RB19発表会で2026年フォード提携を発表したレッドブルF1。秘められたアメリカと“自社ブランドPU”への思い
1月31日のハースF1に続き、2月3日にレッドブルF1が新車『RB19』をお披露目した。ハースがネットとリリースによって発表したのに対して、レッドブルはいわゆる新車発表会を実際に開催し、会場にも実車を登場させたリアルなイベントだった。ただし、その実車は2023年シーズンを走る本当のRB19ではなく、2022年に使用したマシンに今シーズンのカラーリングとスポンサーを配色したショーカーだったようだ。
そのマシンのエンジンカウルには、昨年の日本GPから復活した『HONDA(ホンダ)』ロゴが掲載されていた。ホンダの名前は車体ロゴだけでなく、今年からコンストラクター名にも、ホンダRBPT(レッドブル・パワートレインズ)として復活する。
しかし、この新車発表会が世界30カ国以上にライブで中継されたのには、それ以外に大きな意味があった。それはこのイベントで、フォードが2026年からレッドブル・テクノロジーズのパートナーとなることを発表したからだ。
レッドブルはすでに2025年まではホンダ・レーシング(HRC)からの技術支援を受け、レッドブル・パワートレインズを通して、レッドブルとアルファタウリの2チームにパワーユニットを供給することでHRCと合意していた。しかし、2026年以降に関してはどのような選択肢を取るのかは具体的に明らかにしていなかった。
当初はポルシェと組むと思われていたが、方向性の違いから2022年の夏に交渉は決裂。昨年末にはホンダが2026年以降のF1パワーユニットの製造者登録を行っていたことが判明したことで、ふたたびホンダが参戦した場合に、その関係を継続するのではないかと思われたが、レッドブルはこれを否定していた。
というのも、ホンダがF1に復帰する場合、それはパワーユニットを自社で開発・製造を行う“パワーユニット・マニュファクチャラー”としてのF1参戦だったが、レッドブルは2026年以降のパワーユニットはすでに稼働しているレッドブル・パワートレインズでの開発・製造が基本で、ホンダに対してはハイブリッド部分(おもにバッテリー)の供給や資金的なサポートを要求していたからだ。
当初は、22戦17勝したホンダとの関係をレッドブルが自ら切るとは考えにくいという声も少なくなかったが、自社ブランドのパワーユニットを開発・製造しようというレッドブルの思いは私たちが想像していたよりも強かったことが、今回のフォードをパートナーに迎え入れる発表によって知ることとなった。
発表会の会場には、フォードの社長兼CEOを務めるジム・ファーリーが、フォードの最新電気自動車に乗って登場。ファーレイを迎え入れたレッドブルF1チーム代表兼CEOのクリスチャン・ホーナーは、次のように語った。
「レッドブルは常に最先端を走り、誰も真似できないような挑戦を続けている。イギリスのチームがイギリス以外の国でシーズンをスタートさせるのは今回が初めてだったし、おそらくF1チームがアメリカでシーズンをスタートさせたのも今回が初めてだろう。それはアメリカに我々が思っている以上にポテンシャルがあるからだ」
「2026年からレッドブル・パワートレインズの新しいパートナーにフォードを選んだのもそうだ。フォードには、バッテリーやハイブリッド技術など、我々の競争力を維持するためにさまざまな支援を行ってもらう。このパートナーシップは、私たち双方にグローバルな可能性を与えてくれるものであり、私はすでに大きな期待を抱いている。だから、彼らの母国でそのことを一緒に祝うために、我々はアメリカへやってきたのだ」
2022年にダブルタイトルを独占したチャンピオンチームは、2023年の新車発表会で今シーズンだけでなく、すでに2026年以降を見据えてシーズンのスタートを切っていたのである。
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