ヘルムート・マルコ、親友ラウダにハミルトン獲得を勧めたことを振り返る「メルセデスにいれば我々の脅威にならないと考えた」
レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、親友のニキ・ラウダにルイス・ハミルトンを獲得できるかもしれないと入れ知恵したことをずっと後悔していると話した。この重大な情報がきっかけとなり、2012年シーズン末にハミルトンはマクラーレンからメルセデスに移籍、本人にとってもチームにとっても比類ない成功の幕開けとなった。
ハミルトンはマクラーレンでの最後のシーズンとなった2012年のドライバーズ選手権で4位につけた。この年は4回優勝したが、タイトル争いには加われなかった。レッドブルに、当時3度の世界チャンピオンだったセバスチャン・ベッテルがいたからだ。
ハミルトンは、当時、マクラーレンから移籍することを必ずしも考えていたわけではないが、マクラーレンとの契約は2012年末で期限を迎えようとしていた。最初のコンタクトがあり、ハミルトンとラウダはとりあえずの話をした。だがそこでハミルトンの頭に、マクラーレンを離れてメルセデスに加入する考えが宿るようになった。
マルコは、ハミルトンの移籍の可能性についてラウダに吹き込んだのは、レッドブルを有利にするための戦術的な動きだったと記憶している。マクラーレンで走らせるよりは、メルセデスで走らせた方がレッドブルにとって脅威にならないだろうと思われたからだ。
「ルイスを獲得できると(ラウダを)そそのかしたんだ」とマルコは、記憶を掘り起こして『Sport Bild』に話した。
「もちろん、サービス精神でやったわけではない。当時のルイスはマクラーレンで走っていたが、マクラーレンにいるよりはメルセデスにいたほうが、レッドブルにとって脅威とならないだろうと考えたからだ」
しかしマルコの画策は大失敗に終わった。
「今思うと、あれは完全な判断ミスだった。だけどあの当時、そんなことは予測不可能だったよ。いまの知識で考えるならば、あんな判断は二度としない」
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーも、当時はマルコに加担していた。ホーナーが昨年明かしたところでは、ハミルトンは本当はレッドブルに移籍することに「熱心」だったという。しかしレッドブルのチーム代表にとって、ハミルトンをベッテルと組ませること、つまりチームにふたりのアルファドライバーを迎えるのは、あまり賢明な選択とは思えなかった。
「数年の間に、ルイスと何度か話す機会があった」とホーナーは述べた。
「2010年から2013年にかけて、彼はすごくレッドブルに来たがっていた。でも当時はセバスチャンがいた。チームにアルファドライバーがふたりいるのはうまい考えではなかった」
「我々はマクラーレン相手に戦っており、2012年のマクラーレンには最速マシンがあった。マクラーレンとルイスとの組み合わせのほうが、メルセデスとの組み合わせよりも脅威だった」
「ルイスは少し迷っているようだから、ここでお金を使って獲得してみてはどうだとニキに勧めたんだ。それで手ひどいしっぺ返しを食らったと言っても過言ではない」
メルセデスは本当に“お金を使う”決断を下し、そこからすべての歴史が始まったのだった。
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