特集|2023年のF1ドライバーのカーナンバー。誰がどの番号を使うのか? その理由は?

 

 F1では、全てのドライバーが固定のカーナンバーを使用してキャリアを戦う。
 この仕組みは、コース上のドライバーへの認知度を高めるために2014年に導入されたもので、かつてはチャンピオンシップの最終順位に基づいてナンバーが決められたり、チームごとにナンバーが決まっていたこともあった。
 ただずっと変わらないモノ……それは前年のチャンピオンのみがカーナンバー1をつけることができるということだ。1974年以来、カーナンバー1は一部の例外を除いて、前年チャンピオンしかつけることが許されなかった。現在でも、現役のF1世界チャンピオンだけが自分の固定ナンバーをチャンピオンナンバーである「#1」に変更することができる。
 多くのドライバーにとっては、自身が選んだカーナンバーには、ラッキーナンバーであったり、特別な思い出があったりと……それぞれにストーリーがある。この記事では、2023年F1シーズンに参戦するドライバーのカーナンバーと、その背景にあるストーリーをご紹介する。
2023年F1ドライバーのカーナンバー一覧

カーナンバー
ドライバー

1
 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

2
 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)

4
 ランド・ノリス(マクラーレン)

10
 ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

11
 セルジオ・ペレス(レッドブル)

14
 フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)

16
 シャルル・ルクレール(フェラーリ)

18
 ランス・ストロール(アストンマーチン)

20
 ケビン・マグヌッセン(ハースF1)

22
 角田裕毅(アルファタウリ)

23
 アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)

24
 周冠宇(アルファロメオ)

27
 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハースF1)

31
 エステバン・オコン(アルピーヌ)

44
 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

55
 カルロス・サインツJr.(フェラーリ)

63
 ジョージ・ラッセル(メルセデス)

77
 バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)

81
 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

未定
 ニック・デ・フリーズ(アルファタウリ)

#1|マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
 現役F1世界チャンピオンであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、2023年シーズンも#1を使用することを選択。2021年に初の戴冠を迎えたことで2022年は既存の#33から変更しており、来季はチャンピオンナンバーで2シーズン目を迎える。
 フェルスタッペンは2022年シーズンの最終戦アブダビGPで、来季のカーナンバーについて次のように語っていた。
「もし僕が世界チャンピオンじゃなくなったら、いつでも#33には戻ることができる。でも僕が世界チャンピオンである限り、僕は毎年#1を使うよ」
 フェルスタッペン以前に、チャンピオンナンバーを使用したのは2014年のセバスチャン・ベッテル。それ以降タイトルを獲得していたルイス・ハミルトンは自身の固定ナンバーを使用し続け(2018年アブダビGPのFP1では1度だけ#1を使用したが)、2016年シーズンの世界チャンピオンであるニコ・ロズベルグはその年限りでF1を引退したため、翌年は#1を使用する権利を手にしたドライバーはいなかった。
 
