赤旗3回、完走12台。大荒れの一戦をフェルスタッペンが制す。角田裕毅が今季初入賞【決勝レポート/F1第3戦】
4月2日、2023年F1第3戦オーストラリアGPの決勝レースが行われ、3度の赤旗中断と大荒れとなるなか、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季2度目のポール・トゥ・ウインで自身通算36勝目を飾った。2位にルイス・ハミルトン(メルセデス)、そして3位にフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が続いた。角田裕毅(アルファタウリ)は10位でチェッカーを受け、今季初入賞を果たした。
オーストラリア南東部の都市メルボルンにある半公道コースのアルバートパーク・サーキットを舞台に開催された第3戦。今大会ではC2タイヤがハード(白)、C3タイヤがミディアム(黄)、C4タイヤがソフト(赤)と、前戦サウジアラビアGPと同じ3種のコンパウンドが割り当てられている。
スタートタイヤは、9番手ピエール・ガスリー、11番手エステバン・オコンのアルピーヌ勢、17番手の周冠宇と、ピットレーンスタートを選択したバルテリ・ボッタスのアルファロメオ勢がソフト。15番手ニック・デ・フリース(アルファタウリ)、18番手ローガン・サージェント(ウイリアムズ)、ピットレーンスタートのセルジオ・ペレス(レッドブル)がハードを選択。そのほかのドライバーはミディアムを選択した。
レース開始直前の気温は17度、路面温度は35度、湿度53%というコンディション。16番手スタートからスタートを迎えるメルボルン出身、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)にも地元ファンから多くの声援が送られるなか、58周の決勝レースはスタートを迎えた。
スタートで抜群の蹴り出しを見せたのはフロントロウスタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)だった。フェルスタッペンからターン1のホールショットを奪うと、続くターン3ではハミルトンがフェルスタッペンをイン側からかわし2番手に浮上。ただ、その背後では7番手スタートのシャルル・ルクレール(フェラーリ)がランス・ストロール(アストンマーティン)と接触。ルクレールはダメージを負ったマシンをグラベル上で止めたことで、オープニングラップからセーフティカー(SC)が導入される。
SC導入の合図に対し、後続の5台がピットイン。オコン、周冠宇、ボッタスがソフトからハードへ。サージェント、ペレスは一度ミディアムを装着し、翌周に再びピットインしミディアムからハードに交換。チェッカーまでハードタイヤで走り切る作戦に。
4周目にレースはリスタートを迎えた。この時点でラッセル、ハミルトン、フェルスタッペン、カルロス・サインツ(フェラーリ)、アロンソ、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ストロール、ガスリー、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)、角田というトップ10。
ラッセルは1分23秒134でこの時点でのファステストを更新するも、ハミルトンがプッシュする。続くフェルスタッペンもほぼ同じペースで周回し、3台が先頭集団を形成し。4番手サインツ以下を引き離す状況となった。そんななか、6番手走行のアルボンが7周目のターン7進入でバランスを崩しウォールにクラッシュ。これで2度目のSC導入となる。
このSC導入でトップのラッセル、4番手サインツ、そしてケビン・マグヌッセン(ハース)がピットイン、3人ともハードタイヤへ交換しタイヤ交換義務を消化。ラッセルは角田の前7番手でコースに復帰する。ラッセルが先にピットに入ったことで、コース上にステイすることとなったハミルトンは「僕はすごく損をしてないかい?」と無線を入れる。ただその直後、アルボンのマシンの回収とウォールの修復のため、赤旗が掲示されレースは9周時点で中断。走行中の全車がピットに戻ることとなった。
F1では赤旗中もタイヤ交換(タイヤ交換義務消化)が認められる。そのため、SC中にタイヤ交換義務を消化したラッセルやサインツらはライバル勢へのマージンを失うこととなり、ラッセルは一旦クルマから降りる際に首を横に振る仕草を見せた。赤旗導入時点でラップリーダーはハミルトン、以下、フェルスタッペン、アロンソ、ストロール、ガスリー、ヒュルケンベルグ、ラッセル、角田、ランド・ノリス(マクラーレン)、ピアストリというトップ10に。
デ・フリースとサージェントはミディアム、そのほかはハードを装着するなか、約15分間の中断を経て、レースは10周目にスタンディングでリスタートを迎えた。ハミルトンがホールショットを守り、フェルスタッペンは蹴り出しが良くなかったが2番手を死守。3番手アロンソ、4番手ガスリー、5番手ラッセルと続くなか、ターン3でオコンとデ・フリースが接触。デ・フリースはコースオフし、順位を17番手まで下げてしまう。
そんななか、12周目のターン8立ち上がりの緩やかなコーナーでフェルスタッペンがDRSを使用し、ハミルトンをオーバーテイクし、このレースで初めてラップリーダーに浮上。クリーンエアを得たフェルスタッペンは一気にハミルトンを引き離しにかかる。
続く13周目のターン11ではラッセルがガスリーをかわし、4番手に浮上。ラッセルは続いて3番手アロンソの背後に近づこうとするも、18周目のセクター3走行中のラッセルのマシンから白煙。パワーユニットから出火し、ラッセルはピットレーン出口にマシンを止めることとなった。これでバーチャル・セーフティカー(SC)が導入されたが、19周目には解除された。
