フェルスタッペンが完勝で今季15勝目。選手権2位争いは1ストップ戦略のルクレールに軍配【決勝レポート/F1第22戦】
2022年F1第22戦アブダビGPの決勝が行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝した。2位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位はセルジオ・ペレス(レッドブル)となっている。角田裕毅(アルファタウリ)は11位だった。
今季最終戦アブダビGPは、グリッド最前列をレッドブルのフェルスタッペン、ペレスが占めた。2列目はルクレール、カルロス・サインツのフェラーリ勢。そして3列目はルイス・ハミルトン、ジョージ・ラッセルのメルセデス2台と、上位6グリッドにはトップ3チームの6台がきれいに並んだ。
後方では予選10番手のダニエル・リカルド(マクラーレン)がブラジルGPでのペナルティで3グリッド降格となり、角田が11番グリッドに上がった。このレースを最後に現役を引退するセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)は9番グリッド、その隣にかつてライバルだったフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が並ぶ。
決勝レースのスタートする現地時間午後5時の時点で、気温29.1度、路面温度36.6度。30分後には、とっぷりと日が暮れた。
18インチタイヤで初めて戦われる今年のアブダビGPはデグラデーションが大きく、2ストップ戦略がメインになりそうだ。注目のスタートタイヤは、ポールシッターのフェルスタッペン以下17台がミディアムを装着。16番手ケビン・マグヌッセン(ハース)、18番手バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)がハード、そして17番手ピエール・ガスリー(アルファタウリ)がソフトを選択した。
スタートではフェルスタッペンがホールショットを決め、ペレス、ルクレールが続く。ハミルトンが蹴り出しよく、ターン1までにサインツに先行して4番手に上がる。その一方でラッセルは、ランド・ノリス(マクラーレン)にかわされ7番手。ソフトでスタートダッシュを狙ったガスリーは、逆にひとつ順位を落としている。
ハミルトンは1周目にサインツに抜かれかかり、コースオフ。縁石でマシンが跳ね上がった。コース復帰の際に順位を上げたと認定される恐れから、自主的に5番手に後退。すぐに抜き返して、4番手に復帰した。ラッセルもノリスから6番手を奪い返し、さらにサインツに迫る。
ハミルトンのペースが伸びず、3台がトレイン状態。8周目にサインツが、再び4番手に上がった。チームからラッセルに対して、「(ハミルトンと)自由にレースしていい」と、指示が飛ぶ。9周目の2本目のストレートで、ラッセルが抜き去って行った。「パワーを失っている。どうなっているんだ」と、ハミルトン。
13周目にランス・ストロール(アストンマーティン)、15周目にはエステバン・オコン(アルピーヌ)、角田、ガスリーらが次々にピットイン。ペレス、ラッセルも16周目にピットに向かい、いずれもハードに履き替えた。やはり1年前に比べ、タイヤの垂れは大きい。
フェルスタッペンは21周目まで引っ張って、ハードに交換。これでルクレールが首位に上がったが、22周目にピットイン。ペレスから6秒遅れの3番手でコースに復帰した。フェルスタッペンは2番手ペレスに、2秒差をつけている。その間にラッセルは、ピットアウト時にノリスの邪魔をしたとして5秒ペナルティを科された。
24周目、角田がボッタス、アロンソを次々に抜いて、11番手に。しかしアロンソに抜き返され、再び12番手に後退した。26周目に、ベッテルがようやくピットイン。8番手から19番手まで順位を落としたが、1ストップで順位を上げる作戦だ。
28周目、10番手アロンソが緊急ピットイン。冷却水漏れトラブルで、そのままレースを終えた。「レース後、ベッテルとコース上でドーナツターンをやる」という願いは、叶わなかった。これで角田が10番手に浮上した。ガスリーはペースが伸びず、17番手だ。
折り返しを過ぎた30周目の時点で、首位フェルスタッペン、2秒差でペレス、ルクレール、サインツ、ラッセル、ハミルトンと続く。ルクレールが最速タイムを出しながら、ペレスとの差を2秒5まで縮めてきた。「マックスに抑えられているんだけど」と、ペレス。フェルスタッペンのペースアップを、暗に促している。
31周目にボッタスがピットイン。これで全車がタイヤ交換を終えた。この時点で2番手ペレスとルクレールの差は2秒。33周目には一気に1秒5まで縮まった。アンダーカット狙って、ルクレールに「ボックス!」の指示が。するとレッドブル陣営が先んじて、ペレスを34周目に2回目のピットへ入れる。再びハードに履き替え、6番手でコース復帰した。ルクレールは、ステイアウトに切り替えた。
2番手ルクレールに「プランC」の指示が飛ぶ。このままチェッカーまで、走り切る作戦だ。この時点で6番手ペレスは17秒後方だが、ペレスは最速タイムを連発し、1秒以上速い。
39周目、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)がミック・シューマッハー(ハース)に接触され、バリアに衝突。セーフティカー導入かと思われた。しかし2台とも何とかコースに戻り、レースはそのまま続行された。
45周目、ペレスは4番手まで上がり、2番手ルクレールとの差は10秒まで縮まった。「このまま行くと、最後に抜かれる」と、担当エンジニア。だとしたらなぜ、1回ストップ作戦に切り替えたのだろう。46周目、ペレスが2本目のストレートでハミルトンをかわし、3番手に上がった。1秒前後速いペースで、ルクレールを追う。
しかしルクレールも懸命にペースを維持し、ペレスは残り6周になっても6秒離されている。残り4周、両者の差はようやく4秒を切った。「最終ラップで追いつくぞ」と、担当エンジニアがペレスを励ますが、周回遅れの処理に手間取ったりして、思ったほどギャップは縮まらない。
55周目、4番手ハミルトンが油圧トラブルに見舞われ、スローダウン。なんとかピットにたどり着いたものの、リタイアとなった。これでデビュー年から続いていた連続勝利記録は、ついに途絶えた。
57周目、ルクレールとペレスの差は、ついに2秒を切った。最終周で1秒6。しかしふたつのDRS区間で、1秒以内に近づけない。その間にフェルスタッペンが悠々とチェッカー。今季15勝目を挙げて、有終の美を飾った。
ルクレールはそのまま逃げ切って、2位表彰台。ペレスは1秒322及ばず3位。これでドライバーズ選手権2位は、ルクレールが獲得した。4位サインツ、5位ラッセル、6位ノリス、7位オコン、8位ストロール、9位リカルド。そして一時は入賞を諦めていたベッテルが、ハミルトンのリタイアで10位に滑り込んだ。
角田は11位、ガスリーも14位でノーポイントに終わり、ハースに2ポイント差まで迫っていたコンストラクターズ選手権8位の座を奪うことはできなかった。
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