 フェルスタッペンの固定カーナンバーである#33にもストーリーがある。彼のラッキーナンバーは#3だったが、既にF1ではその番号をダニエル・リカルドが使用していたため、フェルスタッペンは”二重の幸せを願って”#33とした。
「子供の頃、この番号でレースをしていたから、F1でも#33を使ったら良いと思ったんだ」とフェルスタッペンは語り、#33と書かれたオモチャのクルマに乗る写真を載せてソーシャルメディアに投稿していた。
 なおフェルスタッペンは、ヨーロッパF3では#30、F1公式セッションデビューとなった2014年の日本GPフリー走行1回目では#38を付けたトロロッソ(現アルファタウリ)を走らせた。
#2|ローガン・サージェント(ウイリアムズ)
 2023年にウイリアムズからF1デビューを果たすローガン・サージェントは、#2をピックアップ。そのカーナンバーを選択した理由としてサージェントは、多くの勝利を挙げたフォーミュラ・ルノー時代に付けていたからだと説明している。
 #2は2017〜2018年にかけてマクラーレンからF1を走ったストフェル・バンドーンが使用していたものの、最後の使用から2年以上が経過しているため、バンドーンの保有権は失効。サージェントの使用が可能となっていた。
#4|ランド・ノリス(マクラーレン)
 マクラーレンのランド・ノリスはカーナンバーとして#4を選択し、その理由を次のように説明している。
「背後にストーリーはないよ。ハッシュタグの#L4ndoにはよく合うけど、全てのレースカテゴリーで使ってきた訳じゃないんだ」
 そしてノリスはMotoGPの伝説的なライダーであるバレンティーノ・ロッシの大ファンということもあり、彼の#46を使うことも考えたものの、「模倣」にはなりたくないとして、#4を使用することを選んだ。
#10|ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
 2023年にアルファタウリからアルピーヌへと移籍するピエール・ガスリーは、2013年のフォーミュラ・ルノー2.0ユーロカップでこのカーナンバーを付けてチャンピオンに輝いている。GP2時代は#21、スーパーフォーミュラ時代は#15番を付けていたが、サッカーの元フランス代表ジネディーヌ・ジダンの大ファンでもあるガスリーは、F1昇格に合わせて#10を選んだ。
#11|セルジオ・ペレス(レッドブル)
 レッドブルのセルジオ・ペレスがマシンにつけているのは#11。その由来はモータースポーツではなく、サッカーにある。
 ペレスはクラブ・アメリカ、特にバンバンことイバン・サモラーノの大ファンであり、次のように語っていた。
「バンバンのプレー、得点の仕方が好きだったんだ。彼のファンになって、その背番号でレースに出ることにしたんだ。今に至るまで、メールアドレスとかも常に11を使っているんだ!」
#14|フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)
 来季アルピーヌからアストンマーチンへと移籍するフェルナンド・アロンソは、#14を背に2001年からF1に参戦。1999年7月14日、14歳の時にカーナンバー#14でカートの世界チャンピオンになった「その瞬間から、#14が自分のナンバーだと理解した」とその由来を語っていた。
#16|シャルル・ルクレール(フェラーリ)
 フェラーリのシャルル・ルクレールは、#16でF1に参戦している。当初はラッキーナンバーの#7を所望したものの、これは既にキミ・ライコネンが使用していた。第2希望の#10も親友のガスリーが使用していたため、「1+6=7だから」と#16を選んだ。
 因みに彼の誕生日は1997年の10月16日。16は彼にとって縁のある数字でもある。
#18|ランス・ストロール(アストンマーチン)
 アストンマーチンのランス・ストロールは、カーナンバーに#18を選択。キャリア初期に、ストロールはこのカーナンバーでイタリアF4を制覇。そして18歳の誕生日を迎えた直後にウイリアムズからF1デビューを果たしている。
「ちょっと迷信的だけど、自分としては重要な小さなことを持ち続けるのが好きなんだ。それらを変えようとは思わないよ」
 ストロールは自身のカーナンバーについてそう語っていた。
#20|ケビン・マグヌッセン(ハースF1)
 ケビン・マグヌッセンは、2014年にマクラーレンからグランプリデビューを果たす前年2013年に、フォーミュラ・ルノー3.5シリーズのタイトルを獲得。その時に使用していた#20でF1に参戦している。
#22|角田裕毅(アルファタウリ)
 角田裕毅は、アルファタウリからのF1デビュー時に#22をカーナンバーに選択した。5月11日生まれの角田はカート時代に#11を使用しており、F1でもその番号を希望したものの、そのカーナンバーはペレスが既に使用していたため、22となった。
 角田は22を選択した理由について、次のように語っている。
「本当は11番が良かったんです。小さい頃レースデビューした番号が11番でしたし、僕の誕生日が11日(5月11日)なので。ただ11番はセルジオ・ペレス選手に先に取られていたので、本当に単純に1+1=2で、22に(笑)」
#23|アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
 ウイリアムズからF1に参戦しているアレクサンダー・アルボンは、#23を選択。バスケットボール界ではマイケル・ジョーダンやレブロン・ジェームズがこの番号でプレーし、サッカー界ではデビッド・ベッカムもキャリアの一部でこの番号を使用していたことから、この#23はスポーツでは象徴的な存在だと言える。
 ただ、アルボンがこの番号を選んだ理由は、ノリスと同様にロッシの大ファンだから。カート時代にアルボンは#46をつけてレースをしていたが、F1ではこの番号を半分にすることにした。
 
#24|周冠宇(アルファロメオ)
 2022年シーズンのルーキーF1ドライバーであるアルファロメオの周冠宇は、#24を選択。彼がこの番号を選んだ理由は、大ファンであるバスケットボーツ選手のコービー・ブライアントへのトリビュートからだ。ブライアントは、レイカーズでの最後の数年間を背番号#24でプレーしていた。
 因みに、周より前にF1で#24を選択していたドライバーはティモ・グロックだ。
#27|ニコ・ヒュルケンベルグ(ハースF1)
 2023年にハースF1からF1へ復帰するニコ・ヒュルケンベルグは、フル参戦を行なっていた2019年以前と同じく#27を使用し続ける。このカーナンバーはジル・ビルヌーブを象徴する番号であり、アイルトン・セナやジャン・アレジなど他のスタードライバーも使ったため、F1界では伝説的な番号と言える。
 しかし、ヒュルケンベルグが#27を選んだ理由はそれとは全く関係がない。彼の誕生日である8月19日の8と19を足したモノだと言われている。
#31|エステバン・オコン(アルピーヌ)
 アルピーヌのエステバン・オコンは、#31を使用。オコンは2007年にこのカーナンバーでカートでの初タイトルを獲得しており、キャリアの中でも輝かしい一年と彼は今でも考えている。また2014年10月にロータスで初のF1テストを行なった際にも、オコンは#31を使用している。
#44|ルイス・ハミルトン(メルセデス)
 7度のF1世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンは、#44を使用し続けている。ハミルトンは初めてのカートレースの際に、どの番号を選べば良いのか分からず、父親のクルマのナンバー「F44」からこのカーナンバーの着想を得た。
 そこからハミルトンはF1でも一貫して#44を使用してきた。前述にもある通り、F1でチャンピオンナンバーを使用できる際にも基本的には#44を使用し続けてきた。
#55|カルロス・サインツJr.(フェラーリ)
 フェラーリのカルロス・サインツJr.は、カーナンバーに#55を選択しており、彼はその理由について次のように語っている。
「僕の名前は5に似ているSから始まって、苗字も同じくSから始まる。だから55になったんだ」
 彼の好きな数字は#5だが、そのカーナンバーはセバスチャン・ベッテルが既に使用していたため、”言葉遊び”で彼は#55を選択するに至った。
#63|ジョージ・ラッセル(メルセデス)
 メルセデスのジョージ・ラッセルはF1で#63を使用しているが、その理由について彼は次のように語っている。
「僕の兄が#63でカートをやっていたから、それ以来、このカーナンバーが家族の番号になっているんだ」
 この#63、遠目で見るとラッセルのイニシャルであるGRとも読むこともできる。また、彼の母国イギリス(Great …読み続ける

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