【角田裕毅F1第4戦分析】“スペースを残さなかった”僚友と接触、ウォールにも衝突。ピットイン後のチームの対応にも問題
2023年F1第4戦アゼルバイジャンGPの土曜日に行われた今シーズン初のスプリントは、角田裕毅(アルファタウリ)にとってフラストレーションがたまる結果となった。
直前に行われたスプリントのスターティンググリッドを決めるスプリント・シュートアウトで、最後のアタック中にローガン・サージェント(ウイリアムズ)のクラッシュによって赤旗が出されたためにSQ1で敗退した角田。4時間後に行われたスプリントで16番手からスタートした角田は、オープニングラップの18コーナーでコンクリートウォールに衝突。右リヤタイヤが脱落し、ピットインを余儀なくされる。
しかし、不可解だったのは右側のコンクリートウォールに接触する前に、角田のフロントウイングの左側がなくなっていたことだった。コンクリートウォールに接触して失ったのなら、右側が損傷しているはずだからだ。
その理由は角田の車載カメラの映像に映し出されていた。16番手からスタートした角田は、スタート直後にチームメイトのニック・デ・フリースにかわされてしまう。2コーナーを通過した後のストレート区間で、角田はデ・フリースの右側に並びかけながら、3コーナーへ進入。コーナーの立ち上がりで角田の左側にいたデ・フリースの右リヤタイヤと角田のフロントウイングの左側が接触していたのだった。
接触した直後、角田は無線で「デ・フリースに当てられた」とハッキリと文句を言った後、4コーナーの立ち上がりでフロントウイングが脱落したのを悟って、「ピットインする」と言った後、こう不満を述べた。
「何を考えているんだ、あいつは!!」
角田がウォールにマシンをヒットさせたのは、その直後だった。
しかし、角田はスプリント後のメディアの取材に対して、「だれかほかのドライバーと接触したんです」と、デ・フリースのことは伏せていた。
ただし、こう続けて、接触した行為を非難した。
「彼はスペースを残してくれなかった。それでフロントウイングを失ってしまいました。とてもフラストレーションがたまる結果です」
この日、角田にとってフラストレーションがたまったのは、この接触だけではなかっただろう。タイヤが外れて、ピットインした直後にとってチームの対応も問題だった。
右側からコンクリートウォールに接触し、その後、右リヤタイヤが外れた角田はほぼ3輪走行で2km以上を走行してピットに帰還した。マシンにダメージがある可能性は高かったため、チームはタイヤ交換した後、マシンの各部をチェック。その結果、スタッフは問題と判断してピットアウトさせた。
しかし、コースに復帰した角田の右リヤサスペンションはダメージを受けており、ストレートで真っ直ぐに走れない状態だった。問題はその映像を見ていたチームスタッフが笑っていたことである。
角田は再びピットインし、リタイアしたが、レーススチュワード(審議委員)はスプリント後に角田とチームスタッフを召喚。エンリケ・ベルノルディら4名からなるスチュワードは「チームは、ドライバーから、『かなり大きな接触があった』と無線で報告を受けていたのも関わらず、十分に確認せずにピットアウトさせた」として、アルファタウリに対して5000ユーロ(約75万円)の罰金を科した。
これは罰金を支払えば済む問題ではない。チームスタッフには猛省を促したい。
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