マクラーレンF1、持続可能性推進のため予算制限を変更すべきだと主張。パフォーマンスとの投資バランスを指摘

 

 マクラーレンF1チームは、将来のF1の持続可能性を改善する取り組みを推進するにあたり、F1の財務ルールの変更を求めている。

 マクラーレンは、木曜日に持続可能性についての年次レポートを発表し、現在の持続可能性改善の取り組みのほとんどは、2021年に導入された厳しい予算制限内に抑える必要があることを示した。そしてこれにより各チームは“コスト制限の制約のなかで、パフォーマンスと持続可能性の間の投資バランスを頻繁に取る必要がある”と指摘した。

「我々はコスト制限を強く信頼しており、その完全性を損なうようなものは目にしたくない」とマクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは発言した。

「しかし既存のレギュレーションは、持続可能性への投資について、意図せずにいくつかの障壁を生んでいる。このスポーツのポテンシャルを引き出し、世界規模で前向きな変化をもたらすより多くの持続可能な技術開発を推進するのなら、真の改革が必要だ」

「F1をより持続可能なものにするための作業ができるように、制限の外で支出できる分野を定義する方法が必要だ。各チームが同じ目標の達成に向けて取り組めるように公平な条件が必要であり、マシン性能への投資と持続可能性への投資どちらかを選択する必要がない状態にすべきだ」

「我々全員がイノベーションを起こし、持続可能性に投資できるように、F1には財務、技術、スポーティングレギュレーションについて明確な規制の枠組みがいる。業界全体で、専門知識や洞察を共有するよりよい方法を見つける必要がある。真のコラボレーションのみが、意味のある変化を促進するのに役立つ」

「2026年の新レギュレーションで段階的に変化を達成することを望むなら、その決断は今下す必要がある」

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2023年F1第5戦マイアミGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 F1の予算制限は現在1億3500万ドル(約186億円)に設定されている。これはフェラーリやメルセデスなどの資金が豊富なチームが“多額の支出によって問題を解決する”のを防ぎ、フィールドを公平にしてより激しい競争をレースにもたらすための試みだ。

 持続可能性への取り組みの一部はすでに予算制限から外されているが、それは元々除外されていた件に直接関係するものに限られている。マクラーレンは、コンコルド協定に“明確な持続可能性基準”が導入されるなど、最新の財務レギュレーションを含む持続可能性へ向けた最近の方策を歓迎した。協定はプロモーターと主催者に対して持続可能性の取り組みの明確な要件を課し、技術レギュレーションのなかでより持続可能な素材の採用に関して除外事項を定めている。

 マクラーレン独自のレポートでは、チームがいかにして航空貨物の排出量を2年間で9%削減できたのか、また、マクラーレンテクノロジーセンターの照明をLEDに交換し、使い捨てプラスチックを排除したといったことが強調されている。

 ブラウンは、マクラーレンの“壮大な”野望のひとつは、“完全循環型のレーシングカー”を開発することだと語った。それによってチームは、マシンの開発と運用のライフサイクル全体で消費されるリソースを最小限に抑えることに注力するようになるという。それにはリサイクルされた素材の使用、使用寿命を延ばす方法の発見、寿命が終わった時の適切な廃棄が含まれる。

「理解するには多くの作業が必要になるだろう。これは達成可能なのだろうか?」とブラウンは説明した。

「同時に、レーシングカーをさらに開発するために、持続可能性を念頭に置かなくても同様の投資を行うことができる」

ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシング CEO)
2023年F1第5戦マイアミGP FIA会見 ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシング CEO)

 F1は、2026年に導入される新しいエンジンに、カーボンニュートラルで完全に持続可能な合成燃料を使用することをすでに計画しており、2030年までにネット・ゼロ・カーボンになることを誓約している。マクラーレンの持続可能性担当ディレクターを務めるキム・ウィルソンは、マクラーレンの取り組みが、現在協議中である2026年のテクニカルレギュレーションの策定に役立つことを期待している。

「テクニカルレギュレーションは、チームにとって公平な競争の場を作り出す機会であり、私たちを同じ成果に導くもだ」とウィルソンは語った。

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