2番手を争うハミルトンとアロンソだったが、勢いはアロンソにあった。アロンソは一時ハミルトンのDRS圏内に接近するがタイヤのデグラデーションを気にしてか一旦はハミルトンとのギャップを広げる。その一方、ピットレーンスタートのペレスはハードプッシュを続け、20周目には12番手まで浮上。角田を先頭とする9番手争いの隊列に加わる。ペレスは21周目のターン10でオコンを攻略。22周目にピアストリ、23周目に角田をパスし、ペレスは9番手まで浮上する。
また、25周目のターン3ではサインツがガスリーを攻略し5番手に浮上。27周目にはポイント圏内を走行中の角田の背後にオコンが接近。オコンは角田をかわし10番手に浮上する。さらに、29周目のターン9でDRSを効かせたピアストリに先行され、角田は12番手に後退。さらに背後からは周冠宇、マグヌッセンが接近する。
レースも後半を迎えた31周時点でフェルスタッペンはペースをコントロールしつつもハミルトンに8.4秒のギャップを築いていた。ハミルトン以下、アロンソ、サインツ、ガスリー、ストロールはそれぞれ1秒弱というギャップだが、タイヤマネジメントしつつの走りとなり、オーバーテイクの探り合いを続ける。上位勢に順位の変動がないレース中盤の36周目、周冠宇、マグヌッセンにかわされた角田は14番手まで後退と苦しいレースが続く。
ペレスは43周目のターン9でノリスを攻略。さらに1分20秒979とこの時点でのファステストラップも更新。続く44周目のターン11でヒュルケンベルグを攻略し7番手に浮上する。そんななか46周目には最後尾17番手走行のニック・デ・フリースがピットインしソフトタイヤに交換している。
その直後、47周目のターン13でフェルスタッペンがわずかにオーバーラン。しかしすぐにコース復帰を果たし、ハミルトンとの7.6秒のギャップを残しトップを維持。タイヤの限界かとも考えられたが、フェルスタッペンは49周目に1分20秒342とこの時点でのファステストを更新し、好調ぶりを見せつける。一方、51周目にはノリスがヒュルケンベルグを攻略し、8番手に浮上する。
53周目、ターン2で12番手走行中のマグヌッセンがウォールにヒットし、ターン3のグラベルにマシンを止め、3度目のSCが導入される。SC中にはボッタス、ピアストリ、周冠宇、角田がピットインしソフトタイヤに交換するが、その直後にまたも赤旗が掲示され、レースは56周時点で中断。
全車がピットへ戻り、ふたたびスタンディングでリスタートを迎えることに。なお、レースは残り周回2周のスーパースプリントとなることもあり、全車がソフトタイヤを装着している。
57周目、フェルスタッペン、ハミルトン、アロンソ、サインツ、ガスリー、ストロール、ペレス、ノリス、ヒュルケンベルグ、オコン、ピアストリ、周冠宇、角田、ボッタス、サージェント、デ・フリースの順で16台が残り2周のリスタートを迎えた。
このリスタートでサインツがアロンソと接触。アロンソはターン2のウォールに弾き出されて停車もコース復帰を果たす。その先のターン3ではストロールもコースオフを喫し、アストンマーティンはポイント圏外に後退。
さらにターン2立ち上がりのストレートでガスリーとオコンのアルピーヌ勢が同士討ちでリタイア。その後方ターン1ではサージェントとデ・フリースが接触しリタイアとなるなど、2度目のリスタートはアクシデントが多発。計4台がリタイアすることとなり、またも赤旗が掲示され3度目のレース中断を迎えた。
3度目の赤旗導入時点での順位はフェルスタッペン、ハミルトン、サインツ、ヒュルケンベルグ、角田、ノリス、ピアストリ、周冠宇、ボッタス、ペレス、アロンソ、ストロールと、全12台に。この時点で周回数はファイナルラップとなる58周目に入っていたこともあり、レース再開か終了か、各チームはレースコントロールの判断を待つことに。
その後、レースはSC先導でのリスタートがアナウンスされた。リスタートポジションは2度目のリスタート順となるが、リタイア車両が4台あるため、フェルスタッペン、ハミルトン、アロンソ、サインツ、ストロール、ペレス、ノリス、ヒュルケンベルグ、ピアストリ、周冠宇、角田、ボッタスという順に改められた。なお、サインツに対してはアロンソとの接触について5秒のタイムペナルティが課せられることとなった。
西陽が沈みゆくなか、ローリングスタートでレースは再開となったが、実質1周のパレードラップ状態ということもあり、コース上での順位変動はなく、そのままチェッカー。12周目にトップに返り咲いたフェルスタッペンが今季2度目のポール・トゥ・ウインを果たし、自身通算36勝目を飾った。
2位に今季初表彰台獲得となったハミルトン、3位には3戦連続の表彰台となるアロンソが続いた。ただ、5秒のタイムペナルティを受けたサインツが4位から12位に後退。これで角田が10位に浮上し今季初ポイントを獲得した。4位ストロール、5位ペレス、6位ノリス、7位ヒュルケンベルグ、8位ピアストリ、9位周冠宇、そして10位角田までがポイント獲得となった。なお、ファステストラップはペレスが53周目に記録した1分20秒135となる。
次戦となる2023年F1第4戦アゼルバイジャンGPは4月28日〜30日に、アゼルバイジャンの首都バクー市街地に特設されたバクー・シティ・サーキットで開催される。
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