッペンに次々にかわされ、13周目にはペレスにも抜かれていった。
15周目の時点で、首位のラッセルにサインツは1秒3落ち。3番手ルクレールはサインツの1秒以内に迫っており、「もっと速く行けないのか」と、控えめな順位交替を要求している。するとソフトのラッセルが、17周目にピットイン。右フロントの交換に手間取り、6番手でコース復帰。サインツがオーバーカットを狙って18周目にピットインするが、こちらもタイヤ交換に手間取り、ラッセルの前に出ることはできなかった。
22周目、首位に繰り上がっていたルクレールがピットイン。ラッセルが首位に復帰し、ルクレールがサインツをおさえて2番手でコース復帰に成功した。フェルスタッペンは4番手だ。
26周目、ルクレールが首位ラッセルの1秒以内まで迫った。ハイダウンフォース特性のハンガロリンクでは、DRSの効果が大きい。それでも再三のルクレールのアタックに、ラッセルはしっかり走行ラインを抑えて抜かせない。しかし31周目、ルクレールがターン1のブレーキングで、アウト側からかわしていった。後方ではフェルスタッペンが、3番手サインツとの差をジリジリと詰めている。
折り返し点の35周目前後から、コース上に雨粒が落ち始めた。ほとんどのドライバーのラップタイムに顕著な影響は出ていないが、角田は35周目に高速シケインでスピンを喫している。
39周目、4番手フェルスタッペンが再びミディアムに交換。すると40周目に首位ルクレール、2番手ラッセルが同時ピットイン。ルクレールはハード、ラッセルはミディアムに交換し、ルクレールはフェルスタッペンの前でコースに復帰した。しかしハードタイヤが温まる前に、ルクレールはフェルスタッペンにかわされてしまう。
ところがフェルスタッペンはターン13で単独スピン。これで再びルクレールが、実質首位を奪い返した。それでもフェルスタッペンは最速ラップを出しながら、ルクレールの1秒以内に迫る。そして45周目のターン1立ち上がりで、再び抜き去って行った。
48周目、首位サインツが2度目のピットイン。ソフトを履き、5番手でコースに戻った。そして52周目にハミルトンもピットに向かい、同じくソフトに交換。これでフェルスタッペンが首位に立った。2番手ルクレールはハードタイヤのペースに苦しみ、ラッセルに0.5秒差まで迫られている。そして54周目、ターン1のブレーキングでラッセルが抜いていった。ルクレールは直後に3度目のピットインで、ソフトに交換。6番手でコースに復帰した。
4番手ハミルトンが最速タイムを連発しながら、サインツに迫る。60周目の時点で、両者の差は1秒3。62周目には0.6秒まで縮まり、ハミルトンはオーバーテイクを狙う。63周目、最終コーナー立ち上がりで先行し、3番手を奪った。勢いに乗るハミルトンは、ラッセルも65周目に抜き去っていった。
チェッカー2周前の68周目、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)は「パワーがない」と訴えながら、コース脇にストップ。これで2度目のVSCが導入され、最終周にレース再開。雨がやや強く降り出したが順位変動はなく、フェルスタッペンが10番手スタートからトップでチェッカーを受けた。2位ハミルトン、3位ラッセルと、1週間前のフランスGPと同じ顔ぶれの表彰台となった。
大本命のはずだったフェラーリ勢は、サインツ4位、ルクレールはペレスに追いつくこともできず6位に終わった。これで選手権首位のフェルスタッペンが258ポイントに対して、2位ルクレールは178ポイントと、両者の差は80ポイントまで開いた。7位ノリス、8位アロンソ、9位オコン、10位ベッテル。アルファタウリはガスリー12位、角田は19位だった。
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