レッドブルF1、メルセデスPU部門のチーフエンジニアを引き抜き「新世代PU開発に向けて主要メンバーはすべて決定」

 

 レッドブル・パワートレインズ(RBPT)は、2026年以降の新世代F1パワーユニット(PU)の設計・製造を行う準備をするなかで、優れた人材の確保に努め、最近、メルセデスのエンジン部門、メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)のチーフエンジニア、フィル・プリューの獲得に成功したということだ。

 プリューの獲得は、レッドブルにとってふたつの面で大きな意味を持つ。ひとつはシャシー部門とエンジン部門の両方で豊富な経験を積んだエンジニアを確保できたこと、もうひとつはそのような優秀な人材をライバルのメルセデスから引き離すことができたことだ。

 プリューはマクラーレンで、車両ダイナミクスエンジニア、データアナリストエンジニアを経て、2001年にレースエンジニアに就任。デイビッド・クルサード、ファン・パブロ・モントーヤ、ペドロ・デ・ラ・ロサ、現在メルセデスに所属するルイス・ハミルトンらと仕事を共にした。プリューはプリンシパルレースエンジニアを経てチーフエンジニアに就任した後、メルセデスHPPからのオファーを受け、25年を過ごしたマクラーレンからメルセデスに2016年に移籍した。

2010年F1ベルギーGP表彰台 ルイス・ハミルトン(マクラーレン)と当時レースエンジニアを務めたフィル・プリュー、マーク・ウエーバー、ロバート・クビサ
2010年F1ベルギーGP表彰台 ルイス・ハミルトン(マクラーレン)と当時レースエンジニアを務めたフィル・プリュー、マーク・ウエーバー、ロバート・クビサ

 ハンガリーGPの週末、レッドブル代表クリスチャン・ホーナーは、プリューを獲得したと発言した。

「フィルがチームに加入することになってうれしい。彼は素晴らしい経歴の持ち主であり、メルセデスの最近の成功に大きく貢献してきた人物だ」

「彼の獲得は、我々がパワーユニットの分野においてどこを目指すかという意思を改めて表明することにもなる。我々はこのビジネスにおいて、強さと深みを持った人材を集めてきた。その力が結集し、活動し始めるのを見るのは素晴らしいことだ」

「すでに集めた非常に才能あるグループに加え、最近何人か重要な人材と契約したが、そのなかのひとりがフィルだ」

 レッドブルのチーフテクニカルオフィサーであり、プリューと共に働いた経験を持つエイドリアン・ニューウェイの意見を聞いて決断したと、ホーナーは述べている。

「エイドリアンはフィルを何年か前から知っているので、彼の意見を参考にした。ただ、契約するために彼(ニューウェイ)がフィルと話をしたわけではない」

 ホーナーは、レッドブル・パワートレインズのための上級職の採用プロセスはほぼ終了したと明かした。

「主要な人材はすべてそろったと思う。マネジメント体制が整い、近いうちに確定するだろう2026年レギュレーションに基づいて作業に取り組んでいく」

 レッドブルはパワーユニット部門のために、すでにメルセデスから上級職のスタッフを何人も獲得、そのなかでメルセデスF1のエンジン部門でヘッド・オブ・エンジニアリングを務めたベン・ホジキンソンをレッドブル・パワートレインズのテクニカルディレクターに起用している。

 次世代パワーユニットが導入される2026年に向けて、レッドブルはポルシェと提携する見通しだが、まだ正式発表は行われていない。

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