フェラーリはチームオーダーを発動するのか? 騒がしい外野をよそにチームは冷静か

 

 2022年シーズンのF1で“開幕ダッシュ”を決めたフェラーリだが、中盤戦からはその勢いには陰りが見えており、サマーブレイクに入った時点でレッドブルとマックス・フェルスタッペンに大きくリードを許している。
 フェラーリのシャルル・ルクレールはフェルスタッペンに次ぐランキング2番手につけているが、トラブルやミスによる取りこぼしが多いこともあり、その差は80ポイントに開いている。フェラーリは今季、そのルクレールを優先してカルロス・サインツJr.をサポート役に回すのかどうかについて度々質問されていたが、彼らはそのような判断は時期尚早だと繰り返してきた。
 今季のチームオーダーに対する考え方についてmotorsport.comに尋ねられたフェラーリのスポーティングディレクター、ローラン・メキーズは、この問題がフェラーリ社内以上に外部で話題に挙がっていると感じている。
「それはフェラーリ内部よりも、フェラーリの外で議論されているね」とメキーズは言う。
「でも真面目な話、我々は常にチームにとって最高の結果を目指すということを明確にしている。フェラーリが第一だ」
「もちろん、チャンピオンシップの順位が重要になってくる場合は、ひとりのドライバーに集中する時が来るだろう」
「それは物理的に点差が開くまで待つという意味ではなく、そうすることが正しいと思える時期に来るかどうか、という話だ」
 今季はレッドブルと同等の戦闘力を持つとも言われるフェラーリだが、戦略ミスによりレースを落とすケースが多く、度々批判に晒されている。最近では、ハンガリーGPでハードタイヤを履くというチョイスが失敗したルクレールを、フェラーリは再度ピットに呼び込んだため、ルクレールは6位まで順位を落とした。
 そしてその1レース前のフランスGPでは、カルロス・サインツJr.に対するピット戦略でも物議を醸した。フェラーリはレース終盤、サインツJr.にペナルティを消化させてフレッシュタイヤを履かせるためにピットインを指示したが、中継で流れた無線交信では、ピットウォールからの指示が二転三転して混乱しているように見えた。
 しかしメキーズは、チームが混乱しているように見えたのは、実際の無線交信と中継で流れる無線交信との間に30〜40秒のタイムラグがあったからであり、これは「チーム内部と外部でいかに状況が異なって見えるか」の好例だと語った。
「もしあの時に戻れるとしても、我々はカルロスを呼び戻してピットストップを行なうだろう。あれはいかに今のF1が複雑で、戦略の背景にあるものを理解するのが難しいかを示しているだけだ」
「とは言っても、我々は今年かなりのポイントを落としている。信頼性の問題もあるし、我々がもっとうまくやるべきだったこともあった。だから我々はそこに対して懸命に取り組んでいるのだ」
「プレッシャーが増大しているとは思わない。競争の激しい世界なので、プレッシャーは常に最大限かかっている」
「それはポジティブなプレッシャーであり、レースごとに進歩していくための原動力になる」
 
 
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