フェルスタッペンがポール・トゥ・ウインで14勝目、シーズン最多勝記録を樹立。ペレスは母国で3位【決勝レポート/F1第20戦】
2022年F1第20戦メキシコGPの決勝が行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝した。2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位はセルジオ・ペレス(レッドブル)となっている。角田裕毅(アルファタウリ)はリタイアだった。
1962年に第1回大会が開かれたメキシコGPは、60年目の節目を迎えた。決勝当日のエルマノス・ロドリゲス・サーキットはやや雲の多い天候。現地時間午後2時からの決勝中の降水確率は40%。雨が降るかどうかは、微妙なところだ。気温24度、路面温度は44.9度まで上がっており、前日の予選と同じような暑さだ。
ここでは過去、ミディアムタイヤ→ハードタイヤの1ストップ作戦が主流だった。しかしタイヤが18インチに変更された今季は、ソフトタイヤ→ミディアム→ミディアムの2ストップ戦略が最速と、ピレリは予想している。
スタートタイヤは、ソフトとミディアムが混在する選択となった。10番手までの上位勢だけでも、ポールシッターのフェルスタッペン、ペレス、カルロス・サインツ(フェラーリ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が中古ソフト。ミディアムはいずれも新品で、メルセデスの2台、そして8番手からのランド・ノリス(マクラーレン)、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、エステバン・オコン(アルピーヌ)だ。
ソフトのフェルスタッペンが蹴り出しよくターン1に真っ先に飛び込んで行き、ホールショットを決めた。2番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)は必死に追いつこうとターン1のブレーキングを遅らせたことが響き、ターン3までにハミルトンにかわされ、さらにペレスにも抜かれて4番手に後退した。サインツ、ルクレール、アロンソ、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、オコン、ノリスと続く。
ソフトの角田はふたつ順位を上げて11番手、ミディアムのピエール・ガスリーは逆にふたつ順位を落として16番手だ。
スタートでふたつ順位を落としたボッタスが、7番手アロンソを激しく追う。アロンソから角田までの5台がトレイン状態で続いていたが、高地のここでは接近し過ぎるとブレーキやパワーユニットが加熱してしまう。徐々に1秒以上の間隔を取るようになっていった。ストレートは長いが、空気が薄くスリップが効きにくいこともあって、オーバーテイクしにくい。それでもダニエル・リカルド(マクラーレン)は果敢に周冠宇(アルファロメオ)を抜き、11番手の角田に迫る。
首位フェルスタッペンはソフトタイヤをいたわっていることもあってか、ハミルトンとの差がなかなか2秒以上に広がらない。担当エンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが、「いい仕事をしてるぞ」と励ます。直後にフェルスタッペンは最速タイムを出し、両者の差は2秒1になった。
13周目にランス・ストロール(アストンマーティン)を抜いて15番手に上がったガスリーだったが、ストロールを押し出したとして5秒ペナルティを科された。ストロールは「グリップが全然ない」と訴え、18周目の早いタイミングでミディアムからソフトに交換、最後尾でコースに復帰した。6番手ルクレールもタイヤの垂れがかなり厳しそうで、早めのピットインを打診。しかし順位のロスが大きすぎると却下された。
20周を過ぎ、ソフトを履く首位フェルスタッペンのペースが落ちてきた。23周目、4番手ペレスが先にピットに向かった。しかし左リヤタイヤの交換に手間取って5秒かかり、6番手でコースに復帰した。そして25周目にフェルスタッペンもピットイン。サインツの前、3番手でコースに戻った。最速タイムを叩き出したペレスが難なくルクレールを抜き、5番手に。その瞬間、超満員の観衆が湧いた。
「アグレッシブな戦略で行く」とレース前に言っていたハミルトンが、29周目という早めのタイミングでピットイン。ミディアムから、なんとハードに履き替えた。そのペースのよさを確認し、ノリス、オコンもハードを選択した。34周目には、ラッセルもピットイン。やはりハードを装着した。2秒7の静止時間だったが、ペレスの前に出られず。4番手でコースに復帰した。
ペレスは2番手ハミルトンに迫り、DRS圏内に入った。ハミルトンは「(このハードは)ミディアムほどよくない」と訴える。ペレスの追撃は何とかしのいでいるが、その間に首位フェルスタッペンとの差は45周目の時点で9秒5まで広がった。上空には雲が広がり、レーススタート時より路面温度が9度も下がっていることも、ハードの感触が悪い一因のようだ。
リカルドがミディアムで45周目まで引っ張り、ソフトに履き替えた。最後までミディアムで走り続けた周も、翌周にピットに向かった。これで角田は11番手まで順位を上げた。しかしリカルドがあっという間に迫り、50周目のターン6で接触。角田は緊急ピットインしたものの、マシンのダメージが大きく、そのままリタイアとなった。リカルドはこれで10秒ペナルティを科された。
マクラーレンは少しでもペナルティの影響を減らそうと、ペースに優るリカルドをノリスの前に行かせた。リカルドはすぐにボッタスを抜き、9番手に上がった。
7、8番手のアルピーヌ勢、10番手のボッタス、11番手のノリスと、ハードを履いたドライバーのペースがどんどん落ちている。リカルドは61周目にアロンソ、62周目にオコンと次々に抜き去り、一気に7番手まで順位を上げた。
65周目、アロンソが「エンジンだ」と言いながらコース脇にマシンを止めた。これでバーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。しかし誰もピットには向かわず、そのままレースは再開された。
69周目、ラッセルがソフトに交換。4番手サインツとの差が29秒あり、フリーストップを行い最速タイムを狙う目論みだ。そして最終周に1分20秒153を叩き出した。
その間にフェルスタッペンは悠々とチェッカーを受け、今季14勝目を獲得。ついにミハエル・シューマッハーとセバスチャン・ベッテルを抜いて、年間最多勝記録を樹立した。メキシコGPでは過去4戦、ポールシッターは勝てていない。そんなジンクスなどものともしない、堂々たるポール・トゥ・ウインだった。
15秒遅れで2位ハミルトン、2秒9差で3位ペレス。奇しくも昨年と同じ表彰台の顔ぶれとなった。そしてペレスはこの3位表彰台でルクレールを抜き、ドライバーズ選手権2位に上がった。4位ラッセル、5位サインツ、6位ルクレール、7位のリカルドはオコンとの差を10秒以上広げることに成功し、結果的に10秒ペナルティは帳消しとなった。8位オコン、9位ノリス、10位ボッタス。ガスリーは惜しくも11位だった。
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